千夜苦 Part6

君が何年も過ごした部屋で かれこれ1時間以上 横になっている

悲しい。苦しい。 何故かそう思えなかった。 実感が無いからなのかもしれないが

ｶﾞﾁｬ....

マイキーは手に手紙を持っていた。 昨日 何も書いていないと言った手紙を

蘭へ

俺は何処から道を間違えましたか

貴方に出会って愛を知ってからですか

大切な人を殺してからですか

生きたことを悔やむべきですか

生まれ落ちたことを後悔するべきですか

俺にはもう何も分かりません

蘭に与えられた愛ですら苦しいと。

最近はそう思っています

解放してくれ。

いい加減楽にさせてくれ

あわよくば殺してくれ

俺にはもう貴方からの愛は重いです

貴方たちが生きろと俺に願う度

俺の心は消えていました

全てどうでも良くなりつつあります

死なせてくれないなら好きにしろと

言いたかった

でも言えなかった。

それすらも貴方に奪われた

もう苦しめないでくれ

死を望むことを許してよ

蘭、許して。

許してください。

この遺書もきっと誰にも渡らず

どこかに捨てるんじゃないかな

また俺を生かそうとするから

蘭。もう止めないで。

俺の幸せを奪わないで。

でも貴方への愛は偽りではありません

何があっても愛しています

20xx年 9月3日

三途 春千夜

美しい字が陳列していた

よく見ると 所々に水滴の跡がある。 書きながら泣いたのだろうか。

ﾊﾞﾀﾝ

やっと分かったんだ。

この世界にはもう春が居ないこと

春千夜が居ないこと。

君がふとした時に見せていた苦しい顔は

俺が作りあげてしまったものだってこと

それからずっと泣いていた

留まることを知らない涙は 何度も何度も頬を伝い、

そして幾度も首を濡らした。

一日と少しがたった時に 涙はやっと枯れてきた

落ち着いてからも意識が朦朧としていた

扉が開く音がして竜胆が部屋を覗いた

言葉を振り絞ると再び涙が溢れてしまった

許してあげたいよ。