笠野頼朝
それで?

笠野頼朝
いったい誰が犯人なんだい?

笠野頼朝
わざわざ
省吾君の顔を潰して

笠野頼朝
焼死体にした犯人は?

笠野頼朝
まさか
うちのじいさんの呪いだなんて言わないよね?

奏
はい

奏
あくまで笠野さんのお話から

奏
推測したにすぎないのですが

奏
呪いなんていうもの以外の可能性があります

笠野頼朝
教えてもらえるかい?

笠野頼朝
どうして省吾君は顔が潰され焼死体となったんだい?

奏
犯人は顔の無い死体トリックをやりたかったんですよ

笠野頼朝
顔の無い死体トリックって

笠野頼朝
君がさっき言っていた

笠野頼朝
実は生きている人間が死んだように見せかけるトリックかい?

笠野頼朝
ということは
省吾君はまだ生きている…

奏
いえ
死体そのものは省吾さんのものでしょう

奏
警察がそう言っていますしね

笠野頼朝
でも
君は顔の無い死体トリックだと言ったよね?

笠野頼朝
どういうことだい?

奏
犯人は顔の無い死体トリックが使われたかもしれない

奏
そういう状況を作りたかったんですよ

笠野頼朝
さっぱりよく分からない

奏
つまりですね

奏
犯人は省吾さんが顔の無い死体トリックを使って

奏
まだ生きているかもしれない

奏
しかも
すでに死んだ者として警察に警戒もされない

奏
最悪の殺人鬼がまだどこかに潜んでいる

奏
そう錯覚させたかったのですよ

笠野頼朝
いったい誰に対して…?

奏
推進派の人でしょうね

奏
普通に生きていても厄介な人物が

奏
何処にいて何をしてくるか分からないんです

奏
しかも
そのために顔の無い死体トリックをやってしまう

奏
このトリックは誰かを実際に殺して

奏
別に死体を作らなければいけませんからね

奏
相当な恐怖・抑止力になります

笠野頼朝
しかし
死体は省吾君のものなのだろう?

奏
はい

奏
でも
犯人にとっては

奏
真実がどうであれ関係なかった

奏
推進派の人間が「牧原省吾がまだ生きているかも」と

奏
そう思わせられればよかったのです

笠野頼朝
そんなに簡単にいくものなのかい?

笠野頼朝
警察だって死体が省吾君のものだと断定しているし

笠野頼朝
そんな勘違いをするとは…

奏
でも
実際には効果があったんだと思いますよ?

笠野頼朝
どうしてだい?

奏
その推進派の人たちはしきりに言っていたんですよね?

奏
「牧原省吾さえいなくなれば、積極的にダム推進ができるのに」と

奏
なのにどうして今のところダム開発が滞っているんですか?

笠野頼朝
そういえば…!

奏
人が一番恐怖するのは

奏
己の想像力です

奏
科学的に否定されているにもかかわらず

奏
幽霊なんてものに人は恐怖するのです

笠野頼朝
いやいや
私たちはその幽霊じゃないのかい?

奏
一般論の話をしているんです!

奏
私たち幽霊は普通は表世界に迷惑をかけません!

奏
以上!!

笠野頼朝
…

奏
ともかく
ダム推進派の人は恐怖し

奏
いないはずの牧原省吾を警戒した

奏
だから未だに積極的にダム開発を推進できずに滞っているんです

奏
そしてそれが犯人の狙いだったんです

笠野頼朝
うーむ

笠野頼朝
顔の無い死体トリックを使ったと思わせて

笠野頼朝
無駄に警戒させてダム開発を滞らせたのか

笠野頼朝
ということは
これをやったのは

笠野頼朝
ダム開発反対派の誰かってことだね

奏
そうですね

笠野頼朝
いったい誰なんだろうか?

奏
それも分かっているじゃないですか?

笠野頼朝
ん?

奏
省吾さんの妹の小春さんですよ

笠野頼朝
小春ちゃんが?!

笠野頼朝
そんなことはない!

笠野頼朝
だって
実の兄の顔を潰して焼き払うなんて

笠野頼朝
小春ちゃんがするわけがないだろう?!

奏
でも
事件当日アリバイがなかったのは

奏
妹さんだけなんですよね?

