ザァァァァァ ザァァァァァ
窓に打ち付ける雨の音で目を覚ます。
N.
久しぶりだな……
h.
懐かしい声。
目の前には体が半透明な君。
N.
N.
h.
N.
h.
N.
h.
N.
俺は窓から空を見上げる。
朱く染まった空には、帳が降りるように 深い藍色が掛かっている。
誰そ彼時だ。
俺は視線を戻す。
h.
h.
N.
h.
ほとけっちは何処からともなく 小さな箱を取り出して、中を見せる。
N.
箱に入っているのは金色と銀色の指輪。
それぞれの装飾は俺たちを表しているように見える。
h.
h.
N.
俺は銀色の指輪を左手の薬指にはめる。
h.
h.
N.
N.
ベランダの窓を開け、上を見上げる。
N.
ふと 我に返る。
N.
空見たって何にも無いのに…
空には、満天の星が瞬いていた。
ー数年後ー
ここ数年、雨が降らない日々が続いている。
作物が全く育たないため、 世界問題になりつつある。
そんな中、超が付くほど吞気な人が約一名。
N.
今は会社は長期休み。
久しぶりの連休で楽しみにしていた。
でも実際休みになるとすることがない。 マジで。なんもない。
やることなさすぎる…
俺の人生から仕事がなくなったら こんな暇人間になるんだな~ …そう考えたらニートってすごい。
とか思いながら、指輪で弄ぶ。
暇な時や緊張したときに指輪を触るのは俺の癖だ。
会社の人によく「彼女想いなんですね」 とか言われるけど別にそういうわけじゃない。 …てか彼女いないし。
いつからかはわからないけど、 気づいたら癖になってただけ。
N.
ふと思い、指につけた指輪を見つめる。
澄みきった水色に 薄紫色のグラデーションで、 所々に小さな星を散りばめられた 美しい装飾が施された白銀のリング。
何処かで見たことあるような…… なんだっけ… 夢…?
いや、違う。知ってる。 俺はこれを知ってる。
なのに思い出せない。なんだ?
『ないちゃん』
不意に 耳の奥で俺を呼ぶかわいい声がする。
瞼を閉じると浮かぶ 水色に淡い紫色のグラデーションで 小さな星が散りばめられた髪の毛。
指輪と同じだ。
指輪はきっとこの人との思い出の証明だ。
瞬きをする度に見える、人懐っこい顔で笑うその人。
もっとちゃんと見たくて いや、見なくてはいけない気がして 俺は瞼を閉じる。
『絶対忘れないでね』
大切な人。
世界で一番大切な人のはずなのにわからない。
『約束っ!』
ああ、約束したのに 忘れてしまってる。
この人は、あなたは一体だれ?
『うん、絶対忘れない。』
俺の声がする。
約束、、思い出さなきゃ…
君はだれ?君の名前は… ねぇ、君は誰なの…?
『ずっと大好きだよ、ーーけーち』
あと少し。
もう少しで君をッ
『ーとけーち!』
『大好きだよ、ほとけっち』
思い出した。
俺の大切な人。
もう二度と忘れたくない人。
絶対に忘れちゃいけない人。
そして君の名前を思い出すと同時に 君のと記憶がフラッシュバックする。
N.
N.
『やっと思い出した。 もうッ 遅いよ、ないちゃん』
細めた目 いっぱいに涙を溜めて 柔らかい笑顔を向けるほとけっち。
『もう、忘れないでね?』
N.
『約束。』
*‥*‥ fin ‥*‥*
最後まで読んでくださり、 ありがとうございました。
初めてなので、至らぬ点は多々あったと思いますが、 それでもここまで読んでくださったあなたが大好きです。
頻度は低いですが、これからも精一杯書いていこうと思います。
今後とも、彩紗をよろしくお願いいたします。