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紅優
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境界局本部。
重厚な扉がゆっくりと開く。
長い任務を終えた十二席が、本部へ戻ってきた。
白狐 颯
思わず息を吐く。
侵食事件が終わってから数時間。
疲労は想像以上だった。
歩くだけで足が重い。
赫鞘 樹《赫災》
白狐 颯
赫鞘 樹《赫災》
龍樹 琥珀《葬列》
灰渕 博《静界》
柔らかな笑顔で言う。
その言葉だけで少し肩の力が抜けた。
すると。
奥の廊下から足音が近付いてくる。
コツ。
コツ。
赤橙 唯《蒼祈》
大きく手を振りながら駆け寄ってくる。
その後ろには。
桃園 天音《灯火》
黒巌 凛《灰霞》
そして。
愛水 怜《無刻》
四人とも本部待機だったため、任務には参加していなかった。
赫鞘 樹《赫災》
赤橙 唯《蒼祈》
桃園 天音《灯火》
白狐 颯
紫苑 陸《虚路》
静かに答える。
その横で。
風雅は何も言わず、小さな金属ケースを持って歩いていた。
白狐 颯
あのケース。
侵食現場で回収した黒い球体の破片。
厳重に閉じられているはずなのに。
何故か。
見ているだけで胸がざわつく。
緑龍 風雅《白夜》
短い一言。
全員が表情を引き締める。
数分後。
境界局︰第一会議室。
長机を囲む十二席。
部屋には重い空気が流れていた。
風雅は金属ケースを机の中央へ置く。
カチッ。
封印用のロックが外される。
蓋が少しだけ開く。
中には。
黒い結晶のような破片が一つ。
静かに置かれていた。
白狐 颯
まただ。
胸が痛む。
視線を逸らしたくなるのに。
目が離せない。
桃園 天音《灯火》
紫苑 陸《虚路》
愛水 怜《無刻》
それぞれが確認を終える。
黒巌 凛《灰霞》
全員が凛を見る。
黒巌 凛《灰霞》
その言葉に。
誰も否定できなかった。
理由は分からない。
けれど。
あの破片だけが。
この部屋の空気から切り離されているような違和感がある。
龍樹 琥珀《葬列》
白狐 颯
龍樹 琥珀《葬列》
部屋が静まり返る。
颯はゆっくりと破片を見る。
集中する。
何も見えない。
……いや。
ほんの一瞬だけ。
黒い破片の表面を。
細い一本の線が走った気がした。
瞬きをすると。
もう消えている。
白狐 颯
言いかけた、その時。
カチッ。
ケースの中で。
あの破片が。
僅かに揺れた。
誰も触れていない。
部屋には風邪もない。
それなのに。
破片だけが。
ゆっくりと震えていた。
灰渕 博《静界》
誰かがそう呟いた瞬間。
部屋の照明が、一度だけ静かに明滅した。
そして。
黒い破片の表面に。
まるで誰かが内側から触れたような、小さな手形が浮かび上がった。
誰も。
声を出せなかった。
コメント
4件
事件から帰ってきて無事を喜ぶ空間が優しくてほっこりします! あの核の破片はやっぱり異質だな……明らかにおかしいな…… 続きを待っております!

