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「クリスマスまでに彼氏をつくる!」
そう宣言した翌週、樫村奈七は早速行動を始めていた。
といっても、特別なことをしているわけではない。
アプリに登録して、勇気を出して数人とメッセージを始めてみただけだ。
樫村奈七(かしむらなな)
メッセージの文面を何度も打ち直しては消し、「!」をつけすぎてやたら元気に見えたり、逆にそっけなさすぎたり。
自分でも分かっている。
奈七は“恋のことになると不器用”なのだ。
それでも、
樫村奈七(かしむらなな)
と、気合いだけは十分だった。
そして週末。
メッセージが続いた相手・佑真と初めて会うことになった。
駅前で待ち合わせをすると、佑真は爽やかな笑顔で手を振ってくれた。
赤木佑真(あかぎゆうま)
樫村奈七(かしむらなな)
見た目は悪くない。
話し方も明るくて、緊張している奈七を気遣ってくれる。
樫村奈七(かしむらなな)
そう思ったのも束の間、カフェに入って5分。
佑真はにこにこしたまま言った。
赤木佑真(あかぎゆうま)
樫村奈七(かしむらなな)
赤木佑真(あかぎゆうま)
にこにこしながら、妙に上から目線。
そのあとも気づけば自分の自慢話ばかりで、奈七が話すとすぐ話題を変えられてしまう。
樫村奈七(かしむらなな)
奈七の胸に、うっすらモヤモヤが広がった。
デートは1時間ほどで終わり、駅に着くと佑真はサラッと言った。
赤木佑真(あかぎゆうま)
樫村奈七(かしむらなな)
樫村奈七(かしむらなな)
送られたのは、感謝よりも微妙な余韻だった。
空から、みぞれが少しだけ落ちてきた。
週明け、会社に出ると、奈七の上司・峰田恭也はいつも通りピリピリしていた。
峰田恭也(みねたきょうや)
樫村奈七(かしむらなな)
峰田恭也(みねたきょうや)
淡々とした声なのに、刺さるように冷たい。
樫村奈七(かしむらなな)
奈七はしょんぼりしながら自席に戻り、ため息をついた。
そこへ、美咲からメッセージが届いた。
小田野美咲(おだのみさき)
樫村奈七(かしむらなな)
奈七は机に顔を伏せながら返信する。
樫村奈七(かしむらなな)
送信ボタンを押すと同時に、峰田が奈七の近くを通り過ぎた。
その横顔はいつも通り険しくて、でもどこか遠くを見ているような寂しさがあった。
樫村奈七(かしむらなな)
そう思いながら、奈七はもう一度ため息をつく。
今年の恋活は、まだ始まったばかり。
だけど、すでに先行きは不安だらけだった。