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八月の、暑苦しい夏の夕方だった。
ボクは小さな神社の境内の石段を登っていた。
その神社は、手入れも行き届いておらず、参拝客もほとんどいない。
ボクにとってその場所は、「何者でもなくていい世界」だった。
鳴 海 弦 .
文句を言いながら、石段を登りきる。
そんな時だった。
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古びた拝殿の木陰に、一人の女が立っていた。
黒髪に、茜色の瞳。 時代から取り残されたような白い着物を纏い、彼女はただ、静かに風に吹かれている。
未来をも見通せる眼。その眼が、一人の女に釘付けになった。
鳴 海 弦 .
声をかけると、彼女は驚いたように肩を揺らし、ゆっくりとこちらを振り向いた。
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きょろきょろと辺りを見回して、
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鳴 海 弦 .
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鳴 海 弦 .
鳴 海 弦 .
それが、すべての始まり。
日本最強と謳われる男が、世界中の誰も知らない、「君」という空白を見つけた、あの夏の日。
まだ、知らなかった。
君の言葉の意味も、
ボクの心臓が、うるさいくらいに鳴り始めた理由も。