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???

随分荒れてるね……大丈夫?

誰もいないはずであろう、静かな地下室の中で自分では無い、誰かの声が響き渡っていた……

芸術家(🇫🇷)

誰だ?僕の部屋に勝手に入ってきた愚か者は……?

???

いやだなぁ……愚か者って言われるのは

???

僕だよ……忘れた?

???

死に別れた……双子の1人……

芸術家(🇫🇷)

もしかして……ヴィシー?

芸術家(🇫🇷)

ヴィシーなのか?!

ヴィシー

正解ッ!

ヴィシー

気づくの遅いよw

芸術家(🇫🇷)

そりゃ、亡霊がこんな所に来るなんて思うはずがないだろ……

ヴィシー

ま、そりゃそうだね。

芸術家(🇫🇷)

それで、何しに来た……?

ヴィシー

何しに来たって、まるで嫌な奴と対面してるみたいじゃんw

ヴィシー

理由はないね

ヴィシー

ただ気になったから来ただけ?って感じ

芸術家(🇫🇷)

そうか……

その言葉をよそに、ヴィシーは改めて沢山その地下室を見て回った。 破られた紙屑の山、所々床や壁に飛び散った絵の具の跡、沢山の色を混ぜ合わせた汚れたプレート……

それらを見て、彼は一言言った

ヴィシー

にしても荒々しい部屋だねぇ……

ヴィシー

なんかそういうストレス発散?

芸術家(🇫🇷)

……わからず屋はさっさと出ていけ

ヴィシー

冗談だよw

ヴィシー

もしかして、自由はさ……

ヴィシー

趣味で絵を描いてるの?

以前までは、趣味でやっていたが……今は才能を否定した人間共を見返すため、自分が求めてる「理想の絵」が完成するため……となっていた

だが、ヴィシーの言葉がここまで刺さるものだとは思いもせず、芸術家は石像のように固まって、何も言い返せなかった。

芸術家(🇫🇷)

…………

ヴィシー

その感じ、趣味とかではなく……

ヴィシー

仕返し的なやつだね

ヴィシー

だってさ、あの時もそうだったじゃん

ヴィシー

ナチスに侵攻されたままじゃいられず、反撃したんでしょ?

ヴィシー

本当、負けず嫌いな所はある変わってないなぁ。

芸術家(🇫🇷)

……それがどうした

芸術家(🇫🇷)

お前が思っている以上に、こっちはどれだけ苦労してると思ってる?

ヴィシー

あのね、たまに下界に来てちょくちょく自由……君のことを見てたんだよ

ヴィシー

そしたら、僕の真似をしててしょうじき笑った

芸術家(🇫🇷)

…………

ヴィシー

あれ、普通に真似したかったのかな?って思ってたけど……そうじゃなかったんだね

ヴィシー

僕が……あの時死んだせいでショックガ大きすぎて、それで誤魔化すように僕に*なりきって*、過ごしてきたんでしょ?

ヴィシー

そして、どうしても誤魔化しきれず絵を描こうって思ったけど、何かしらのきっかけがあって今に至った……

ヴィシー

違う?

芸術家(🇫🇷)

…………どうして

芸術家(🇫🇷)

どうして……そこまで言えるんだ?

素直に言えば……どうしてそこまで知っているんだ?と聞きたかったが、今まで感じたことの無い感情が湧き溢れそうになったため、いえなかった

ヴィシー

どうしてって言われても……

ヴィシー

そうね、分かりきった感じで言ってしまったかもしれないけど

ヴィシー

あんだけ辛い思いをしてきたらから、きっとそうなのかな?って思ってただけ

ふと、目から液体のようなものが溢れては出てくるのを感じた。気になって触ると、見たことの無いいろの絵の具ができていて、地下室にある電灯の光を反射しながら輝いていた

芸術家(🇫🇷)

…………

ヴィシー

もしかして……泣いてる?

芸術家(🇫🇷)

泣いてない……

ヴィシー

いやだって、仲間が死んだ時なんか背を向けてこっそり泣いてたじゃん?
(こっそり見たけど)

芸術家(🇫🇷)

泣いてない……目にゴミが入っただけだ

ヴィシー

まあ、そういうことにしよ

ヴィシー

所でさ、なんの絵を描いてたの?

