神威
神楽
神威
神楽
神威
神楽
神威
神楽
神威
下校時間もとっくに過ぎ、とっぷりと日の落ちた冬の夕暮れ。
帰宅してからというもの、ぬくぬくと炬燵にくるまっていた同じ髪色をした二人は、学生服の上に上着を羽織り、寂しげに陰を落とす人通りの少ない小道を並んで歩いていた。
吐く息はどこまでも白く、ゆらゆらと澱んだ空へと登っていく。
二人して同じように息を吐いてみては、立ち上るその白に子供のように喜んでみたりして。
ただコンビニへ向かうだけの僅かな道のり。 でもそれが、どうしようもなく愛しく思えた
たまには良い。 こんな風に二人で寄り添って歩いてみるのも。 神威の普段見せない心地良さそうな微笑みに、神楽も思わず破顔した。
神楽
神威
神楽
神威
神楽
神威
神楽
神威
神楽
神威
ふ、と意味ありげな笑みを溢した神威には全く気付かず、妹として安心したアル!と意気揚々と神楽は歩みを進める。 そんな神楽に、自身の兄が複雑そうな視線を送っている事など知る由もなく。
間もなくチカチカと発光する一際目立つ看板が見えた。
神楽
神威
小走りでその小さな建物に近付いた途端、 ガーッと鈍い音がしてドアが開き、少年が一人、中から出てきた。
栗毛に紅の瞳。自分と同じ学校の制服を来たその人は、
沖田 神楽 神威
確実に今会ってはいけない人物であった。
沖田
神威
沖田
神威
沖田
バチバチとまるでビームのような火花が両者の間に散っている(ように見える)。 この突如現れたライバルでもあり何やかんやで友達でもある沖田と、自分の兄である神威は初対面の時から何故かお互いをこの上なく敵視し、今ではこの通り会う度に嫌悪感丸出しなのである。
何故二人がこんなにも仲が悪く殺意剥き出しであるのか、神楽には全く解らなかったが、どうにもこうにも譲れない何か、気に食わない何かがあるようで、「男同士の闘い」を何だかよく解らないまま神楽はいつも見ているしか無いのであった。
しかしだ。コンビニの出入口で、仁王立ちになりながら睨み合う野獣二人は他の客に大迷惑極まりない。 というか、とんでもない威圧感に恐れ戦いてどんどんと人が逃げていく。 このままでは営業妨害で店から訴えられるかもしれない。
はぁ、と溜め息を付きながら二人を引き剥がそうと歩み寄る。 先程までほのぼのと小道を歩いていたのは一体何だったのか。序盤の描写が全く嘘のようである
一触即発の雰囲気を痛いほど醸し出す二人に声を掛けようと口を開きかけると、 ふと沖田の手に大きな紙袋が握られている事に気付いた。 見覚えのある、それは。
神楽
沖田
神楽
沖田
神楽
神威
沖田
沖田
神楽
沖田
神楽
沖田
神楽
手に持った肉まんの袋を指摘されてから、急に非常に分かり易くしどろもどろになった沖田は、その温かい袋を神楽に押し付け逃げるようにして本当にとっとと帰ってしまった。 呆気に取られる神楽、と、
神威
眉間に皺を寄せながら、何とも恨めしそうな顔をして呟く神威。 一体何だったのか、と頭に疑問符を浮かべながら貰った袋を見やる。 温かく、とても良い香りのするそれが、尋常ではない量で詰め込まれていて。
神楽
神威
神楽
神威
神楽
神威
何故か不機嫌そうに呟いた神威が、神楽の手を軽く握る。 冷たい手と手が触れ合って神楽は思わず神威の方をまじまじと見つめた。 寒いからね、と一言だけ漏らしてそのまま何事も無かったように歩くその姿に、神楽はほんの少しだけ微笑んだ。
神楽
神威
神楽
神威
神楽
神威
素っ気ない返事ももろともせず、拳を握って意気込む少女の胸には、寒さにめげない想いの詰まった袋が一つ、抱かれていた。 冬の夕暮れ。 出逢ったのは、 兄の真っさらな微笑みと、仄かな手のひらの温度、そして 彼からの温かい贈り物。
オマケ!
沖田
神楽
沖田
神楽
沖田
読んでいただきありがとうこざいました フォローと❤お願いします
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!