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しぶ纏め【中太】【死ネタ】

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しぶ纏め【中太】【死ネタ】

1 - 挨拶、アンドでしぶ纏め。【中太】【死ネタ】

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2024年05月02日

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句読点。

どうも、初めまして。句読点。と申します 👋🏻 主にしぶの纏めや 、 纏まらなかったネタなどを 投稿していく予定です 👋🏻 楽しんで頂けたら幸いです 、 では 👋🏻

ここから下は自分のお気に入りの太右小説、またちょっとした新作を載せています。後日加筆修正を致し、しぶにも載せようかと … 👋🏻 楽しんでいってくださいな。

語部

題︰ヘビースモーカー

*死ネタ、中太、ビーストネタバレ多々。苦手な方はスキップ推奨!



〝え〜〜っと此見えてる?うふふ、中也の滑稽な面が目に浮かぶね。うふ、うふふ、中也。君の居ない此世界は中々に退屈だろうね、噫。待ち望ンでいたものが今目の前にあると云うのに未練が出来て仕舞う。

 ───これは君のせいだよね?

なンて、全て君のせいにするよ。…あァ、此爆発音、うふふ、疾いね。流石はあの二人。…中也。最後に一つ云いたいな。ねえ、中也。

 「        」〟

プツン、と云う音と共に通信とやらが切れた。

「…ッは、真逆こンな簡単におっちンじまうとはなァ…流石の俺も予想のよ文字もしてなかッたぜ。」

今日、つい数時間前に首領である太宰が死んだ。理由はただの飛び降り。つまらねェ死に方をしやがった、阿呆な野郎。

「ちっ、ンな言葉云いやがって。ウワキできねェだろーがよ、くそ。…くそったれ。」

太宰が唯一好きだった銘柄の煙草を一本、口に咥える。火を付けて誤魔化すように、大袈裟に。肺に取り入れる為に大きく吸い上げる。

「…手前との、接吻の味。…くそまじィな、ンとに…まじィ。不味くて、不味くて堪らない。…っ、」

目の前が滲むのは、屹度気の所為。じりじり、と云う音と共に灰が散っていく。

「っはは、…ふ、ふは、巫山戯んなっ、くそだざい、何時もみたいに笑えよ、揶揄えよっ、…何してンだって、嘲笑いに来いよ、くそだざい、くそぼす…っ、」

ポツり、と落ちていく大粒の雫が地面に模様を彩る。地味に湿った煙草を踏み潰し、もう一本取り出し吸う。莫迦みたいに不味いモンなのに辞められない。否、辞めさせてくれない。

「…これで俺もヘビースモーカーの仲間入り、かよ。理由がくそだせェな。」

自嘲しながらも煙草をまた吸って、踏み潰してを何回も繰り返す。…吸う度に、愛しの人を思い浮かべながら。




「 最期に君に言葉が残せて善かった。愛してるよ、私の中也。 」




「…あァ、俺も愛してンぜ。手前も、ソッチで浮気すンじゃねェぞ、糞太宰。」




厭でも彼の人を思い出し、愛に狂い地獄でも愛し合う事を誓ったモノ同士の決意の表れ。
この煙草は契約。果たされる迄消えることない契約。




「…ソッチで待ってやがれ。俺が殺しに行ってやる。」




 〝うん。待ってるね、中也。〟




その言葉は誰にも届かず、煙草の煙と共に散っていった。

語部

題︰もう一度、君と言葉を交わしたい。

*ビーストネタバレ、捏造。多々注意。苦手な方はスキップ推奨!(長いです。)


笑止、是は誰にでも予測出来、誰にでも防ぐ事が可能で暴く事も可能だった。が、今こうして目の前の黒衣の男はくつくつと笑みを浮かべ、探偵社員を睨んで居る。この状況の原因、其れは二週間程前に遡るべき出来事。

* * * * (谷崎兄弟は出張。)

