テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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LINE１３１５

第1話 - あ

2023年11月15日

#スカッと

タナカトシキ

ケイタ

タイセイ

ケイタ

志望校どこにするか、決めた？

タイセイ

決めたけど？

タイセイ

なんで？

ケイタ

へ～決めたんだ

ケイタ

俺は、お前てっきり大学には行けないと思ってたからさ

ケイタ

なんか、意外だよ

タイセイ

奨学金を借りて行こうと思ってる

ケイタ

へ～そこまでしていきたいの！？

ケイタ

奨学金なんて、学生のうちに背負う借金みたいなもんじゃん

ケイタ

そこまでしないと大学に行けないなんて、相当貧乏なんだな

ケイタ

かわいそうにー

タイセイ

別に、ケイタにそんな心配されなくても大丈夫だから

タイセイ

俺にいちいち突っかからなくてもいいよ

ケイタ

突っかかりたくて言ってるわけじゃないけどさー

ケイタ

なんか、気になっちゃんだよね

ケイタ

あまりにも俺との環境が違いすぎてさ...（笑）

タイセイ

あっそう

タイセイ

そういうケイタは、どこの大学に希望出すんだよ？

ケイタ

俺は、ＡＯ入試で推薦にするんだよ

ケイタ

私立の大学にね

ケイタ

経済学部に入って、大手企業に入りたいんだ～

タイセイ

AOかよ

タイセイ

親の金でラクして入れるやつはいいよな

タイセイ

努力もしなくて済むんだからさ

ケイタ

いや～ボンボンは楽だからマジで最高～

ケイタ

もう合格も同然だし、今から色んなことして遊べるわ

タイセイ

そんなに遊んで...あとから後悔するのは自分だと思うけど？

ケイタ

後悔？

ケイタ

何だよ後悔って

ケイタ

俺の家は一人っ子だし、父さんは不動産の会社経営してる社長なんだから

ケイタ

この後の生活も安泰に決まってんだろ

タイセイ

そういう変な自があとあと、何か起きた時に対処できなくなって困るんだろ

ケイタ

は？今を楽しく生きないと、あとで人生後悔するじゃん

ケイタ

金がないーって質素な生活してるお前とは、生活満足度が圧倒的に違うんだよ

タイセイ

何だよ...生活満足度、って...

