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蒸し暑い、夏の教室。
扇風機の回る音だけがぼんやりと響いている。
先輩
先輩
突然、目の前の先輩が照れくさそうに言った。
いつもの飄々とした先輩からは想像できないくらい、耳まで真っ赤になっている。
〇〇
私はそれ以上言葉が出なかった。
心臓がきゅっと締め付けられるような、痛いような、でもどうしようもないような。
その時、先輩の携帯が鳴る。
先輩
先輩が携帯に出ると、可愛らしい声が聞こえてくる。
携帯をすぐ切って、先輩は言葉を続ける。
先輩
先輩
教室を出ていく先輩の声を追いかけて廊下へ出る。
〇〇
先輩
そんな短い会話だったけれど、私にとっては楽しい時だった。
校庭に出ると、校庭の隅に植えられたブラシの木を見つけた。
〇〇
1つだけブラシの木の花を摘む。
すると、先輩が笑顔で近づきてきた。
先輩
〇〇
ブラシの木の花を貰って背中を向ける先輩。
〇〇
私は地面に視線を落とした。
ぽつ、と涙が自分の影の中の地面に落ちる。
渡した花の花言葉は、
「儚い恋」