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第1話 - あ

2023年04月03日

#恋愛

結城真矢

ミレ

もう…限界！

ミラ

ミレ？

ミラ

どうしたの？

ミレ

私、どうしたら…

ミラ

落ち着いて！

ミラ

何があったか、ゆっくりでいいから話して？

ミラ

私はいつまでも待ってるよ

ミレ

お姉ちゃん…

ミレ

ありがとう。

ミレ

色々あって何から話せばいいかわからないんだけど…

ミレ

私の顔にさ、子どものころに火傷した跡あるじゃん？

ミラ

うん。あるね。

ミレ

それを普段は髪で隠したり化粧でごまかしたりしてるんだけど

ミレ

それを旦那のタカヲが「汚い・化け物って罵るようになってきて…。」

ミラ

えぇ！？

ミラ

なのそれ！ひどい！

ミレ

元々はそんなこと言わなかったのに言うようになったのは最近なんだ。

ミレ

私もコンプレックスだし気にしてることなんだけど

ミレ

女として終わってるって言われて…。

ミラ

そんなことないよ！

ミラ

ミレの笑顔は素敵なんだから！

ミレ

うん…。ありがとう…。

ミレ

まだ他にもあってね…。

ミレ

タカヲが小説家を目指しているのはお姉ちゃんも知ってるでしょ？

ミラ

うん。知ってるよ。

ミレ

それでタカヲが今は執筆活動に集中したい、

ミレ

家事は全部するから私に稼いでほしいって言うから

ミレ

私は外で仕事をしているの

ミラ

うん。それで？

ミレ

でも、タカヲが家事してくれたのなんて初めの数回だけで

ミレ

あとは「さっさと飯作れよ女なのになんでささっと出来ないわけ？」

ミレ

って言われてて…。

ミラ

初めだけ？

ミラ

結婚してもう5年は経つよね…？

ミレ

そうなの。この5年間タカヲは働いてなくて

ミレ

執筆活動もそんなしているようには見えないんだ。

ミレ

私も執筆しないなら就職活動してよって話したことはあるんだけど

ミレ

「お前は俺の夢を応援してくれないのか。自分で応援するって言っておいてその責任も取れないダメ嫁だって言われて…。」

ミラ

そんな！

ミラ

それはひどいよ！

ミレ

でも確かに結婚する前に夢を応援するって言ったのは私だし

ミレ

言ったことは守らなきゃって思って今まで支えてたんだけど、

ミレ

もっと金稼いで来いって言われたり、飯がうまくないって言われたり…。

ミレ

自分がもっと要領よくできたらいいんだけど、

ミレ

そうもいかなくて…。

ミラ

ミレは悪くない！

ミレ

そう…かな？

ミレ

私がお姉ちゃんみたいにもっとかしこかったら大手の企業で働けて

ミレ

お金も稼げたんだろうけど

ミレ

バイトを掛け持ちするぐらいしかできなくて。

ミレ

今は朝新聞配達して、昼は喫茶店のウエイトレス、夜はスナックの仕事をして

ミレ

合間に家事をしたりタカヲのごはん作ったりしてるんだ。

ミラ

えぇ！？！？

ミラ

そんな生活続けてたの！？

ミラ

いつか倒れちゃうよ！？

ミレ

あ…うん。

ミレ

実は倒れちゃって…

ミラ

えぇ！？！？

ミラ

大丈夫なの！？

ミレ

先生からは過労だって言われたんだけど

ミレ

今の生活について聞かれて話したら、誰か頼れる人に今の状況を話したほうがいいって言われて。

ミレ

お姉ちゃんも結婚して子どももいるのに連絡してごめんね？

ミレ

でも10年前にお母さんもお父さんも死んじゃったから

ミレ

お姉ちゃんしか頼れる人いなくて…。

ミラ

全然いいんだよ！

ミレ

ありがとう…。

ミラ

今もまだ病院にいるの？

ミレ

ううん。

ミレ

今はもう退院して家に戻ったんだけど

ミレ

お見舞いも1回も来なかっただけじゃなくて

ミレ

入院なんかしやがって。お金ねーんだから我慢しろよって

ミレ

入院して稼げなかった分と入院費を稼いでくるまで

ミレ

帰ってくるなって言われちゃった…。

ミラ

えぇ！？

ミラ

なにそれ！？

ミラ

とりあえずうちに来な！

ミレ

わかった…。

ミレ

ありがとう…。

～1週間後～

ミラ

ミレ？

ミラ

その後どう…？

ミレ

あ、お姉ちゃん。

ミレ

うーん…。

ミレ

タカヲの1人目の元妻に子どもいたの覚えてる？

ミラ

あぁ…？たしかそうだったような…

ミラ

バツ1なのは覚えてるけど子どもまでは正直忘れてた

