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放課後
関哲汰
沢村玲
関哲汰
玲に別れを告げて 急ぎめで教室を出て生徒玄関を出ると 約束通り待ってくれていた
関哲汰
吉岡彩葉
関哲汰
吉岡彩葉
関哲汰
関哲汰
そう言って 俯き気味の彩葉の顔を覗き込む
吉岡彩葉
関哲汰
小さく頷いた彩葉の手を引いて クレープ屋さんに立ち寄った
関哲汰
関哲汰
ゆっくりゆっくり 指差された先は "生チョコクレープ"
関哲汰
吉岡彩葉
"同じやつでいいんですか…？"と 小さい声で聞いてきた
関哲汰
店員
関哲汰
関哲汰
"こっち"って感じで 指差した方を渡せば 口元が少し緩んだ
関哲汰
吉岡彩葉
近くの公園に入って ふたりでベンチに座った
いただきまーす
ふたりでいただきますをして クレープにかじりつく
関哲汰
関哲汰
吉岡彩葉
そんな彩葉の口元に 生クリームを発見した
関哲汰
自分の口の端を指して彩葉に教えれば 慌ててクリームを拭った
吉岡彩葉
ずいっと見せられたスマホの画面 あまり馴染みのない羅列に なんて読むの？と聞いてみた
吉岡彩葉
関哲汰
スマホの検索欄に "ばめんかんもく"と打ち込めば すぐに"場面緘黙症"がヒットした
関哲汰
吉岡彩葉
サイトによると 場面緘黙症は家では普通に話せるのに ある特定の場所になると 話せなくなってしまう疾患らしい
緊張で体が動かせなくなったり 表情が外に出にくかったり いくつかの症状が挙げられていた
関哲汰
吉岡彩葉
関哲汰
関哲汰
吉岡彩葉
関哲汰
関哲汰
吉岡彩葉
笑った…
はじめて見た
笑ってる
関哲汰
フルフルと小さく首を振った
関哲汰
吉岡彩葉
何か見つけたのか 電信柱に近づいていって 何かを捕まえた
と、思ったら すぐそこで、蝉の鳴き声が響き渡った
関哲汰
吉岡彩葉
すげぇにこにこしてんじゃん…
すると じゃーん！と効果音がつきそうなくらい 得意気にアブラゼミを見せてきた
関哲汰
吉岡彩葉
関哲汰
関哲汰
"彩葉は虫取りが得意"と添えて グループLINEにその写真を送った
とある一戸建ての家の前で 彩葉が立ち止まった
関哲汰
吉岡彩葉
関哲汰
今日会ったばかりで 会話という会話をしたわけじゃないのに 別れるのが少し寂しく感じる
関哲汰
吉岡彩葉
関哲汰
彩葉ママ
買い出しに行っていたのか エコバッグを持った 彩葉のお母さんっぽい人が帰ってきた
関哲汰
彩葉ママ
関哲汰
彩葉ママ
彩葉ママ
どうぞ、上がって上がって！と 促されるまま 彩葉の家に上がらせてもらう
母親に "友だちの家でご飯よばれて帰る"と LINEを入れた
関哲汰
彩葉ママ
彩葉ママ
彩葉ママ
夕飯を作り始めようとした 彩葉ママに声をかけると そう言われてしまった
女の子らしい 白を基調とした部屋に案内された
関哲汰
吉岡彩葉
関哲汰
そう聞けば キョロキョロと辺りを見渡して ひとつのぬいぐるみを手に取った
そのぬいぐるみはペンギンで だいぶ古いのか 合成皮革の嘴はところどころ剥がれてて 縫い合わせ部分もほどけ気味なのか ところどころ穴が見える
関哲汰
吉岡彩葉
関哲汰
吉岡彩葉
関哲汰
微妙な反応にそうでもない？と聞けば 少し笑って頷いた
関哲汰
また辺りを見渡して ベッドの上のサイのぬいぐるみを 手繰り寄せた
関哲汰
吉岡彩葉
関哲汰
吉岡彩葉
関哲汰
吉岡彩葉
関哲汰
彩葉ママ
階段の下から彩葉ママの声がした
関哲汰
吉岡彩葉
彩葉がいつ話せるようになるのか 俺にはわからない
話せるようになるのも きっと彩葉自身が 今よりもっと頑張らないといけないんだ
それまで俺たちがサポートしよう
彩葉ママ
リビングに入れば 彩葉ママが迎えてくれた
関哲汰
彩葉ママ
彩葉、こんなだから友だち少なくて、と 話す彩葉ママの服の裾を引っ張って もういいよ、と言いたげな彩葉
彩葉ママ
関哲汰
彩葉ママ
彩葉ママ
吉岡彩葉
俺にはハッキリ聞こえない声量で 母親に何か突っ込んだ
彩葉ママ
彩葉ママ
関哲汰
吉岡彩葉
関哲汰
吉岡彩葉
関哲汰
彩葉は大きい声が苦手みたい
理由は聞いてないからわからないし 確信も持てないけど たぶん、苦手なんだろうな
関哲汰
関哲汰
お礼を告げて玄関を出ようとしたとき "これからも仲良くしてあげてね"って 彩葉ママが笑った
関哲汰
吉岡彩葉
関哲汰
手を振るかわりか ぺこ、っと小さく頭を下げた
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