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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

シゼ

マリア

マリア

シゼ!

シゼ

マリア様、ただいま戻りました。

マリア

どうだった?カイトぼっちゃまは。

シゼ

ぼっちゃまはレンさんと一緒にいました。今日は彼のところに泊まるそうです。

マリア

そう…それ以外には何か言われた?

シゼ

えっと、『しばらくそっとしておいてくれ』と言われました。

マリア

そうなのね…。

カイトの母親

…。

カイトの父親

…。

シゼ

シゼ

シゼ

マリア様。

シゼ

来る前より部屋の中が静かになってる気がするのですが…。

マリア

!…あぁ。

マリア

少しばかりぼっちゃまのご両親とお話ししたのよ。

シゼ

なるほど…。

シゼ

机の上にあるエメラルドホルンはどうしたんですか?

マリア

これはみんな返すことにしたわ。

シゼ

えっ!

マリア

あなたの予想はほぼ当たってたのよ、シゼ。

マリア

ご両親は絵を描くのをやめさせようと、あらゆる画家にエメラルドホルンを賄賂に厳しい指導をお願いしてたの。

マリア

私を雇ったのも、クリジア人だからっていう理由だったわ。

シゼ

!…

シゼ

そうでしたか…。

マリア

えぇ。

マリア

…ただ、少し外れていたのは絵をやめさせようとした理由ね。

マリア

マリア

カイトぼっちゃまのお爺様とお婆様とも画家でいらっしゃるのだけど。

マリア

お婆様が絵に熱中するあまり、若くして亡くなられたらしいの。

マリア

お爺様はそれ以来滅多に絵を描かなくなられて、ご両親はカイトぼっちゃまが同じようになることを恐れていたの。

シゼ

なるほど…それが理由だったんですね。

シゼ

(そんな優しい理由なら、しっかり話してあげたら良かったのに…。)

マリア

とにかく、

マリア

賄賂だったことは事実だから。

マリア

使いたくないって思って返すことにしたわ。

シゼ

そうなんですね。

マリア

えぇ、

マリア

マリア

ん?…

マリア

何か走る音が聞こえない?

ダダダダダダダ…!

シゼ

え?

シゼ

あ、ほんとですね…こっちに向かってきてるような…。

ダダダッ!

ガチャッ!

カイト

おいシゼェッ!!!

シゼ

カイトの母親

カイト!

カイトの父親

!?

マリア

ぼっちゃま!?

カイト

お前えぇえええ!

カイト

クリジア人のくせに俺にお説教して勝手に帰ってんじゃねぇ!

カイト

調子に乗んな!このブス!

真っ赤な顔でカイトがシゼに怒鳴る。

カイトの母親

お説教…?

カイトの母親

何この子、うちの子にお説教したの…?

マリア

えっ、

マリア

あ、いや…私もよく分からないのですが…。

シゼ

…。

シゼ

シゼ

…あぁ。

シゼ

さっきのことですか?、別にお説教っていわけじゃないですよ?私はただぼっちゃまの才能を…

カイト

うるせぇ!

カイト

俺が喋ってる時は喋るな!

カイト

お前は俺が努力しなきゃだだめみたいなことを言ってたけど。

カイト

そんなこと、俺でも分かってるし!

カイト

うっ…

カイト

カイト

っ…。

カイト

…なんなら俺はあの時まさに、努力するつもりだったんだよバカ!

シゼ

!…

シゼ

それはつまり…。

シゼ

『言われなくても、自分でやるし!』ってことですか?

マリア

カイト

そうだよ!

シゼ

…。

シゼ

シゼ

(うわ〜…)

シゼ

(何かと思えば、反抗期の子供がよく言うヤツだった。)

シゼ

(クリジア人に物言われたのが恥ずかしかったんだろうな…。)

シゼ

(それで、私の意見を否定することができないから、元々分かってたフリをしてるに違いない。)

シゼ

…。

カイト

?…おい、なんで急に穏やかな顔になった?

シゼ

あっ、いえ

シゼ

なんでもないです、すみません。

カイト

チッ…。

カイト

クリジア人のくせに、…。

カイト

言っておくが、俺をここまで怒らせたんだから、俺はお前の想像以上にすごい奴になってやるからな!

カイト

それでお前を晒しあげて、ルシタス中の笑い者してやるから覚悟しとけ!

カイト

いいな!

カイトが泣きそうな顔で頬を真っ赤にしながら声を震わせて怒る。

それを見たシゼは思わず ふっ、と笑う。

シゼ

はーい。

カイト

おい!はーいじゃないだろ!

カイト

ブスが!

カイト

カイト

おいマリア!

マリア

は、はい。

カイト

明日からもっと絵の授業を長くしていいぞ!

マリア

カイトの母親

カイト、どうしたの!?あの子に何かされたの?

カイトの父親

お、おいそこのクリジア人!…カ、カカ…カイトに何をしたんだっ!

カイト

うるさい!

カイトの母親

!…

カイトの父親

!…

カイト

父さん母さんの方が嫌いだ!

カイト

だいっっきらいだ!

カイト

次、絵をやめさせようとしたら城を出ていってやる!

カイト

勉強もちゃんとするし、楽器も頑張るからもう何も言うな!このバカが!

カイトの母親

は…はい。

カイトの父親

わ、わかったから落ち着いて…。

カイト

フン!!

ガチャッ

バタンッ!

ダダダダダダッ!

