雪
まだ目が慣れないまま、ずっと遠くにいる彼に告げる
雪
後ろ手に隠した拳銃のトリガーに指を滑らせる
秋月
秋月
数秒の沈黙の後、さぞ楽しそうに口を開く
雪
呼吸を整え、この部屋に響く凛とした声で再び告げる
雪
流れるような手つきで遠くの彼へ拳銃を向ける
秋月
秋月
怖がりもせず、まだヘラヘラとした態度を崩さない
雪
利き手で銃本体を支え、もう一方の手で利き手を支える
雪
秋月
秋月
その言葉に彼女は目を一瞬見開き、体を硬くする
雪
昔に上官に言われた言葉が頭の中で反芻する
「目的の為であれば、殺せ」
「我々は正義だ。きっと、誰も咎めやしない」
その言葉に私は幾度も頷いてきた
だが、私は分かっているのだ
雪
秋月
その言葉に煽られるように彼のすぐ横を撃ち抜く
雪
雪
この叫びは焦りからだった
それ以上の言葉を言える筈もなく、俯いて唇を噛むしか出来なかった
秋月
同時に宙に舞う王冠
雪
咄嗟に受け止めようとする両手から拳銃が零れ落ちる
それに目を向ける暇もなく、重力に逆らうことなく落ちていく王冠に向かって走る
雪
危機一髪の所で王冠は自分の胸に収まった
緊張感が去り、床に座り込もうとするが、
雪
雪
後ろから急に抱擁される
抵抗しようにも、両手には大事な王冠で塞がってる為、言葉のみの抵抗しか出来ない
秋月
秋月
雪
別に恥と思った事などない
男性に現を抜かすなど、何の成果もありはしない
秋月
無理やり顔を向けさせられる
秋月
雪
雪
雪
雪
当たり前の事を述べる
その他にあるとすれば、
雪
秋月
少なからず、彼は楽しそうではなかった
雪
漸くこの状況にも慣れてきた
このまま、軽くあしらえば……
雪
いきなり口付けをされる
余りにもいきなりの事に目を見開いたまま硬直してしまう
自分の目にはずっと見つめてくる彼の姿が映っていた
自分の腕を前に突き出して、体を離す
雪
不思議な事に、特別嫌悪感を抱くことは無かった
ただ、自分でもよく知らない感情に押しつぶされることが嫌だった
心が痛い
この気持ちは一体なんという名前なのだろうか
雪
雪
雪
秋月
秋月
それだけを言うと私の前から姿を消す
雪
彼がいた場所へ伸ばした手は何も得られず、空虚を掴んだだけだった
雪
高鳴る心臓、紅潮する頬
隠すように顔に手を当てる
秋月
秋月
秋月
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