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クレセント

…では早速。

クレセント

『イリュージスムーン』

ぐらっ───

アスター

(…!?)

アスター

(まずい、このままじゃ倒れて…)

アスター

…。

グラウス

そうか、分かったぞ。

グラウス

クレセント、お前の魔法は───…

クレセント

…。

クレセント

これでいいか。

アスター

(ここは…?)

アスター

(私は確か…)

???

うっ…ぐすっ…

アスター

…?

アスター

君、ここで何しているの?

???

お姉ちゃんこそ…何してるの?

「何しているの? 早くしなさいよ。」

アスター

うっ…。

アスター

(大丈夫、相手はただの子供だから…。)

???

…お姉ちゃん、遅すぎるよ。

アスター

な、何が…?

???

全部。遅すぎたんだよ…。

「あなた、遅いのよ。全部。」

「それじゃいつか手遅れになるわよ。」

アスター

(なんでこんなピンポイントに…)

???

お姉ちゃんは今のままでいいの?

アスター

今のままでいいの、か。

アスター

私は別に今のままで十分満足しているよ。

???

本当に?

???

それじゃあ、お姉ちゃんが満足していても周りは?

「本当に?」

「周りはどうなのかも知らないのにそう言えるの?」

「少しは周りのことも見なさい。」

アスター

…。

アスター

君は誰なの? 私に用事があるのかな?

???

私は…

幼いアスター

昔のお姉ちゃん。

アスター

昔の…私…?

幼いアスター

お姉ちゃんは昔からそうだったよね。

幼いアスター

自分が良ければそれでいい。

幼いアスター

他人なんて二の次だって。

幼いアスター

だからお母さんにも背いちゃったの?

幼いアスター

大人しくお母さんの言いなりになっていれば良かったのに。

アスター

は…?

私は名家、ミラージュ家の長女だった。

私には4つ年の離れた妹が居た。

妹は2本線だった。

幼いアイ

…お姉ちゃん? どうしたの?

幼いアスター

何でもないよ。

幼いアスター

一緒に遊ぶんだったよね。ほら、遊ぼう?

幼いアイ

うん…。

幼いアスター

何して遊びたいの?

妹は自分が周りに贔屓されているということを知っているはずなのに、何故か私と仲良くしたがっていた。

周りからは“名家の子供”と言うだけで、話しかけるだけで驚いてどこかへ行かれたりからかわれたりもした。

幼いアイ

あの…

子供

“オジョウサマ”が“ショミン”に何の用だ〜?

子供

ギャハハハハ!

幼いアイ

えっと…

幼いアスター

君達アイの同級生でしょ? アイに何か用でもあるの?

子供

あー、オネーサマじゃねぇか〜。

幼いアイ

お姉様…えっと…私があの人達に話しかけて…。

幼いアスター

本当に庶民は礼儀がなっていない人達が多いんだから!

幼いアスター

アイ、別のところに行こう?

幼いアイ

あ、は、はい…お姉様…。

子供

じゃあな〜オジョウサマ〜!

子供

もう来なくていいぞー!

子供

ギャハハハハ!

なんで街の子供と話したの!

幼いアイ

ごめんなさい…お母様。

幼いアイ

一緒に話がしてみたくて…。

幼いアスター

ごめんなさい。

アスター、あなたはきちんと止められたはずなのにどうして止めなかったの?

幼いアスター

ごめんなさい…少し用事があって…。

どうして妹より用事を優先するのよ!

幼いアスター

ごめんなさい…!

幼いアスター

(どうして…私ばっかり)

幼いアスター

(アイだって悪いでしょ…それにお母さんも。)

わたしは ひとりで よかったのに。

いもうと なんて いらないのに。

あれから、私は何かある度に責任を押し付けられた。

あなたがアイを見ていなかったのが悪いのよ。

あなたがよそ見していたからこうなったのよ。

きちんとアイに注意をするように言ったの?

幼いアスター

だから もう かぞくなんて いらない。

幼いアスター

ともだちだって なかまだって いらない

幼いアスター

…そうでしょ? “アスター”。

アスター

(家族も友達もいらない…?)

幼いアスター

…。

???

名家の人なんですか? 凄いですね!

幼いアスター

そんなことないよ。私はいつも怒られてばっかりだし…。

???

でも、いつかいいことがあると思いますよ。

幼いアスター

そう…。

幼いアスター

…はい、絆創膏貼ったよ。

幼いアスター

気を付けてね。

???

ありがとうございます!

???

そうだ、私の名前は───

アスター

家族も仲間もいらない? 私1人だけでいい?

アスター

本当にそうなの?

幼いアスター

うん。いらない。

アスター

じゃあ、“アスター”は何が出来るの?

幼いアスター

…自分のこと、何も出来ない奴だって言いたいの?

アスター

そう。私は1人じゃ何も出来ない。なにも成し遂げられない。

アスター

それに、1人じゃ寂しいからね。

幼いアスター

うっ…

幼いアスター

1人じゃ…寂しい…?

アスター

うん。だから人間は協力しているの。

幼いアスター

うっ…うぅ…

幼いアスター

そう…なの…?

アスター

うん。“アスター”も辛いよね、きっと。

アスター

誰にも信用されずに、誰にも近寄られずに。

アスター

でも、その内“私”の周りには信頼出来る仲間がたくさん出来るよ。

アスター

だから、それまで頑張って。

幼いアスター

うっ…うわぁぁぁん!

アスター

…。

アスター

(ごめんね。本当は今がいちばん辛いの、私も分かっているはずなのに。)

アスター

…あれ。

クレセント

…俺の魔法が見破られましたか。

クレセント

(やはりこの人、強い意思を…。)

クレセント

兄様もそろそろ起きるでしょう。

クレセント

見破られましたか。あなた達に魔法を使うのは初めてだったはずなのに。

アスター

あはは、ごめんね、見破っちゃって。

クレセント

いいんです。ここは俺の負けです。通ってどうぞ。

アスター

…戦わないの?

クレセント

…アベル様との約束ですので。

クレセント

俺は魔法を使うだけで他人に攻撃しないという約束をしたのです。

クレセント

つまり、俺の魔法が見破られれば俺は戦いに負けたようなものです。

アスター

それじゃあ、お言葉に甘えて通させてもらおうかな。

アスター

…ところで、グラウスくんは何をしているの?

クレセント

寝てます。俺の魔法じゃないです。

クレセント

俺の魔法が見破られて、まだその魔法を解かれたばかりのようですが…。

アスター

そ、そうなんだ。

アスター

じゃあグラウスくんが起きたら行くよ。

クレセント

はい。気をつけてください。

【参加型】泣き虫の魔法学校生活

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