弦月の子

モブくん、もとい魔から逃げるため、図書室を出て校舎を走る

放課後ではあるが生徒も教師も 1人もいないのだ

後ろを振り返ると 魔が追いかけて来ている

藤士郎から貰った結界の札を張ったが効果はなかった

どうにかして距離をとりたい

図書室がある2階から1階へ降りる

近くの教室に入り、教卓の下へ隠れる

少しは距離があったので 死角になったのだろう、魔は私が 見当たらず奥の方へ探しに行った

その隙にスマホを取り出し、 藤士郎に連絡を取ろうと画面を 開くと、連絡が来ていた

そう返すとすぐに既読がつき、 スマホが鳴る

小声で話すとそれに合わせて 声を小さくしてくれた

首を掴まれたが、 怪我はないのでノーカンだろう

ドアを開け、廊下を確認して出る

近くの階段を音を立てないように 上り、2階へ移動する

だが

後ろを振り向くが何もない

一体どこから声がーー

魔は外の窓から私を見ていた

ビシッと音がして窓にヒビが入る

私は階段を駆け降りた

後ろから窓が割れる音がした

中に入って来たようだ

校舎の外に出ようとした時、 魔に捕まった

スマホを落とし、藤士郎の声が遠のく

魔がニヤリと不気味に笑う

どうにか逃れようと動くが、 びくともしない

私の体全体に力を入れてくる

それを最後に、私は 意識を手放しかけた

スマホを落としたのだろう、 叫び声が聞こえた後ゴトンと 音がして蓮遠の声が遠ざかる

魔に捕まったのだろうか

術がかなり複雑に組み合わさって いるようで、強引に破ろうとすると 中にいる蓮遠も、外にいる僕らにも 危険が及ぶ

未だ結界は破れない

早くしないと蓮遠が……！！

その時