笠野頼朝
そうだけど!

奏
はたして
牧原さん兄妹の間に何があったかは分かりません

奏
これが省吾さんのアイデアなのか小春さんのアイデアなのか

奏
あるいは
ただの偶然なのか

奏
それは分かりません

奏
しかし
省吾さんの事件によって

奏
ダム開発は今も滞っているのです

奏
省吾さんの死体は

奏
笠野さんのおじいさんの呪いでも

奏
お地蔵様の付喪神の仕業でもなく

奏
牧原さん兄妹による

奏
この村を守るための行動だったのです

笠野頼朝
そうか…

笠野頼朝
もしそうなら
省吾君や小春ちゃんに感謝しないといけないな

笠野頼朝
彼らがいなかったら私の村は守れなかったかもしれない

笠野頼朝
…ありがとう

笠野頼朝
それでは私はいくとするよ

笠野頼朝
私のじいさんの呪いではなかった

笠野頼朝
村は守ろうとしてくれる人がいる

笠野頼朝
もう未練はないな

奏
そうですか

奏
それはよかったです

奏

奏
では安らかにお眠りください

牧原省吾

牧原省吾
すまない
勝手なことを頼んでしまって

牧原省吾
俺は村で孤立していたからね

牧原省吾
直接会いづらかったんだ

奏
いえいえ
いいのですよ

奏
これであなたの存在していた理由は分かりましたか?

牧原省吾
ああ
笠野さんの誤解を解けてよかった

牧原省吾
俺があんな形で死んで

牧原省吾
笠野さんは「私のじいさんのせいで、省吾君が死んでしまった」と

牧原省吾
俺の葬式で言っていたから

牧原省吾
それが心残りだったんだ

牧原省吾
もう俺はこの世に留まる理由はない

奏
村のことはいいのですか?

牧原省吾
それも心配ない

牧原省吾
妹がやってくれると信じられる

奏
どうしてですか?

牧原省吾
事件のあの日
俺と妹で夜道を歩いていたんだ

牧原省吾
それで
あのお地蔵様の横を通ったときに

牧原省吾
不注意で転けて
側にあった石に頭をぶつけたみたいで

牧原省吾
そのまま死んでしまった

奏
事故だったんですね

牧原省吾
ああ

牧原省吾
この村を守りきれなかった

牧原省吾
そんな未練からこの世に留まった俺は

牧原省吾
妹の行動にビックリしたよ

牧原省吾
いきなり俺の顔を石でグチャグチャに潰し

牧原省吾
体を燃やしたんだから

牧原省吾
何のことかと
今のいままで分からなかったが

牧原省吾
まさか妹が
俺が生きていると

牧原省吾
錯覚させるためにやっていたとは

牧原省吾
あいつはなんて逞しいんだと思ったよ

牧原省吾
俺の死も利用してまでこの村を守ってくれる

牧原省吾
妹だったら俺よりも上手くやってくれる

牧原省吾
そう信じられる!

奏
そうですか

牧原省吾
じゃあ
俺もいくとするよ

牧原省吾
奏ちゃんはまだ見つからないのかい?

奏
はい

奏
いったいどうしてこの世に留まっているのか

奏
全く覚えていないので…

牧原省吾
そうか
君は妹と同じくらいの年齢だから

牧原省吾
少し心配かな

奏
心配…ですか?

牧原省吾
ああ
妹を心配するのは兄として当然だろ?

奏
…

奏
…っ!

牧原省吾
どうしたんだい?

奏
いえ
大丈夫です

牧原省吾
君が存在している理由が見つかることを祈っているよ

奏
ありがとうございます

奏

奏
では安らかにお眠りください

まあ、そういった試みも、そもそもの文章がワケ分からんので
意味を成さなかったりしますね。すみません。・゜゜(ノД`)
これは作者が好きな小説家が推理小説を書いているからです
つまりはマネですね。とはいえ、質は大分落ちますが…
たまにはこんなジャンルもいいもんだなという方は、👍を押してくださると嬉しいです
そうすると次は調子に乗って、「嘘つきの存在証明 猫耳パラダイス編」なんてものを書くかもしれません
では、ここまで読んでいただきありがとうございました
少しの間の暇潰しになればと祈っております(///∇///)