芸術家(🇫🇷)

まだ未完成だ、見せれるわけがないだろ……

ヴィシー

確かにそうだけど、ちょっとぐらい教えて〜

まるで、子供のように駄々を捏ねているのを見て、自分がどこか望んでいたものが今になって、ようやく叶ったかのような感じがした

芸術家(🇫🇷)

……仕方ないな

ヴィシー

やった(*^^*)

芸術家(🇫🇷)

だが、まだ決まっていないんだ

ヴィシー

そなの?

ヴィシー

絵描きって大変だね……

ヴィシー

絵を描こうとする度、考えなきゃ行けないんでしょ?

芸術家(🇫🇷)

だが、そういう探索がまた面白いと思うが?

ヴィシー

そんなものなんだ……

だが、いざ描こうとなって描いてみた瞬間、またいつものように駄作となった絵を壊しては破ったり、投げたりして怒りが増すのみだった

芸術家(🇫🇷)

はぁ……はぁ……

芸術家(🇫🇷)

くそっ!なぜ出てこないんだ……!

ヴィシー

……

ヴィシー

自由、ちょっと休まない?

芸術家(🇫🇷)

いいや、やらなければ……意味が……!

ヴィシー

絵を描くことに意味を求めすぎたら、身体が壊れるよ?

芸術家(🇫🇷)

それでもいい!それを承知した上でやっているんだ!!

言う事を聞かない自由の体をヴィシーが乗っ取って、身体だけを操り無理やりでもいいと思い、そのママ座り込むようにしたが勢い余って、そのまま後転してしまった

芸術家(🇫🇷)

な?!何を……?

芸術家(🇫🇷)

うわっ!……

芸術家(🇫🇷)

いたた……何しやがる……?

ヴィシー

ごめん……

ヴィシー

だって……やめなかったから。

芸術家(🇫🇷)

なぜ……邪魔をする?

ヴィシー

だって、これ以上自由が苦しむ姿を見たくなかったんだよ

ヴィシー

だから無理やりでもいいから、そうした。

芸術家(🇫🇷)

…………

ヴィシー

やっぱ来て良かったよ

ヴィシー

なんなら、常に君のそばにいたいけど……僕には無理なんだよ

芸術家(🇫🇷)

なぜ……?

芸術家(🇫🇷)

なぜそこまで僕に構う?

ヴィシー

……だって、僕がいなくなった時からだいぶ変わってしまったから、心配になったんだよ

ヴィシー

でも、僕はあまり下界に行ける身では無い

ヴィシー

そりゃ、ナチスの元でずっと生きてきたからそれ相応の償いを受けなきゃダメだってさ……

ヴィシー

だから、こうして来れてるのは許可があって来れてるんだ。

ヴィシー

だから、僕は僕ができることをやってる

芸術家(🇫🇷)

…………そうか

ヴィシー

はぁ……めんどくさい所も変わってないね

ヴィシー

とりあえずさ、作品のタイトルが思いつくまで僕と話さない?

ヴィシー

だって、滅多にないんだよ?こうして話せるのは

ヴィシー

だから……ね?

芸術家(🇫🇷)

……わかった

ヴィシー

やった!

本当なら……本当なら、このまま作品の制作に没頭したかったが、心の何処からか願いっていた夢が叶うのではないかと思い、ヴィシーと話した

久しぶりに話してみると、心の中で楽しいという今まで感じたことの無い感情が溢れてきて、気づけば時間が流れ続けていた……

ヴィシー

ごめん、自由……

ヴィシー

僕そろそろみたい

芸術家(🇫🇷)

そうか……

芸術家(🇫🇷)

また、この世界に来れるか?

ヴィシー

ん?そうね……

ヴィシー

半年か2年に1回ぐらいしか来れないけど、何とか許可を得れるように言っとくね

芸術家(🇫🇷)

わかった

芸術家(🇫🇷)

……また会える日まで……な

ヴィシー

うん!「またね」!

そう言って、彼は塵となって消え去りそのまま空へと消えていった……

芸術家(🇫🇷)

……ヴィシー

芸術家(🇫🇷)

また会えて本当は嬉しかった

芸術家(🇫🇷)

ありがとう……

芸術家(🇫🇷)

…………よし

ヴィシーとの会話を思い出しながら、世界を描いた、何度も何度も苦戦したが、ヴィシーへの贈り物としてその作品を完成させた……

芸術家(🇫🇷)

ようやく……できた……

芸術家(🇫🇷)

ヴィシー、見てるか?

芸術家(🇫🇷)

これが……俺からの贈り物だ……

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