本当の俺

ごめんなさい

ごめんなさい

喋るな！！

この呪いが！！

ﾄﾞﾝｯ

ごめんなさい

ﾋｿﾋｿ

ほんと、なんでこんな子 生まれてきたんだろうね

気味が悪い

こんな俺でごめんなさい

呪いを持っててごめんなさい

ﾍﾞﾁﾝｯ

お前なんか消えろ！！

生まれてきてごめんなさい

い_まき__んぱい_

おーい

せんぱ__

とげ！！

そろそろ起きろ！！

そうだ、俺 任務の後に皆の体術に混ざって、 ちょっと離れた所で休憩してたら そのまま寝ちゃってたのか

……

さっきのは夢か……

久しぶりにあの夢見たな…

目覚め悪

まさか魘されてたとは

何もなかった ただ寝てただけ そんな"狗巻棘"を演じろ

ｷｰﾝｺｰﾝｶｰﾝｺｰﾝ

皆が一斉に走り出す

俺も皆の後に続こうと立ち上がった時

当主様から久しぶりに連絡がきた

俺はメールの内容に 軽く目を通してから 誰にも聞こえないように 小さくため息をついた

その後にすぐに皆を追いかけた

……

皆の背中が遠い

笑いながら走って行く皆が眩しくて 急に胸が苦しくなった

俺、何してんだろｗ

皆の笑顔は俺なんかよりよっぽど 価値があって、大切なものなのに

皆の幸せを壊そうとして

こんな自分が気持ち悪い

嫌いだ

ほんとに

気味が悪い

俺は、狗巻家が嫌いだ

狗巻家は、呪言の力を持った子が 産まれてくることを望んでなかった

だから、呪術界からも身を引いていた

そんな中 狗巻家に久しぶりに呪言の力を 持った子が誕生した

それも 今までにないぐらい強い呪言の力を 生まれつき持っている子

それが俺 狗巻棘だった

俺は望まれた子じゃなかった

むしろ、恐れられた 気味悪い子だった

いつ呪言を発動させるかも分からない 扱いの難しい呪いそのもの

俺一人の存在で、何人もの人が 恐怖を覚える

そんな俺でも、役に立てることが あったらしい

簡単に言うと、俺を好きに使わせる 代わりに狗巻家がお金を貰う という内容だった

俺は狗巻家にとって呪いそのものだったけど、それと同時に使い勝手のいい道具でもあった

だから、今の狗巻家の当主様は 呪術界の上層部の一人と交渉した

俺と金を

その交渉は、俺が生まれて 1年もしないうちに成立したらしい

……ｗ

俺の存在価値は、もうその時 決められたんだ

望まれない子の俺にとって、家の役に立てるのは本望かもね…ｗ

だって俺は 気味の悪い呪いだから