バタンッ!(扉が閉まる)

ダダダダダダダダダダダダダダ…

マリア

…。

マリア

嵐のように去っていったわね…。

シゼ

…はい。

カイトの母親

…。

カイトの母親

シゼ・ノーディン。

シゼ

!…

マリア

カイトの母親

貴方は侍女になった際に、ローゼ様の話をしっかり聞いたのかしら?

カイトの母親

『クリジア人は、ギリカール人に逆らってはならない』

シゼ

!…

カイトの母親

ローゼ様は、ギリカールで唯一の姫、あの人の言うことは絶対だわ。

カイトの母親

クリジア人は、ギリカール人の機嫌を損ねると重い罰を受けるの。

カイトの母親

私の予想だと、貴方はカイトに刃向かい、怒らせたように思えるのだけど…違うかしら?

マリア

マリア

シ、シゼ…!

シゼ

…。

シゼ

シゼ

確かに、私は落ち込んでいたカイト様に対し自分の意見を述べました。

シゼ

しかし、それは助言であり、

シゼ

刃向かってはいません。

シゼ

恐らく、私の配慮ミスでカイトぼっちゃまが失礼な行為として受け取ってしまったのでしょう。

シゼ

以後気をつけます。

カイトの父親

い、言い訳もほどほどにしろ…クリジア人のくせn

カイトの父親

シゼ

…。

(じっとシゼが父親を見つめる)

カイトの父親

っ…。

カイトの母親

…。

カイトの母親

分かったわ。

カイトの母親

カイトが勉強を頑張ってくれるみたいだし、今回だけは許しましょう。

マリア

ホッ…。

シゼ

ありがとうございます。

カイトの母親

あんなにカイトが怒るのは初めて見たわ…貴方はカイトに強い影響を与えたみたいね。

カイトの母親

自分の発言を慎み、ターナーとあの子のサポートをしなさい。2人ともいいですね?

シゼ

はい!

マリア

はい!

マリア

マリア

もぉ〜ヒヤヒヤしたじゃない!シゼ!

シゼ

すみません、マリア様。

マリア

早速クビになるかと思ったわ。

マリア

一体カイトぼっちゃまに何をしたの!?

シゼ

ああ、えっと…

シゼ

マリア

なるほどね、

マリア

いいこと言ったじゃない。私は好きよ。

シゼ

ありがとうございます。

シゼ

でも、その結果…カイトぼっちゃまを怒らせてしまいました。

マリア

いや…

マリア

あれは恥ずかしい気持ちの方が強いと思うわ。

マリア

貴方の行動は間違ってないと思うわよ。

マリア

カイトぼっちゃまに“今まで以上に頑張るきっかけ”を作ったんだもの。

シゼ

マリア様…。

マリア

にしても、よかった〜。

マリア

てっきり私、シゼがぼっちゃまを蹴ったんじゃないかって思ってたからホッとしたわ。

シゼ

そんなことしませんよw

マリア

いやいや、

マリア

シゼみたいなキャラにはよくあるのよ。

シゼ

シゼ

私みたいなキャラがですか?

マリア

ええ。

マリア

裏が読めない少しミステリアスな子(攻め)がちょっとしたことで怒って友達(受け)の前で暴走するってことが…。

シゼ

それってBLの話ですよね?

シゼ

攻めの子は大概、暗い過去やトラウマを持ってるっていう…。

マリア

そうそうそう!よく知ってるわね!

マリア

ひょっとして、私の勧めた『わんこと王子の小春日和』を読んでくれたの?

シゼ

いいえ。

シゼ

マリア様が何度も私に布教するからです。

マリア

あ、そうだったわね…w

マリア

はやく読みなさいよ〜。執筆の勉強になると思うわよ?

シゼ

えぇ…。

シゼ

いや…でも、

シゼ

あの本、表紙からにしてアレな本じゃないですか…。

シゼ

あんなの刺激が強すぎます。

マリア

?…そんなに強いかしら?

マリア

はだけた受けが攻めの指を…

シゼ

わー!

シゼ

だめです!

シゼ

やめてください!!

レン

…シゼ。

レン

かっこよかったなぁ…。

レンがこっそりと 廊下を歩くシゼとマリアを見つめる。

レン

僕よりちっちゃいのにハッキリと意思を伝える姿勢があるなんて…

レン

まるで…あの人みたいだ。

レン

ん?

レン

“あの人”…?

レン

あれ?“あの人”って誰だっけ…?

レン

レン

うっ…!

突然、レンに頭痛が走る。

レン

「おい、そこのお前。」

「逃げてんじゃねえ、止まれ。」

「って…なんだ子供か、 初めましてだな。」

「俺の名前は “クマイド・カーリア”。」

「…ははっ、 めっちゃ怯えてる… そんな顔真っ青にしなくていいぞ。」

「もう怒ってねーから。」

「お前はなんて名前なんだ?」

レン

!…

レン

か…

レン

カーリア……様…。

バタッ!

(レンが倒れる)

第12話 おわり

とある物書きの挑戦譚【第二期】

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コメント

6

ユーザー

マリア様…お友達になりたい…((

ユーザー

更新ありがとうございます!😭 マリア様が意外と強いタイプの腐女子で心底驚いてます…笑 平和で終わるかな、って思っていたら、次回に続く展開を持ってくるという…そして態々持ってきた感がない… 本当に凄いなってしみじみ思いました………

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