タイセイ

罰に、俺はそんなの求めてないし、苦労してでも大学行って勉強したいことがあるんだ

ケイタ

え？何しに大学行くわけ？

ケイタ

っていうか、やりたいこととかあったんだな

タイセイ

俺は、ケイタみたいに何の目的もなしで大学に行きたいわけじゃないから

ケイタ

俺だって、目的ありきで行くんだけど？

ケイタ

サークルで遊びまくって、４年間を謳歌するのが大学生の過ごし方だろ？

ケイタ

まあ、高校生活もまあまあ謳歌できたけど、

ケイタ

なーんか、イマイチルールとかなんとか...いろいろめんどくせーじゃん？

ケイタ

そんなしがらみなしに、思いっきり遊んで４年間楽しむんだよ

タイセイ

そんなことして、卒業後の進路に困るんじゃねーの？

ケイタ

俺は、親父の会社のコネで大手の会社に入社する予定だから

ケイタ

っていうーことは、大学生の間も、将来の生活も...安定、ってわけ

ケイタ

安定した仕事ももらえる、ってことは、安定した生活を求めるパートナーも簡単に見つかる～

ケイタ

いや～マジでお金あれば何も不自由なく生きれて幸せだわ

ケイタ

って、貧乏な奴の前で言うことじゃないか！（笑）

タイセイ

家は裕福ではないけど、でも仕事頑張ってる母さんのおかげで高校も行ってるんだ

タイセイ

だから、別に金がなくたっていい

ケイタ

それは、貧乏人の強がりなんじゃね？

ケイタ

金がなくても幸せ、とか言うけどさ...それは必死に言い聞かせてるだけなんじゃないの？

タイセイ

俺は、本当にそう思ってるから

タイセイ

だから、大学進学だって諦めない

タイセイ

お前と違って、これから本気で頑張って、親のことラクにしてあげたい、って思ってるんだから

ケイタ

高望みしすぎると、叶わなかった時がしんどいぞ～

ケイタ

やめとけよ

タイセイ

お気遣い、どうもありがとう

タイセイ

でも、お前に構ってるこの時間も無駄なんだよ

タイセイ

じゃあな

～５日後～

ケイタ

タイセイ！

タイセイ

何？

ケイタ

お前、深夜のコンビニバイトなんてしてたんだな

タイセイ

え...なんでそのこと知ってんだよ？

ケイタ

俺が通りすがりに、ゴミ出しで外に出てきてるのを偶然見ちゃったんだよ

ケイタ

先生とか同級生にばれるのが嫌だから、わざわざ学校が離れたコンビニで、

ケイタ

深夜の人があんまり来ない時間帯狙ってるんだろ？

タイセイ

そうだよ

タイセイ

お前、このこと誰にも言うなよ

ケイタ

あれ？いいの？そんな言い方しちゃって

ケイタ

俺はいつでも先生にお前がアルバイトしてること、言えるんだぞ？

タイセイ

お前、人の弱み握るなんて相当性格悪いな

ケイタ

最初っからそんなこと分かってんだろ？

ケイタ

まあ、性格悪いんで、お前の弱み、存分に利用させてもらうわ

ケイタ

っていうことで、俺の数学の課題、やっといて

タイセイ

は！？そんなの自分でやれよ！

ケイタ

あれ？いいの？そんなこと言っちゃって

ケイタ

俺はいつでも、先生にも、クラスの奴にだって言えるんだけど

タイセイ

お前...ほんと性格悪すぎ

ケイタ

やってくれるよな？

タイセイ

分かったよ...

ケイタ

よし！そうでなくっちゃ～

ケイタ

マジでサンキューな！

タイセイ

こんなことして、これからどっかのタイミングで後悔するのは自分なんだからな

タイセイ

それだけは覚えておけよ

ケイタ

ハイハイ

ケイタ

まあ、返事するだけでお前の言うことは聞かないつもりだけど

ケイタ

貧乏人の言うことなんて、聞くだけ無駄なんだよ

ケイタ

俺と住む環境も圧倒的に違うんだから

ケイタ

そんな苦労して大学に行っても、お前絶対に苦労するだけだろ

タイセイ

俺、大学には行かないことにした

ケイタ

は？なんだよ、いきなり

ケイタ

あ！まさか、奨学金降りなかったから、とか！？（笑）

タイセイ

違うよ

タイセイ

母さんに、この前言われたんだ

タイセイ

大学進学は諦めてくれないか？って

タイセイ

もし、自分が体調を崩した時に、誰も頼れる人がいないと困るから、って

ケイタ

自分で何もかもやるのは大変だから、って

ケイタ

親の世話しないといけないやつは、大変だな～

ケイタ

メンタル的にやばいんじゃないの？それ

タイセイ

そんなんじゃねーよ

タイセイ

ただ、本当に体調崩すと、何もできなくなるんだ

タイセイ

だから、俺はやっぱり母さんの味方してあげたい

ケイタ

シングルマザーの家で育ったら、そんな責任も感じるんだな

ケイタ

ほんと、お前大変な思いしてるんだな（笑）

ケイタ

俺は遠慮なく、今もこれからもストレスフリーで生きていくけど

ケイタ

マジで生活レベルが天と地の差で違うよな

ケイタ

ウケる

タイセイ

勝手に言っとけよ

ケイタ

面白くなってきた～

ケイタ

AO決まったのに課題出して、学校通うなんて...バカバカしいと思ってたんだ

ケイタ

お前みたいに、俺の言うこと聞いてくれるやるがいてマジ助かった！

ケイタ

サンキュ！

タイセイ

そんなことで感謝されても、全然嬉しくないんだけど

タイセイ

っていうか、お前これがもしばれたらやばいんじゃねーの？

ケイタ

は？お前、まさかばらす気じゃねーだろーな？

ケイタ

そんなことしたら、どうなるか分かってるよな？

タイセイ

別に、ばらすとは言ってないけどさ

ケイタ

そうだよな

ケイタ

臆病なタイセイが俺に逆らうなんて...到底できるわけないよな！

タイセイ

マジで呆れた...

タイセイ

一生そうやって親のすねかじって生きてくんだな

タイセイ

周りのことも利用して...みっともねえ

ケイタ

タイセイに何言われようと、俺は俺だから

ケイタ

じゃあ、卒業式までの残り数カ月、しっかり遊ばせてもらうわ

～5年後～

タイセイ

ケイタ

タイセイ？

ケイタ

なんだよ、いきなり連絡してきて

タイセイ

いや、最近どうしてるのかな～と思って

タイセイ

俺、この前のクラスの同窓会に行けなかったからさ

ケイタ

なんで、お前来れなかったんだよ？

タイセイ

ちょっと、個人的な事象って言うか、用事だよ

ケイタ

またそんなこと言ってさ～

ケイタ

本当は、金がなくて来れなかっただけだろ？

タイセイ

ちげーよ

タイセイ

あれ？もしかして、俺が今何の仕事してるのか...