「失礼します。少々此方に用が有り参りました。私の名は太宰、太宰治と申します。」

砂色の外套にループ帯、全身におぞましい程の包帯。芥川はふと思った。黒衣の男に善く似ていた。然り、あくまで似ていた。声も正に違っていた。あの男よりは高く、幼い。

「用、とは何だ。依頼か?少年。」

「────ないな。否、要件とは此方で人員募集をされて居た故に足を運んだ次第です。」

前文が聞こえなかった。細く、弱々しい声で何かをそっと呟いたのをやつがれは見逃さなかった。されど皆は後者の人員募集に食い付いた、という事に驚きを隠せぬ表情を浮かべて居た。其れもそう、細い腕、細い足、それでいて幼そうな顔。何か裏があるか…悪戯に来た餓鬼か。其れ位しかやつがれとて此処に居る誰もがそう考えた。

「皆思考止まりすぎ。やっぱ君達は僕が居ないと駄目なんだから〜〜〜。」

先刻から机上に腰を下ろし、皆の状況を理解…否、状況の理解等此者が足を運んだ時から判って居た。見ていたのは動作、加えて信頼出来る人物か。その判定を今から告げる。寶態々降りて此処までやって来た、という心算か。

「え〜〜〜ッと、太宰?だっけ。善いよ御前の入社を認めよう。その代わり僕と菓子を買いに行くんだ。善いだろ?」

「菓子、ですか。」

砂色…否、太宰と名乗った男は拍子抜け、という表情を見せずあくまで「予測出来ていた。」という表情を浮かべた。

「そう、菓子。僕の好きな菓子を中てた上で僕の機嫌を損なわせなければ善い簡単な入社試験、かな。」

「...判りました。では其の前に貴方の名前を問うても?」

「噫、忘れていたよ。江戸川乱歩。この街の使えない軍警と探偵社の支柱だよ。僕がこの街、否世界を操っているみたいな物だね!!」

得意気に話す彼の人に皆拍手を送る。当の太宰は其れが当然と申している様な感じであった。到底、この男。芥川には分からぬ事ではあった。

* * * *

「此方は如何でしょうか。」

そう云って彼はキャンディを一つ、彼の人の前に差し出した。少し目を見開きはするが直ぐに「善く判ったね。正解だ。」と奇妙に笑った。

「ふふ、君は僕を退屈させないねえ。──ポートマフィア首領、太宰治?」

「...矢張り、貴方は気付いて居られましたか。」

勿論!と活きヾとした口調で乱歩は答えた。されど、一つ問うた。自身の異能力──『超推理』でも判らぬ、何故首領ともなられる奴が態々敵対している探偵社へ、人員募集に吊られた、と云う理由でやってきたのか。其の行為は簡単に例えるとわらわら湧いている白猫に黒い溝鼠が寄って来ているようなもの。飛んで火に入る夏の虫、とはこの事だろう。

「僕は知りたいね。此僕ですら理解が出来ない御前のその無防備かつ巧妙な理由を、ね。」

「...ふふ、貴方は面白い御方だ。はなっからお気付きなのだろう?私が此処とは違う、可能世界の記憶を引き出したと云う事をね。上手くは云えないがね、此処で貴方にペラペラ話してしまえば私の努力と僅かばかりの我慢が水の泡だ。まあ、其れはそうとして。何故私が此処に来た、という貴方の疑問にお答えしよう。ズバリ、私が少々味わってみたかっただけさ。此処とは違う、可能世界で笑っている私に。少々真似事をしたくなった。是で十分かい?」

砂糖をたっぷりと含んだ珈琲を口元に持っていき、息をするように飲み込む。熱かったのか、ふう、と息を吐き出し冷ましていた。その姿はまるで──裏の世界の首領とは似ても似つかぬ。乱歩は再認識を施した。

「迚十分過ぎる内容をどーーも。却説、奢って呉れたからには其れ成りに御返しをしないとね。御前は何を望んでいる?探偵社に『依頼人』として居るだけで満足か?其れなら別に善い。好きにすれば?でも御前は可能世界の真似事をしたい、と確かに云った。此処に来たのは紛れない、其の可能世界とやらでは御前は探偵社の社員何だろ?御前に与える入社試験は先刻云った通り、僕の機嫌を損なわせない、と云う事だ。詰り…判るな?御前に入社するか否か、は最初から決まっていたことなんだよ。これは僕のかせ…否、僕の異能を以てして編み出した結論の実証。…まあ、ようこそ、探偵社へ。」

