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テラーノベル(Teller Novel)

…。

ダルビッシュ

艶子ちゃん家ってちょっと複雑な家庭なんだな、

山本

…何か、艶子ちゃんがした表情がずっと脳裏に浮かびます、

山本

真顔の様な、怒っている様な、

大谷

あの家で育って来たから、言動は子供なのに変に大人びた子になっちゃったのか

山本

確かに…、あの瞬間は大人の女性って感じだったけど、すぐにいつもの幼い顔に戻ったし

村上

今度会う時なんて声掛ければ良いのぉ…

大谷

なるべくいつも通り接そう

ダルビッシュ

だな、

コンコン。

梅田艶子

どうぞ、開いてますよ

ガタッ

大谷

…、

梅田艶子

大谷さんから私のとこまで来るのは珍しいですね

梅田艶子

と言うか部屋に来た自体初めてだけど

大谷

本当はあんま触れない方が良いかも知れないけど、気になったから来たよ

大谷

昼間のあれ大丈夫?

梅田艶子

…!(パチ、パチ、

梅田艶子

驚いた。私、大谷さんに嫌われていると思っていたので

大谷

…何で?

梅田艶子

女性が苦手と聞いていたのもありますが、妙に冷たいからそうかと

大谷

何て言うか…、君見てたらいつか君が壊れそうだなって思って。思わず来ちゃった

梅田艶子

…じゃあ、ちょっとばかし付き合ってもらって良いですか?

大谷

…!

梅田艶子

長話はしません。ただちょっと甘えたくなりました

梅田艶子

幼少の間に誰かに甘えた記憶があまり無いんです

梅田艶子

でも、我儘なので無視して大丈夫です

大谷

いや。今の艶子ちゃんを放置する程鬼畜じゃないよ

大谷

もう後寝るだけ?

大谷

だったら布団で話聞くよ

梅田艶子

…ありがとうございます

梅田艶子

…家について、監督からもう聞いますよね

大谷

うん、聞いたよ

梅田艶子

小さい頃の話なんですが

梅田艶子

艶子、暗闇がちょっと苦手です

梅田艶子

夏休みに親戚の集まりがあるんです。

梅田艶子

私は従兄弟たちと遊びたかったんですが、祖母に芸事の練習をさせられてました

梅田艶子

祖母が大人たちのお酌をしてる間に従兄弟たちが窓から私を引っ張り出してくれました

大谷

何で窓から?

梅田艶子

部屋に鍵がかかっていたんです

梅田艶子

そのまま皆んなで走って駄菓子屋まで行きました

梅田艶子

まぁ、私は従兄弟たちに手を引っ張ってもらってたんですが

梅田艶子

本当に楽しかったんです、でも…

梅田艶子

祖母や親戚たちに抜け出したことがバレて皆んな大目玉を食らって、

梅田艶子

私は祖母に引っ張られて蔵の中で一晩過ごしました

梅田艶子

田舎の方でしたので蔵の外から獣の声や物音がすごく聞こえました

梅田艶子

でも、1番怖かったのはたった1人で暗闇に居ることです

梅田艶子

あの時初めて泣きました

梅田艶子

すみません。変なしちゃいまし、

大谷

…大人に成りきれない子供みたい

梅田艶子

…!、

梅田艶子

…そうですね、

梅田艶子

そうかもしれません…

梅田艶子

…、

大谷

…寝ちゃった

大谷

大谷

安心してね、

大谷

開けない夜はないからさ、

大谷

おやすみ…

 俺は小さな少女の頭を撫でて部屋を出ていった

コンコン

大谷

いいよ、入っておいで

ガラッ

梅田艶子

大谷さん、

梅田艶子

昨晩は話を聞いてくださりありがとうございました

大谷

お礼言われる程のことしてないよ

大谷

変なこと艶子ちゃんに言っちゃったし

梅田艶子

いえ、

梅田艶子

あの時欲しかったのは慰めの言葉ではなかったので

梅田艶子

腑に落ちたと言うか、

大谷

…なら良かった

大谷

…後数日もしたら帰るんでしょ?

梅田艶子

…はい、

大谷

自分の欲は正直に出して行った方がきっと楽だよ

大谷

君は他の人より幾分か息抜きをした方が良い

大谷

…、

大谷

もう会うことが無いかもしれないけど、

大谷

せめてものアドバイス

大谷

…じゃあ、俺は行くね

バタンッ

梅田艶子

…、

梅田艶子

私は大人に成れるんでしょうか…

返答の無い質問が重い空気の中に消えて行った

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