タイセイ

知らないの？

ケイタ

え？何してんの？

タイセイ

俺、都内の市長になるんだよ

ケイタ

は！？え...どういうこと！？

タイセイ

俺、大学を卒業してから自分で必死で政治のこと勉強してたんだ

タイセイ

それで、アルバイトで都内の市長の事務所で働かせてもらってさ

タイセイ

その人から推薦を受けて、出馬したら当選したんだよ

ケイタ

いやいや...

ケイタ

いきなり、ありえないから！

ケイタ

タイセイが...政治家！？

ケイタ

だって、大学も行ってないじゃん

ケイタ

そんなやつに社会を動かせるわけがないだろ

ケイタ

冗談もほどほどにしてくれよ

タイセイ

冗談じゃないって

タイセイ

ガチなんだから

タイセイ

っていうか、ここ最近テレビでも結構報道されてるけどね

タイセイ

お前、周りのことに全然関心ないんだな

タイセイ

そんなんだから、親に見捨てられるんだよ

ケイタ

え...お前、なんでそのこと知ってるんだよ

タイセイ

なんで、って言われても...

タイセイ

噂って自分の知らないところで広まってるもんなんだよ

タイセイ

書き込みで回ってきたんだよね

ケイタ

クッソ...誰だよ、ばらした奴...

タイセイ

ほんと、だらしねーよな

タイセイ

大学4年間、親のコネで会社に紹介してもらえると思ったら、

タイセイ

単位が足りなくて、卒業できず、自力で就職探しスタートする、なんて

タイセイ

それで、バカにされるのが恥ずかしくて、ケイタも同窓会に行ってないんだろ？

ケイタ

同窓会には行ってないけど...別の理由だから！

タイセイ

そんなようには思えないけど？

タイセイ

プライド高いケイタのことだし、周りになんか言われるのが怖くて、行かなかったんだろ？

タイセイ

考えてること、まるわかりだって―の

ケイタ

だから、そんなんじゃねーって！

ケイタ

悪いのは、あいつらなんだよ

ケイタ

高校の時は、「お前の将来は用意してやるから。心配するな」とか言ってたくせに

ケイタ

留年したこと言ったら、「お前なんか、俺らの息子じゃない！」って...

タイセイ

遊び放題、やりたい放題の息子を持って、親御さんも大変そうだな

ケイタ

俺は...そんなにめちゃくちゃ遊んでたわけじゃねーよ

ケイタ

少し、他の周りのやつより授業サボったりしただけで...

ケイタ

たいして、成績も悪くなかったのに

タイセイ

え？そうなの？

タイセイ

俺の友達によれば、テストもサボりまくってたらしいじゃん

タイセイ

「どうせ単位落としても、親がなんとかしてくれるから」とか言いふらしてたみたいで

ケイタ

え？俺、そんなこと言ったことあったけ...？

タイセイ

どうせ、飲み会か何か行った時に、酔っぱらってそんなこと言ったんじゃねーの？

タイセイ

まあ、そんなこと言ってたら周りに敵作って、嫌な噂もすぐに広められるよな

タイセイ

調子のいいやつ

ケイタ

どうしよう...

ケイタ

俺、これからマジで就職活動イチからスタートしなきゃで...

ケイタ

迷走しまくってんのに...

ケイタ

なあ、タイセイの政治家のコネ使ってさ、何かいいところ紹介してくれね？

タイセイ

イヤに決まってんだろ

ケイタ

何でだよ！？

タイセイ

何でって言われても...

タイセイ

俺はまだ政治家の卵なんだし、お前みたいなやつ紹介して、何かあったら嫌なんだよ

タイセイ

信用にかかわるだろ

ケイタ

そこをなんとか！

ケイタ

俺、マジで正社員の仕事見つけないと、これから生活していけないんだよ！

ケイタ

親にも家から追い出されたし...

ケイタ

貯金３０万円なんだ...

タイセイ

自分の行動を戒めるには、良い環境なんじゃない？

タイセイ

これで、更生できるだろ？

ケイタ

本当に、今まで馬鹿にしてきた俺が悪かった...

ケイタ

だから、この通り！

ケイタ

タイセイの下でもいい！

ケイタ

アルバイトでも、何でもするから！

タイセイ

アルバイトなら、普通にサイトから探して仕事見つけろよ

タイセイ

とにかく、これからは俺の邪魔はしないでくれ

～後日談～

タイセイ

その後、ケイタはすぐにお金を用意しないと住む場所がなかったため、

タイセイ

早朝と夕刊の新聞配達の仕事を始め、毎日働きづめの生活を送る羽目になったようです

タイセイ

そのまま３年が経ち、俺はお金がなくて困っている学生を支援するプログラムを立ち上げ、

タイセイ

俺と同じように大学進学で困っている学生の勉強を助ける活動をしています

タイセイ

自分の本当にやりたかったことを思う存分にできることが、本当に幸せです

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タナカトシキ

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