「...驚いた。断片的な記憶とはいえ此処まで頭が回るとは。だが少々外れだ。私の目的は彼を───。」

乱歩はその言葉を訊き、興味無さそうに「ふうん。」と云い席を立ち上がり、準備は善い?戻るよ?と告げ、太宰の「はい。」と云う言葉だけが響いた。

* * * * (芥川は任務へと乱歩に飛ばされた)

「改め──私は太宰です。どうぞ、宜しく御願い致します。」

太宰は思腰を直角にし、90度の角度で綺麗に、されど劣らぬ魅惑と色気を纏っていた。

「うむ、貴様には主に書類仕事を受け持って貰う。精進しろ、新入り。」

「...はい。処で私硬っ苦しいのがどうも苦手で...此口調、辞めても善いでしょうか。 」

誰もが驚いた。此言葉的に日常的に敬語を使っていないと考える。故にあれ程自然に、すらすらと我々に答えたあの口調は、何だったのか。無論、違和感が無かった。寶こそ疑った。

「善いんじゃな〜〜い?まあどうせ御前は僕には敬語なんだろ?」

「ふふ、善くお判りで。勿論ですよ、其れは決まったことなので。」

皆首を傾げた。が、与謝野が其の沈黙を破ってくれた。

「妾は与謝野さ。与謝野晶子。異能は「君死給勿」さ。治癒能力だよ。」

そっ、と手を差し伸べる与謝野に太宰も手を出し握手を交わす。「宜しく頼みます、与謝野女医。」と一礼を行えば次は...と手帳を持っている──国木田に話しかけた。

「宜しく頼むよ。其方の名前を伺おう。」

先刻寄りは砕けた物云いで国木田に話しかける。国木田は太宰に向き合い自己紹介を一つ。

「俺か。俺は国木田独歩だ。国木田で善い。異能力は「独歩吟各」。簡単に云えば...そうだな。見てもらった方が早い。」

そう云い国木田は手帳の一頁に「鉄線銃」と書けば何やら呟いた後に鉄線銃が出てきた、と云う物だった。

「わお、凄いね国木田君。私は驚いたよ、こんな異能があるなんて。」

拍手をし乍大して驚いて無さそうに呟く太宰。勿論、純粋無垢の国木田は其れに悪い気はし無かったのか「まあな、」と照れ臭そうに云った。

「却説、次は君だ。」

賢治の前に立てば挨拶を。と付け加えた。賢治は「はい!」と答えれば直ぐに自己紹介を始めた。

「宮沢賢治です!異能力は「雨ニモマケズ」。力持ちになれます!!まあ、空腹時だけですが。」

「ふふ、可愛らしいね。宜しく頼むよ賢治君。」

「処で、太宰さんの異能はどんな物なんですか?」

賢治が問うた。其れには探偵社員、皆賛同した。まだ云ってなかったっけ、という顔をしている太宰に異能は持っているんだな。と皆が思った。

「噫、私の異能を云って居なかったね。私の異能は「人間失格」。簡単に云えば異能者の異能力を無効化する反異能者、かな。」

──成程、是は凄い。と誰もが納得した。異能者にしか効かないとは云え、異能者にとって此太宰という男は最大の敵で最大の味方だろう。即ち、此奴が味方に付いた方に勝星が上がる。こういう事だ。と探偵社員は思った。そこで、探偵社の戸が開いた。

「───なんだ、客人か?」

赤髪の男はそう述べ、太宰と目を合わせる。是には一部の人──主に此処の支柱ともなる御方、乱歩が太宰の歪んだ顔を捉えた。今すぐにでも泣きじゃくり、縋り付きそうなそんな表情。無論、其方の方が此奴には年相応、と云えるだろう。先刻から云い忘れて居たが、此処はあくまで時空の歪み──即ち可能世界。此処に居る太宰は全てを悟った...筈だった。が、太宰は見逃していた。普通ならば太宰は御歳22、と云う事を。だが然し、此処に居るのは間違いの無い18歳のか弱き少年なのだ。