ミレ

その1人目の子ども、名前はアイカって言うんだけどね

ミレ

実はお姉ちゃんちから帰った日、家にアイカがいたんだ…。

ミラ

え？

ミレ

まぁ前妻って言っても血は繋がってないんだけど…。

ミラ

えぇ！？

ミラ

前妻の連れ子ってこと？

ミレ

そうそう。

ミレ

それでなんか私がお姉ちゃんちに行く前からちょくちょく家に来てたみたいで

ミレ

今ではもう完全に住んじゃってるんだよね

ミラ

ミラに許可なしでってことだよね？

ミレ

もちろん

ミレ

それでタカヲの署名がされた離婚届けをリビングに飾ったり、

ミレ

これが出されたくなかったら私にお小遣いをよこせって脅してきてて…。

ミレ

アイカ高校生だし多少は学校の友達と遊びたいのかなって思って

ミレ

渡してたんだけど最近額と頻度が高くて…。

ミラ

そんな…

ミレ

アイカはタカヲの小説が売れててうちを裕福だと思ってるみたい

ミラ

えぇ？

ミレ

タカヲも娘の前でいい顔したいのはわかるけど嘘は良くないよ…

ミレ

あと、私の顔の火傷痕をみてタカヲと同じように暴言言われ続けてて…。

ミレ

タカヲももちろん一緒になって言ってくるから家に居場所なくて

ミレ

昨日はもう帰らずにバイト先のスナックで泊めさせてもらったんだ

ミラ

うちに来てくれたらよかったのに！

ミレ

もう電車もないぐらい遅い時間だったからね…。

ミレ

それにしてもアイカが来てから2人が一緒にいるところをよく見るけど

ミレ

すっごく距離が近く感じるんだよね…。

ミレ

親子ってこんなんだっけ？

ミラ

気になるぐらい近いの？

ミレ

うん。ずっとくっついてるよ

ミラ

アイカって高校生なんでしょ？

ミラ

それぐらいの年の女の子ってお父さんのこと嫌いになるもんじゃないの？

ミレ

だよね…。

ミレ

私もそう思ってた…

ミレ

まぁ、私がタカヲとアイカが仲がいいのが羨ましく思っちゃって

ミレ

気になってるだけかもしれないけど

ミラ

そっか…。

ミラ

ねぇ、家に帰りづらいなら前みたいに2日間とかじゃなく、

ミラ

1か月ぐらいうちにおいでよ

ミレ

え？でも…お姉ちゃんにもお姉ちゃんの旦那さんにも迷惑になっちゃう…

ミラ

大丈夫大丈夫！

ミラ

そんな生活してるミレの方が心配だし！

ミレ

でも…

ミラ

いいからいいから！

ミラ

自分の家に帰らずそのままうちにおいでね！

ミラ

引き止められるかもしれないから！

ミレ

わかった…。

ミレ

ありがとう

ミレ

じゃあお邪魔するね…

～3週間後～

ミラ

ねぇ、大きなお世話だと思ったんだけど…

ミラ

タカヲと今後どうしていきたい？

ミレ

え…？

ミラ

タカヲと一緒に過ごしたい？それとも離婚したい？

ミレ

あ…うん。

ミレ

最近、お姉ちゃんと過ごすようになってきて色々考えてたんだけど

ミレ

離婚したいなって思うようになってきたんだ。

ミラ

やっぱりそうだよね

ミラ

なんかミレの表情見てたら吹っ切れたんじゃないかなって

ミラ

思うようになったんだ

ミレ

さすがお姉ちゃん、お見通しだったんだね

ミラ

それでさ、私、別れるなら絶対タカヲの有責で別れられる案件だと思うから

ミラ

興信所に依頼しておいたんだよね～

ミレ

え！？

ミラ

いや、ミレに暴言吐いている証拠は押さえられないけど

ミラ

他に絶対なんかやってるでしょって思って…。

ミレ

うん…

ミラ

それで調べたんだけどその調査の結果とか話したいから

ミラ

夜時間作ってくれない？

ミレ

わかった

ミレ

今日はスナックのバイトないから早めに帰るね

ミラ

待ってるね

ミレ

お姉ちゃん、これだけ先に教えてほしいんだけど

ミレ

タカヲって不倫してた…？

ミラ

…うん

ミラ

してたよ

ミレ

やっぱりか…

ミレ

わかった

ミラ

やっぱりってミレ自身感じることもあったんだ

ミレ

なんとなくね

ミレ

そうじゃないかなーって思ってた

ミレ

詳しくは今日の夜聞かせてね

ミラ

うん

ミラ

気を付けて帰っておいでね

ミレ

ありがとう

～数日後～

タカヲ

おい！

タカヲ

俺をお前ごときが呼び出すなんて100年早ぇんだよ！

ミレ

え？今日話し合いしたいって言ったのに来てくれないの？

タカヲ

だれが行くかよ、めんどくせぇ。

ミレ

じゃあ、このまま話すね…

タカヲ

