いるま病み

単純だった

誰かから必要とされたのが嬉しくて

つい決めてしまった

このころの俺は知るよしもない

この決断が

俺の人生をめちゃめちゃに してしまうことを…

俺の二つ上の四年生の先輩たちはすごく上手かった

異次元レベルだった

いつかこの人達と同じ舞台に立ちたい

俺はそう願ってしまった

学校ではいじめられていた

身長が低いから

俺、あいつと三センチしか違わないのに…

だから嬉しかったんだ

求められるのが

ドリブルだって、ディフェンスだって教えてもらっていない

けど俺は早かった

走れたから試合には出された

ただただ楽しかった

先輩たちが卒業するまでは…

先輩たちが卒業して突然始まったフットワーク

やりすぎな程の練習

訴えれば捕まるほどの罵倒・暴言

苦しかった辛かった

俺には同級生が居なかったから

ずっとずっと一人ぼっちだった

学校では新しく来たやつが担任になった

ただただストレスの原因だった

なんでも相談しろと言ったから相談したのに

口が悪いだとか、みんな怖がってるからやめろだとか

俺がただ真剣に授業を受けていただけなのに

急に廊下に呼び出されてなんで怒っているんだ態度に出すな

意味がわからない

俺は目つきが悪かっただけなのに

真剣に授業受けちゃダメなのか？

やってもいないことをやったと言われて

親友のなつとじゃれていたら起こられる

ほかのやつはもっと騒いで居るのに俺らだけ

そう、俺の人生は

小五で終わった

ストレスで寝られない毎日

ストレスで起きれない毎日

ストレスでまともに活動できない毎日

ストレスで痛い頭

疲労による身体の痛み

1.5キロメートルある通学路

頭に響く雑音

親友へまでも作り笑顔

俺は声が低いから

誰になにをいっても届かない

同じことを繰り返す教師

そんなの知ってる

しつこい

こんな時間があるなら算数の足し算やっていたほうがましだ

ほら、ストレスがたまると俺は頭が痛くなる

保健室、行こうかな…

ほら、また作り笑顔

あぁ、帰ったらすぐにバスケか…

体育館では飛び交う声などない

下手くそなお気に入りを褒めるコーチの声と

五年生にもなってようやくドリブルを教えた俺達に対する罵倒

このどちらかだ

お前が今まで放置してきたんだろ

いまさら期待するなよ

部屋に帰ったら必ずやること

リスカ

これだけは俺を裏切らない

俺の場合切るんじゃない

刺すんだ

まぁもちろん切るけども

まず俺は刺すことで全てを忘れる

そしたらあとは単純だ

刺して、刺して、刺しまくる

切って、切って、切りまくる

それを気が済むまでやり続ける

薬

もちろんただの薬じゃない

精神科で貰った薬と

市販の痛み止め、睡眠薬を通常の四倍の数を飲む

そして、お気に入りのくまのぬいぐるみにキスをして眠る

このまま苦しまずに死ねたらいいのにと願いながら

そんな糞みたいな毎日を二年間続けた

六年生になった俺は完全に一人ぼっちだった

唯一の助けであった一つ上の先輩たちも消え

俺は何度も自殺をはかった

けどやっぱり人間ってめんどくさいな

悔いがあったら、なかなか死ねない

やっぱりバスケが好きなんだ

やっぱり後輩が愛おしくてたまらないんだ

なぁ、俺はどうしたらいい？

あと、三ヶ月だ我慢しろ俺…

そして、俺のバスケ人生は終わりを告げた

はずだった

なのに、ただでさえ弱いうちのチームで主力二人がコロナで欠場

俺のチームは出場を辞退した

さすがに悔いの残った俺はバスケを続けることにした

バスケは、好きなんだ

環境が変われば人生も変わるかも知れない

まぁ、結局コーチどもは最後の最後まで俺のことはどうでもよかったらしいけどな

あれから俺は少し前向きになった、

気がする

ODのほうはだいぶ量は減ったが

リスカの癖だけは消えない

俺は本当に生きていけるのだろうか

中学では仲間にも恵まれ、また先輩たちともバスケができた

それでも俺はあの地獄からいまだに抜け出せないでいる

正式ではないが対人恐怖症に近いと診断された

対象は大人で両親ですらたまに発作が起こる

そして特に顧問などとの対面で

会話をすることが難しく

見た目が怖く小学校のときのコーチに似ているのもあり

いまだに会話が怖い

だから、リスカやODは減らないが

自分なりにすこしずつ改善していっている

そしてなにより俺は…

恋をしている

そう、この人

先輩のLAN

小学校から好きだったけど今は一段とおかしいくらい好きだ

けど、この思い伝えられないな

と、思っていたのに

まさかの告られました

この人のおかげで俺は人生をもう一度やり直すことができた

先輩はもうすぐ卒業だけど

付き合ってるんだからな

いつでも会えるさ…

今までの地獄のぶん

幸せになれるかな…