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神威

神楽ー、肉まん買って来て。あるだけ全部。

神楽

嫌アル。外がどれだけ寒いか解ってて言ってるなら私はお前にラリアットを食らわせるしか道はないネ。よって自分で行ってくるヨロシ。あ、私ピザまん追加で。

神威

何ついでにたかろうとしてるわけ?この前は俺が買いに行ったんだから、今日は神楽の番でしょ。あんまん追加でよろしく

神楽

こんなに日も落ちて真っ暗な中を、学生服姿の美少女が歩いてみろヨ。確実に変態趣味の大きなお兄さんの餌食になるネ。

神威

なら着替えて行けばいいじゃない。剛力のオプション付きの美少女なんて、食す勇気は無いよ奴らは。…まぁ俺は大歓迎だけどね。

神楽

お前の趣味は聞いてねーんだヨ!全く仕方ないアルな。じゃあ沖田辺りに一緒に行ってもら…

神威

神楽、そこの俺の上着取って。お前も寒いからちゃんと用心していかないと駄目だよ。ほら、早く支度して。

神楽

……

神威

ん?何、どうしたの?

下校時間もとっくに過ぎ、とっぷりと日の落ちた冬の夕暮れ。

帰宅してからというもの、ぬくぬくと炬燵にくるまっていた同じ髪色をした二人は、学生服の上に上着を羽織り、寂しげに陰を落とす人通りの少ない小道を並んで歩いていた。

吐く息はどこまでも白く、ゆらゆらと澱んだ空へと登っていく。

二人して同じように息を吐いてみては、立ち上るその白に子供のように喜んでみたりして。

ただコンビニへ向かうだけの僅かな道のり。 でもそれが、どうしようもなく愛しく思えた

たまには良い。 こんな風に二人で寄り添って歩いてみるのも。 神威の普段見せない心地良さそうな微笑みに、神楽も思わず破顔した。

神楽

肉まん売り切れてないといいアルな。

神威

そうだね。まぁ売り切れてたとしても店員に即刻蒸かさせるけどね

神楽

……本当お前そんなんだから彼女出来ないのヨ。

神威

そんなの居なくても間に合ってるからいいよ。

神楽

なっ…!!ま、まさかお前ついに人妻に手を…!!

神威

言っとくけど俺熟女趣味はないからね。何でそこで人妻になるのか俺にはよく解らないんだけど

神楽

だって彼女がいらないって事は愛人がいるって事ダロ?お前素行悪いから何やっててもおかしくないアル!

神威

…馬鹿な子ほど可愛いって言うけどこれはあんまりだな。まぁ可愛いんだけどね。俺は彼女なんてものが居なくても、心の中を満たしてくれる女の子が側にいるから大丈夫って事だよ。

神楽

へぇー!!お前みたいなのにもそんな相手いたアルか!驚きアル!!

神威


……まーね。

ふ、と意味ありげな笑みを溢した神威には全く気付かず、妹として安心したアル!と意気揚々と神楽は歩みを進める。 そんな神楽に、自身の兄が複雑そうな視線を送っている事など知る由もなく。

間もなくチカチカと発光する一際目立つ看板が見えた。

神楽

着いたアル!

神威

あー寒かった。

小走りでその小さな建物に近付いた途端、 ガーッと鈍い音がしてドアが開き、少年が一人、中から出てきた。

栗毛に紅の瞳。自分と同じ学校の制服を来たその人は、

沖田 神楽 神威

…あ

確実に今会ってはいけない人物であった。

沖田

何でィ。兄妹仲良くお買い物ってわけですか。羨ましいこった。あ、お兄さん。お久しぶりですこんばんは。

神威

ちょっと思いっきり棒読みなんだけど。お前にお兄さんって呼ばれる筋合いはないって何回言ったら解るんだよ。不愉快。目障りだからさっさとどっか行ってくんない?

