最初で最後の夢見心地

時刻は午後10時を回った

駅の近くのファミレスとかいう警官の多いであろう場所に、高校生を呼び出したのだ

富沢 涼花、社会人。 私と涼花さんの共通の友達(牧田)を介して仲良くなった人。

それから急いでドリンク代を払って、電車に乗った。

彼女の家は電車で2駅、そこから歩いて20分の薄汚れたアパートだった。

彼女は何度も、｢やっぱりやめようよ｣と言っていたけど無視した。

その言葉の裏にある、溶けるような期待を見透かせたから

ドサッ

涼花さんの手が私の背中に回り、やがて胸元に戻ったりする

なんだかくすぐったい

ほんとにくすぐったい！

涼花さんの手が私の服の中に入り、やがてホックを外した

私はそれを自分で下ろして、そばに置いた

服は着ているのにブラは着けていない、変な感覚だ

涼花さん前に私が座り、体を委ねた

触れるか触れないかの絶妙なところで私の胸を弄んでいる

微かに、涼花さんの舐め回るような手が乱暴になった気がした

あっ、、ヤバい、、、

余韻がすごい…

私今、胸だけでイッたんだ…

1人でするのと全然違う…

満たされる…

それから私たちはもっと深くまで行為をした

涼花さんは私がイク度に惜しそうな顔をした

私が下でいいのか不安になって訊ねると、むしろ上がいいと答えた

私を大切に扱ってくれた

誰よりも懸命に私を見てくれた

最高の、一夜だ

本当にこれはやってよかったのか

そんな不安定な気持ちが心にちらつく

でも、これで良かったのかもれない

高校生の甘い言葉に舞い上がり

高校生をキズものにして

初夜の料金代として

5万円を枕元に置いて消え去る。

でもそれすら、高揚感を与えた

人生で最初で最後の行為は心底楽しくて

蕩けそうだった。

何度もサイトで観たことを、上手くやったつもりだ。

関わりが怖いだけで、別に性欲が無いわけじゃないから

何度も、繰り返し観ていた。

みだれた黒い前髪を分け、額にキスをする

そうして家を後にした。

全財産はすべて置いてきた。

私にあるのは経験と、草臥れたスーツのみ

貯金は全部、あの枕元に置いた。

5万円。

それが私の人生の、最終的な価値。

そしてこれから始まるのは

あの子の初めてを奪ってしまった罪償い

私は不思議な足取りで実家へ向かった。

もう全てどうでもいい。

あとは野となれ山となれだ。

ただ、ただ一つだけ。

深見紋成が正しい道を歩めますように。

そう、願わずにはいられない。