「おださ...否、名前を伺っても善いだろうか?噫、名を聞くならば自ら名乗れ、と善く云うものね。先に名乗ろう。私は太宰、太宰治だ。宜しく頼む。」

先刻の探偵社員と打って変わった対応をしていた。先ず自らが名乗ろう、等と云ったのは此織田作──基、織田作之助が初めてだったのだ。其れでさえ驚くのに太宰は最初「おださ...」と確かに云った。織田作之助、性は織田、名は作之助。故に名を知っていても織田と呼ぶのが普通だろう。然し太宰は違った。まるで近しい友人で、是で会うのが初めてでは無いかのように「織田作」と呼びかけた。無論、途中ではっとしたかのように訂正したが。

「太宰か。俺は織田、織田作之助。普通に織田と呼べば善い。」

「噫、宜しく頼むよ。織田君。」

先刻のペェスを取り戻したのか先程の眩しく、されど黒い闇の様な物が纏わりつく笑顔へと戻って行った。

* * * * 

あれから芥川と谷崎兄弟には会わず終いで与謝野と太宰は外任務に来ていた。今回の依頼はすいすいと事が運び、与謝野の買い物に付き合っていた。

「ふふ、是程愉しく買い物が出来るなんて...嬉しく思います。与謝野女医。」

太宰は自身の買ったものとほんの一寸与謝野の荷物混じりの紙袋を持っていた。無論、与謝野は基本全て相手に荷物を投げるタイプだが今回は確りと自分の荷物を持ち歩いていた。

「妾も愉しかったさ。有難いねえ。」

そう云って笑いかける与謝野に太宰は気を悪くしなかった...が。ふと横に目を向けるとカフェにて珈琲を飲みながら此方を凝視している見慣れた帽子を被った男。太宰は吃驚するも(なんで見に来たんだ、首領命令だろう?来て善い何て云っていないのに...)等と考えながら驚きをお得意のポーカーフェイスで隠して見せた。

「太宰、此処も寄りたいねェ。善いかい?」

「ええ、勿論ですよ。与謝野女医。」

まあまあ広めのショッピングモール。与謝野はずらりと、魅力的に陳列されている商品を物色している。主に鉈等、恐ろしい物だが。其れ迄は善しとしよう。だけれど太宰は次の瞬間顔が青ざめた。

「え。」

「どうしたんだい?太宰。何か恐ろしいものでも見たのかい?」

普段と衣服は違うものの此方を伺い乍眺めている男──中島敦が居た。そんなに首領が信用出来ないか、等と巫山戯るも何時もの私楢殺しに行くだろうなあ...等と思えば平和ボケをして仕舞った、と思った。

* * * *

少しして幾らか判った事が在る。是は中原の単独行動で他は其れに着いてきた奴ら。中原に加え敦、広津、然して鏡花。驚いた、真逆こんなにいるなんて、と再度太宰は思った。

「太宰、善いのかい?妾ばっかり愉しんじまって...太宰は欲しい物、無いのかい?」

「あーー...私は平気ですよ。与謝野女医と実に愉しい時間が過ごせたので。私は其れで充分です。」

そうか、と納得した与謝野はじゃあ帰ろう。と太宰に話し掛けた。其れを呑み、帰宅路へと着いた。されど、そう上手くはいかなかった。帰り道、部下──否、ポートマフィアの構成員と出逢ってしまった。

「あ、首領!!どうされたんですか、こんな女と。」

腰を九十度程曲げた男は太宰に敬礼を示した。無論、逢えるなんて夢のまた夢、そんな太宰に逢えた下っ端のポートマフィア構成員は酷く興奮していた。きっと、普段ならば声さえも掛けることが難儀であろう。

「...君は何方様だろうか。私は君に敬礼される器では無い。邪魔なので立ち去っては頂けないだろうか。」

是は忠告だった。基、太宰は酷く激怒していた。殺気を或程度抑えては居るとして、構成員は今にも逃げ出したそうな表情を浮かべていた。無論、この様な丁寧な言葉を遣うと云う事は今太宰──ポートマフィア首領に話し掛けるのはポートマフィアの構成員として最大のタブーであった。