沖田

それはこっちの台詞でさァ。あんたのそのふざけた髪型見る度に虫酸が走るんで早く刈って来て下せェよ。

神威

殺すぞクソガキ

沖田

上等だ似非ヤンキー。

バチバチとまるでビームのような火花が両者の間に散っている(ように見える)。 この突如現れたライバルでもあり何やかんやで友達でもある沖田と、自分の兄である神威は初対面の時から何故かお互いをこの上なく敵視し、今ではこの通り会う度に嫌悪感丸出しなのである。

何故二人がこんなにも仲が悪く殺意剥き出しであるのか、神楽には全く解らなかったが、どうにもこうにも譲れない何か、気に食わない何かがあるようで、「男同士の闘い」を何だかよく解らないまま神楽はいつも見ているしか無いのであった。

しかしだ。コンビニの出入口で、仁王立ちになりながら睨み合う野獣二人は他の客に大迷惑極まりない。 というか、とんでもない威圧感に恐れ戦いてどんどんと人が逃げていく。 このままでは営業妨害で店から訴えられるかもしれない。

はぁ、と溜め息を付きながら二人を引き剥がそうと歩み寄る。 先程までほのぼのと小道を歩いていたのは一体何だったのか。序盤の描写が全く嘘のようである

一触即発の雰囲気を痛いほど醸し出す二人に声を掛けようと口を開きかけると、 ふと沖田の手に大きな紙袋が握られている事に気付いた。 見覚えのある、それは。

神楽

おい、沖田

沖田

あ?何だチャイナ

神楽

その紙袋…

沖田

ん?…げっ!!え、えっと…これは…

神楽

肉まんアルな。しかも大量の

神威

え?あ、本当だ。何、お前肉まんマニアだったの。

沖田

お前らと一緒にすんじゃねェや。…えっと、その、これは…何だ

沖田

…ああ、そうだ。チャ、チャイナを太らせようと思って買って来たんでィ!!

神楽

は?

沖田

いいからこれ持ってけよ。せいぜい丸々と太るがいいエセチャイナ。そして男子から見放されろ

神楽

あぁん!?んだとコラァ!!!

沖田

じゃあ俺はとっとと帰らせてもらいやす。馬鹿兄妹の相手なんてしてる暇ないんで。じゃ

神楽

ちょ、お前、待てサド野郎ォ!!!

手に持った肉まんの袋を指摘されてから、急に非常に分かり易くしどろもどろになった沖田は、その温かい袋を神楽に押し付け逃げるようにして本当にとっとと帰ってしまった。 呆気に取られる神楽、と、

神威

…あの青春野郎が

眉間に皺を寄せながら、何とも恨めしそうな顔をして呟く神威。 一体何だったのか、と頭に疑問符を浮かべながら貰った袋を見やる。 温かく、とても良い香りのするそれが、尋常ではない量で詰め込まれていて。

神楽

…あいつこんなに大食いだったアルか?

神威

…だから、そういう事なんだよ神楽。

神楽

そういう事?

神威

解らないならそのままで良いよ。…まぁ肉まん代も浮いた事だし俺たちもさっさと帰ろう。

神楽

うーん…。何か腑に落ちないネ。

神威

いいから行くよ。

何故か不機嫌そうに呟いた神威が、神楽の手を軽く握る。 冷たい手と手が触れ合って神楽は思わず神威の方をまじまじと見つめた。 寒いからね、と一言だけ漏らしてそのまま何事も無かったように歩くその姿に、神楽はほんの少しだけ微笑んだ。

神楽

明日、沖田にお礼言っとくアル。

神威

駄目

神楽

何でヨ!それにこの神楽様がちょっとやそっとじゃこの抜群のプロポーションを崩さない事を、奴に見せしめてやらなきゃならないネ!!

神威

……

神楽

せいぜい悔しがるがいいアル!!

神威

………そ

素っ気ない返事ももろともせず、拳を握って意気込む少女の胸には、寒さにめげない想いの詰まった袋が一つ、抱かれていた。 冬の夕暮れ。 出逢ったのは、 兄の真っさらな微笑みと、仄かな手のひらの温度、そして 彼からの温かい贈り物。

オマケ!

沖田

チャイナ、お前本当毎日肉まんばっか食ってるよな

神楽

いいダロ別に。毎日食べても飽きないアル!何を隠そう弁当の中も全部肉まんネ。兄ちゃんもよく買って来てくれるのヨ。

沖田

…あの人が?

神楽

そーヨ。私毎日大量の肉まん買ってくれる男となら付き合ってもいいアル。

沖田

…ふーん

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