TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

タイトル、作家名、タグで検索

テラーノベル(Teller Novel)
俺の思い出 *馬*

俺の思い出 *馬*

「俺の思い出 *馬*」のメインビジュアル

1

俺の思い出 *馬*

♥

34

2021年10月29日

シェアするシェアする
報告する

零蘭

これは俺がある馬と出会った話。

零蘭

俺の家は飲食店と言うこともあり、昔から動物は飼えなかった。

零蘭

でも、俺は動物を飼いたくて

零蘭

小学生の時からずっと、親に「動物を飼いたい」って言っていたよ。

零蘭

案の定、親は駄目ってね。

零蘭

だから俺は、隣の家の人が飼っていた馬を可愛がっていた。

零蘭

その馬は、俺が小学校低学年の時に隣の家に来た。

零蘭

俺の身長より遥かに大きく、真っ黒な馬だった。

零蘭

隣の人に、「いつでも馬を構っていいよ」って言われたから、ほぼ毎日撫でに行ってた。

零蘭

可愛いかったし、大人しかった。

零蘭

俺の身長じゃ手が届かない時は馬が毎回届くように、頭を下げてくれていた。

零蘭

一週間経って

零蘭

呼べばすぐ来るし、呼ばなくても足音を聞き分けて、柵からよく顔を出すようになっていた。

零蘭

自分の兄弟の足音で来るのか試した事があったが、その時は顔を出さなかった。

零蘭

馬って耳がいいんだな。

零蘭

そう言えば、馬が逃げ出した事もあったな。

零蘭

柵がゆるかったとか。

零蘭

その時は、皆でむちゃむちゃ探したね。

零蘭

車にひかれたらどうしよう。

零蘭

怪我とかしてないかなって。

零蘭

大声で叫んでたら、何気ない顔で帰ってきたよ。

零蘭

まぁ俺も驚いたね。

零蘭

他には、馬のブラッシングや馬小屋掃除、馬の餌やり、馬洗いも手伝わせて貰ったね。

零蘭

その時は、お隣さんにアイスご馳走になったな。

零蘭

馬の誕生日に、馬の形に木を伐って、彫って、ペンキを塗ったネームプレートをプレゼントした事もあったな。

零蘭

そんなこんなで、馬と出会って数年たった。

零蘭

高学年になっても当たり前のように、ほぼ毎日会っていた。

零蘭

ある日、俺は習い事で帰りが遅くなってしまった。

零蘭

秋から冬になる時期で、だいぶ暗くなっていたから、この日は会いに行かなかった。

零蘭

次の日に会えると思ってたからな。

零蘭

次の日の学校終わり、いつも通りその馬に会いに行った。

零蘭

でも、馬はいなかった。

零蘭

代わりに、馬のいた所に何か飾ってあった。

零蘭

白い菊の花だった。

零蘭

俺は意味が分からなかった。

零蘭

一昨日まで元気だったのに。

零蘭

ほぼ毎日会ってたのに。

零蘭

あんだけ一緒にいたのに。

零蘭

なんで俺は昨日、会いに行かなかったんだって後悔した。

零蘭

辺りが暗くなる時間帯でも、無理に会いに行けばよかったってな。

零蘭

俺は泣きながら家に帰った。

零蘭

自分で言うのもなんだが、俺は滅多に泣かない方だと思ってる。

零蘭

そんな俺が泣いて帰ってるのを見て、親は驚いていたと思う。

零蘭

親は「どうしたの?」「怪我したの?」「何か嫌なことがあった?」って聞いてきたが

零蘭

俺は、生まれて初めて過呼吸に成る程泣いてたから、返事が出来なかった。

零蘭

親は、俺の過呼吸が落ち着くまで慰めてくれたよ。

零蘭

そして、馬のいた所に菊の花があった話をした。

零蘭

親も察しただろうね。

零蘭

でも、「馬はね、きっと牧場に行って自分のお友達を増やしにいったのよ。」って言ってた。

零蘭

それでも納得いかなかった俺は、お隣さんに直接話を聞きに行こうとした。

零蘭

それを親は止めてたね。

零蘭

まぁ、そりゃそーよな。

零蘭

また俺が、過呼吸起こすかもしれないしな。

零蘭

それに真実を知った時の俺を心配してくれたんだと思う。

零蘭

だから最後どうなったのかは俺も知らない。

零蘭

知らない幸せってあるんだろうな。

零蘭

俺の思い出話を、最後まで聞いて下さった方、有難う御座いました。
loading

この作品はいかがでしたか?

34

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
;