白霧のカメラ日常

足元は黒い霧、水面のように揺れる。静かすぎる空間。

周囲に、子どもの囁きのような声が響く

ミオ…こっち

ずっと待ってた…

クロトの霊体が光り、扉に手を伸ばす

クロキ、胸を押さえながら苦しげに息をする

古い御札を取り出す

霧の中に、 人影の輪郭だけが浮かぶ

ミオ…会いたかった

人影がゆっくり近づく

影が一瞬だけ優しく微笑む気配を見せる

影の輪郭が、急にひび割れたように揺れる

—違う。

優しい声が途切れ、 低い声が混じり始める

半分はミナト。もう半分は…

—封じられた影

影が手を伸ばし、ミオの顔に触れようとする

ミナトはここにはいない… でも、必ず会える。 あなたが完全にこちらに来れば

『三界浄火・開門之符』

クロキが印を結び、御札が青白く燃える

クロトの声が響く

『白霧ねえちゃん！！』

聞いてはダメ。集中しなさい。

ミオの腕を掴む

ミオの体に影の黒い紋様が広がりはじめる

影の顔がゆっくりと形を取る

…白霧家を滅ぼした魂。

そしてあなたの母が命をかけて封じた存在

影の瞳が、ミオとまったく同じ紫に変わる

そう…あなたが継いだ証。 ミオ、あなたは私の後継だ。

影が怒ったように揺れ、空間が割れる

影が巨大化し、ミオの体をのみこもうとする

ミオは私の器…こちらに来い

ミオの胸元から白い光があふれだす

—ミオ、逃げて。 あなたは私の誇りなの

影が悲鳴をあげている

ミナト…！またお前が…邪魔を—

光が爆発し、空間が白く染まる。