「す、すみませ、ん。人違いでした。私共は是で、!!」

敬礼をしなくては殺される。されどしたとしても殺される。此恐怖、きっと二度と味わう事は無いだろう。周りに悟られぬ様、慎重に、されど敬意を示し乍立ち去った。

「...何だい?今の輩は。妙に太宰と親しい様な気がしなくもないねェ。」

「否、昔の仕事の部下です。今はもう関係が無いですよ。気にしなくて平気です、与謝野女医。」

その目には深淵、文字通り深い闇が見えた。まるで、是以上詮索したら殺す。とでも云っているような。そんな感じが与謝野の背中に流れた。表情は確かに変わっていない。されど、その目は恐ろしいものだった。与謝野は何も云わず、唯頷く事しか出来なかったと云う。

* * * *

明くる日、探偵社も中々に平和を取り戻した日、太宰宛の電話が掛かった。賢治が「太宰さーーんお電話です!」と叫ぶ声が聞こえ、居眠り中の太宰はそっと起き上がった。

「はあ〜〜い、待ってね賢治君。今行くから〜〜。」

間延びした声でのそのそと受話器へと向かっていく。ぶっちゃけ仕事か美女からのお誘い(嘘)位なので特に何も思っていなかった、──が。

『しゅ...否、太宰。急用です。今すぐご帰還願います。』

途端に顔を歪める太宰に探偵社員は首を傾げた。無論、太宰の笑顔は通常通りだった筈なのに。何か違うものを感じたのだ。

「...依頼ですね?ふむ、成程〜〜〜、ではいますぐ向かわせて貰います。暫しお待ちを。」

そう云い、電話を受話器へと置く。仕事の依頼か、とほっと胸を撫で下ろす探偵社員。そして口を開いたのは国木田だった。

「何処だ。俺も同行する。」

「否、構わないよ。私一人で向かわせて貰う。」

砂色の外套を羽織、軽く荷物を纏めて持ち、「では、また。」と述べ出ていった。是には流石に怪しく感じたのか与謝野、国木田が後を追いかけようとしたとき──。

「辞めなよ。是は太宰の問題だ。僕らが口出しして善い訳じゃない。其れにもうすぐ全てが明かされる。其れまで待て。」

その言葉で皆静止した。乱歩の云っている意味が判ら無い。全てが明かされる?一体何が?そんな思考が探偵社員の頭に浮かび上がった。だが然し、珍しく本当に真面目だった乱歩の表情に引き下がった。

「まあ...どうせ彼奴は追い掛けたでしょ。」

そんな乱歩の一言は誰にも届かず、独り言に終わったのだった。

* * * *

「ンで、中也。何事?」

人が寄らぬ路地裏。そんな中太宰と中原は話し込んでいた。

「はい、お呼び立て済みません。数日前の構成員は覚えていますか?」

──噫、彼奴か。と太宰は目処を立てていた。確かあれは与謝野とショッピングへ行った時だった。ポートマフィアの構成員が太宰へ話し掛け、その姿を公にしようとした。無論、極刑。直ぐに殺される筈だったがその男は誠に遺憾だった。殺される、と云う未来は変わるはずも無いのに足掻き、終いには『かのポートマフィア首領様が探偵社の下へと下った』と、デマを流し始めた。其れに寄り之からの探偵社はきっと襲撃、厭がらせ、これらの事が止まずじまいだろう。また、つい何日か前に入ってきた新入りの太宰が一番に疑われる、と云う事を聞いた。太宰は其れはもう青筋を浮かべる位には怒りを沸騰させていた。

「ッはあ、之だから構成員は…中也、任せられるかい?」

「其れは首領命令でしょうか。 」

「当たり前だろう?首領命令だ。今すぐ片付けて来い。」

「この中原におまかせを。」

──そう云って中原はヨコハマの夕陽へと消えていった。却説、そこに居る『覗き魔』をどうするか、と太宰は考えた。出た結果が「話し掛ける」だったので太宰は「出て来たら? 」と云った。それには彼も驚いたように出てきた。

