テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
誰かの支えになりたくて、でもいつの間にかひょんたちに支えられていた。 いわゆる愛されマンネ。 大人びた顔立ち、涼しげな瞳。 しなやかな体つき。 誰がどう見たって王子様系センター候補に見える。 でも実際の僕とは違う。 ふわっとしてて、人の話を聞いてるようで聞いてない。 笑ってるだけで先輩たちにおやつを渡される。 「もー、仕方ないな、笑」って何度も言われ 頭をぽんぽんされる。 そんな事をされる僕だが、 ダンスになるとストイックになる。よく言われた。 「そあは軽いな」 「なんでそんな飛べんの」 何百回も聞いてきた。 でも僕自身は知ってる。 軽く見えるのはその裏で重たい努力があるものだってことを。 鏡の前で何度もターンを繰り返す。 つま先の角度、手の高さ。 誰よりも早く足を出して、誰よりも緩く首を振る。 魅せるってことは偶然の一瞬じゃ足りないんだって。 何度も思い知った。 ある日、振付師の方がふと口にした言葉。 僕の胸にずっと残っている。 「そあ、君の踊りは風みたいだね。軽やかで、でもちゃんと熱がある。」 マンネというポジション。 何をしても褒められる。ある意味特別扱い。 でも自覚していた。 それが自分の武器であるのと同時に、いつか舐められる理由になることも。 だから誰も見ていないときこそ、 誰よりも練習した。 誰かの弟じゃなくて。 アストレインのそあとして立つために。 初めてのカムバ活動でバックステージのモニターに自分のダンスが映った時。 モーションが、振り切った表情が、 想像以上にアイドルしていた。 あぁ、ちゃんと届いてる。 僕じゃなくて、僕たちとして。 1人じゃなくて、みんなで輝いている。
TOA
SOA
メンバーの声が今日も優しく耳を撫でる。 でも僕はただの可愛いマンネじゃない。 誰よりも自分の背中で語ろうとする人。 だから彼は今日も軽やかにステージを舞う。 愛されながらも、自ら愛することを選びながら。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!