この幸せが尽きる前に

当然の事ながら、らんのいない家は静まり返っていた

俺はらんのいない家に居たくなくて、気づけばなつに連絡をしていた

ピーンポーン

俺はらんが心臓病なこと、余命が近いこと、入院していることを言った

俺はらんに見てはだめ、と言われていたノートを取り出した

いつ死ぬかも分からないのなら、 あらかじめ準備して、 すぐ叶えられるようにしておいた方がらんの願いはたくさん叶えられるかと思った

もっとたくさん、らんの笑顔が見られると思った

表紙には子供っぽい字で大きく 「らんの死ぬまでにやりたいことリスト！」 と書いてある

中を見ると、1番上に 「いるまとチョコを作ること」 と書いてあり、

後で見返すためなのか 文は消さずに、隣に小さな花丸が書いてあった

ノートには他にも 泊まりで東京観光をする 遊園地に遊びに行く 新しい映画を見る など、たくさん書いてあった

だけどそのノートは途中で終わっていた

すぐにはたくさん思い浮かばなかったのだろうと思い、俺はあまり気にしていなかった

気づかなかった、その印に従って次のページをめくっても

なにもなかった

不思議に思って他のページも見てみると最後のページだけ、書いてあった

表紙とは別で、力強く、大きな字で

「いるまと結婚すること」

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