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春千夜

ー20ー

春千夜

今月28日は主の誕生日、覚えてたら祝ってくれ

春千夜

キョロキョロ……

現在髪を切って30分後の昼前

俺は服屋の前にいる

制服は燃やして捨てた

だから今着ている服以外服がないのだ

……服買いに来たんだけど…

こういう人が多い場所は苦手なんだよなァ

ナンパ

あ、そこの君。一緒にご飯どう?

春千夜

………触んなドブカス

ナンパ

そっか…ざんねーん……

男はニヤリと笑い…

ナンパ

相変わらずお馬鹿な春千夜には気付けないか

春千夜

………アッ!?

金髪の男は俺を建物の影に連れ込んだ

春千夜

なにす____ッ!!

掴まれた手を振りほどき…

春千夜

っ!?

ナイフを喉元に突きつけられた

ナンパ

……ウチの姫様がお呼びなんだよね

春千夜

……まさか

男はウィッグを剥ぎ取り地面に放り捨てた

若狭

久しぶりだな、春千夜

春千夜

…俺の妹の騎士様が何の用だよ

若狭

俺のっていうところ抜け目はねえナ

春千夜

お呼びだって?千壽は個性に掛けられてるから医療とかじゃ目覚めねえ筈だが?

春千夜

釣り目的か?

段々と苛立ってきて声色が荒くなるのを感じる

若狭

違えよ……ん、

春千夜

……スマホ?

若狭

……

画面を覗き込めばそこには

癖っ毛の白い髪に翡翠色の瞳を細める写真

振り向きピースをしているこの女は、

春千夜

せ、んじゅ……

拍動が速くなり心臓が痛くなる

若狭

千壽から『早く迎えに来て、お兄ちゃん』だとよ

春千夜

……そ、れは…

早く来いと言わんばかりに俺に手を差し出す若狭を直視できない

若狭

ん?ほら、早く来いよ

春千夜

ぅ、ア……

目がグルグルして気持ち悪い

春千夜

千壽を、…よろしく頼む

差し出された手を振り払い俺は路地裏を駆けた

若狭

っ、おい!

春千夜

クッソ…

厚意を振り払った俺にも最低な俺にも反吐が出る

春千夜

……あ、?

なんで若狭は俺の居場所が分かった?

髪も服も、軽く化粧を施したのに何故?

それにここからは病院も学校も、自宅からも程遠いのに

春千夜

……グローバル・ポジショニング・システム

前回ターゲットの動向などを監視するときによく使っていた道具

服にはついていなかった、髪は洗った上で切った

春千夜

……埋め込まれたか

俺の個性は把握されていた

恐らく腕などに埋め込んでも腕ごと切り落として再生すると考えているだろう

まあそれは正解だが

春千夜

……首、心臓…脳

……どこに埋め込まれてるかな

神経を集中させ体の中を思考が駆け巡る

……

春千夜

……!

心臓の近く

切り落とすことはできないし取り出すことも出来ない

春千夜

……機能を停止させるか

肉体改造で体の内側を作り替えよう

細い骨や筋肉でGPSを押し潰す

バチンッッッ!!!!

春千夜

い゙っ

雷に打たれたような感覚

…痛覚は党の昔に消え去ったはずなんだけどな……

まあ痛みはともかく問題のGPSは機能しなくなった

春千夜

……じゃあ今度こそ永遠におさらばだな

ちょっと名残惜しいけど、仕方ねえよな

前にクラスメイトと来た海の浜辺を素足で歩く

日差しで熱された砂が足裏を痛いくらいに焼くがそんなことを気にするほど今は心に余裕がない

ザァァァァァァ…

波の音が心地いい

春千夜

…!

真っ黒な汚れ一つない綺麗な猫が俺によって来る

黒猫

にゃあ

春千夜

お前綺麗だなァ……ん、?飼い猫か

首輪についている板には”ペケJ”という文字

春千夜

ペケJ…ははっ、変な名前だな

どっかの馬鹿がつけそうな名前だ

春千夜

友達に戻れたらこれ以上はもう望まないさ

ペケの柔らかい毛並みを撫でながら声を紡ぐ

春千夜

この両手から零れそうなほど

春千夜

君に貰った愛はどこに捨てよう?

波が俺の足首を飲み込む

春千夜

進む君 と 止まった僕の

春千夜

縮まらない隙を何で埋めよう

春千夜

まだ素直に言葉に出来ない僕は

春千夜

____天性の弱虫さ

波が俺をまるごと飲み込む

春千夜

________もういいかい

黒猫

に゛ゃっ

ペケは波に飲まれる前に逃げ出したようだ

裏切り者をさんざんこの広い海に放ってきた

でも、この海は澄み切っていて心地がいい

こんな綺麗な海で死ねるなんてなんて嬉しくて寂しいんだろう

個性社会に生きる元反社<随時リメイク更新>

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