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女の名は。

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女の名は。

1 - 第1話 地獄の始まり

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2025年05月13日

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まだ寒い春先の日。 私の村は、大きな炎の海に覆われていた。

村の人達が焦った様子で村を出ようとする。

…だけど、次に目を開けると 周りは血の海に覆われていた。

私は殺されていく村の人を、ただ呆然と見ることしかできなかった。

男の野太い叫び声ではっ、とする。

あの声は父の声だ。

私は震える足にムチを打って走り出した。

父さま、と言おうとする前に息をのむ。

誰かが父さまを捕らえている。

思わず後ずさると、音が鳴ってしまった。

すると、父さまを捕らえていた男は

華乃様…

確かに、そう言った。

だが、華乃という女性は知らない。

誰だ、と考えていると

…お前はこの男の娘か?

そう、男に聞かれた。

私は小刻みに震えながら首を縦に振った。

すると、その男は言った。

お前が華乃様の娘だな

華乃とは一体誰だろう。

あぁ、そういえば…4年前に行方不明になった母さまがそんな名前だったかもしれない。

詳しく教えてもらってないから 何もわからないけれど。

それで、何故この男は母さまの名と 私の存在を知っているのだろう?

何も答えない私を横目に、男が父さまを 刺そうと剣を強く握り直す。

 

やめてっ!!

私は咄嗟にそう叫び、着物の中に隠しておいた苦無を持って構える。

…驚いた、くノ一か。それも華乃様譲りか?

…厳密にいえば、私はくノ一ではない。

少しだけ、母に教わった事があるだけだ。

それでも母は素質があると褒めてくれたが。

…ここで戦ってあの方の娘を失うのは損害でしかない。だが…

そう言って、男は私の方に剣を向ける。

お前がその気なら。殺さない程度に痛めつけ、捕縛する事だって可能だ。

全身に悪寒が走る。

こいつは私を本気で捕らえようとしている。

私は少しだけ考えて、男の方に体を向けた。

 

…私は、弱い。ここで戦っても負けるのは目に見えています

ならばどうする?

 

父さまを人質にしてください

 

そして、六月待ってください。それまでに修行し、父さまを助けに行きます

 

それまで、戦は休戦です。

男もまた少し考え、すぐにこちらを向いた。

…面白い!いいだろう、その提案をのんでやる

我らはドクツルタケ城、そして俺は忍隊組頭だ。六月後にまた会おう

それまでに亡くならなければの話だがな

男は笑いながら、門番に声をかけに行った。

その笑い声は、ずっと耳に残る感じがして とても、とても不快だった。

何もなしにこの村を出るわけにはいかないと思い、自分の髪を触る。 私は覚悟を決めて、髪に苦無をかける。 これは私の覚悟だ。 ただ、自慢の髪だったのだが。

私は少しだけの荷物を持ち、村の入り口へ向かった。

道中、悲惨に切り刻まれた村の人達の死体が目に入る。

助けられなくてごめんなさい。

ちゃんと埋葬できなくてごめんなさい。

せめてこれだけでも、という思いで手を合わせる。

 

誰か…誰か、優しい人に埋葬してもらってください

 

今までありがとう。…さようなら

たしか母は、ここから北東にある『ニンジュツガクエン』という所でくノ一になった。

厳しい道のりなのは重々承知の上。

それでもでも、私に進む以外に道は 残されていない。

私は、生きる。絶対に。

そう思いながら、門に足をかけた。

 

名前 ??
年齢 14
薄紅色の髪と目を持ち、『悪魔』と恐れられてきた。

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