「──真逆、気付かれているとは。とは云え貴様、何を遣っているかの自覚はあるのか。」

「さあ、一体私が何をしたと云うのだ?唯、自分の本当の仕事をこなした迄さ。」

「...矢張り、貴様はあの時の黒衣の男!!!」

敵意、共に殺気をさらけ出して太宰と向き合う芥川。自身の異能──『羅生門』を発動させながら太宰に牙を向ける。今にもその異能が飛び込んでくる勢いで。

「まあ待ち給えよ。続きは探偵社で行おう。種明かし、をね。拘束して呉れても構わないさ。まあ君の異能は通じないけれどね。」

顔を顰めた芥川に太宰は微笑んだ。無論、之には芥川もぞっとしたのか其の条件を飲み込んだ。喉を鳴らし、笑った太宰は「では行こう。」と告げた。

* * * * (一寸過去編。)

「首領!!何やってんだ!!探偵社!?巫山戯ンな!!然も一人で行こうとしやがって!!」

「そうですよ!!太宰さん!!僕と鏡花ちゃんで潜入すれば!!」

怒声がポートマフィア首領──太宰治へと向けられる。急に太宰が云い出した一言が原因だった。──『私は探偵社へと潜入捜査を行う。君らはお留守番だ。』と。之には中原、中島、黙ってはいるが心配げに広津が眺めていた。其れもその筈。組織の首領が行成自分らを呼んだかと思えば自殺志願だったとは。誰でも驚く。

「何故、私が君らの許可を取らねば成らない?」

この一言で周りが凍てついた。普段、何を云っても黙らない中原でさえ沈黙。是はキレている時の太宰の声色。下手に口を出したら此処に居る誰もが殺されるだろう。

語部

題︰いいから喰わせろ!(*新作。)

*本誌ネタバレ(ムルソー)注意、中太です。



 デデーン、と出て来たのはムルソー後の中也。偽物、とは云え一時期は吸血鬼へと変貌していた中也は後遺症として牙が残っていた。別に、血を飲まなければ死ぬとかそんな事はなかった為か放置気味であったその牙。でもまァ吃驚。今目の前に居る中也は浅く呼吸をし、はっ、と狗の様だった。会話を試みるが断念。今の中也には言葉一つ通じやしない。溜息を一つ零した私にびくり、と肩を竦める。

「…中也、吸うかい?私の血液を。先刻から私の首筋ばかりをじっと見詰めて…そンなに見られて仕舞っては照れて仕舞うよ。」

 ぐぅ、と中也が呻く。どうやらこの言葉は届いたらしい。随分と善く出来た耳に元相棒乍一寸引いた。だがまァ…そンなに涎を垂らして私の血液を求める中也はまるで狗よりも狗で、酷く滑稽だろうな。と想像した。其れに加えて、若しかしたら死ねるかもしれない。

 そンな淡い期待に目の前が眩み、ループ帯を適当に外し、首筋を曝け出す。どうやら長らく我慢していたツケが回ってきたらしい。ふらり、とふらつき乍も私の血液を求め、ゆっくりと近付いてくる。無論、私だってそンなに優しくは無い。だからこそ、意地悪をするのだ。

「中也、待て。私が善しと云う迄我慢だ。我慢出来た善い子には褒美だってやろう。」

「ぐッ、ぅ、」

 今にも噛み付いて、喰らい尽くしたいのに。悪い子、と呼ばれるのが怖い。中也は止まったはずの思考回路で、否。本能でそう思ったのだ。

「ふ、くく、もう無理なの?否、違うよね?君ならもっと我慢出来る筈だ。」

「はッ、は、ぅ゛ッ…う、!」

 低い呻き声にぼだり、と床に垂れ落ちる唾液。精一杯我慢をしている証に唾液と共に唇を噛む際に生じた血液も一緒に垂れていた。大粒と為った物は大きな音を立てて、床に落ちていく。

句読点。

閲覧、どうも有難う御座いました!

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