しゃーねぇな

タカヲ

俺の貴重な時間を使わせてやるんだからいい話なんだろうな！？

タカヲ

っていうか、そろそろお前が帰って来いよ！

タカヲ

フラッと出て行ってから帰ってこずなにやってるんだ！？

ミレ

だからしばらくお姉ちゃんのところに住むねって言ったじゃん

タカヲ

だれの許可とったんだよ！？

タカヲ

俺は許してねぇよな！？

ミレ

お姉ちゃんからＯＫはもらったよ

ミレ

それにタカヲも稼いでくるまで帰ってくるなって言ったじゃん

タカヲ

お前！なに俺に口答えしてんだ！

タカヲ

そんな口の利き方していいと思ってんのか！？

ミレ

うん

タカヲ

はぁ！？

タカヲ

お前、帰ってきたら覚えていろよ！！！

ミレ

いや、私もう帰らないから

タカヲ

は？何言ってんの？

タカヲ

お前の家はここだろうが

タカヲ

さっさと帰ってきて家のことしろよ

タカヲ

それと金よこせ

ミレ

いやだ

タカヲ

お前、俺を怒らせていいと思ってんのか！？

ミレ

うん

ミレ

私も怒ってるから

タカヲ

お前が何に怒るんだよ！？

タカヲ

何もできないクズのくせに！

ミレ

だってタカヲ、不倫してるでしょ？

タカヲ

へっ？

ミレ

不倫相手もわかってるよ

タカヲ

は？

タカヲ

不倫の証拠なんてあるのかよ

ミレ

不倫相手はアイカでしょ？

ミレ

私全部知ってるから

タカヲ

へ！？

タカヲ

な、なんでお前が知ってるんだよ！？

ミレ

ほんと…

ミレ

前妻の連れ子とはいえ、自分の娘と不倫するなんて信じらんない…

ミレ

気持ち悪い…

タカヲ

気持ち悪いとはなんだ！！！

タカヲ

お前のほうがが化け物でクズで気持ち悪い存在だろ！

ミレ

別にタカヲと結婚する前から私の顔の痣は変わらないんだから。

ミレ

なんでそんなに突然タカヲが変わったのか私のほうが理解できない

タカヲ

お前がスナックで働いてるって言うから稼いでると思ったんだよ！

タカヲ

それに若くて肌も綺麗なアイカと話していると

タカヲ

お前の汚さを痛感してな

タカヲ

よりお前が気持ち悪い存在にしか思えないわけ

ミレ

そっか…

ミレ

じゃあ、もう離婚でいいよね？

ミレ

タカヲもこんな女と結婚生活続けたくないでしょ？

タカヲ

あぁ、そうだな！

タカヲ

お前と別れればアイカとも堂々と街中歩けるし、

タカヲ

今年アイカは高校卒業するから家に越して来たら家のこともしてもらえるし！

タカヲ

ちょうどいいじゃねーか！

ミレ

じゃあ、離婚でいいってことね？

タカヲ

おぅ！

タカヲ

もっと早くに離婚しとくんだったな～ｗｗｗ

ミレ

そうだね

ミレ

私もそう思うよ

タカヲ

じゃ、円満に離婚ってことで！

タカヲ

手続き関係は任したから！

タカヲ

勝手に進めておいてくれ！

ミレ

わかった

ミレ

あ、タカヲの有責での離婚だから慰謝料はもらうからね

タカヲ

はぁ！？

タカヲ

お前から離婚って言ってきて承諾を俺がしたんだから円満離婚で

タカヲ

金払う必要ねぇだろ！？

ミレ

何言ってんの？

ミレ

タカヲの不倫と私へのパワハラ・モラハラが原因で離婚するんだから

ミレ

慰謝料請求するに決まってるじゃん

タカヲ

はぁ！？

タカヲ

だれの許しを得てそんなことするんだよ！

ミレ

弁護士の先生ができるって言ってたよ

タカヲ

そんなこと俺は知らねぇ！

ミレ

あと、アイカにももちろん慰謝料請求するから

タカヲ

なんでだよ！？

タカヲ

あいつはまだ高校生だろ！？

タカヲ

そんな相手からも金取るのかよ！？

タカヲ

やっぱりお前は疫病神だな！

ミレ

いやいや、疫病神はどっちって話よ

ミレ

今まで散々コキ使ってきたじゃない

タカヲ

女だったら家事することは当たり前だろ！？

タカヲ

それにお前が働くからって言ってたから俺のせいじゃねぇじゃねーか！

ミレ

限度があるでしょ

ミレ

それに不倫はしていい理由にならないから

タカヲ

お前の顔が醜いのがいけないんだろ！？

タカヲ

お前の努力不足だ！

ミレ

何言ってくれてもいいけどタカヲの不利になっていく一方だからね

ミレ

内容証明とか離婚書類とか色々送るからよろしく

ミレ

じゃあね

タカヲ

はぁ！？

タカヲ

ちょっと待てよ！？

タカヲ

とりあえずお前、家に帰って来いよ！

ミレ

いやだ

タカヲ

なんでだよ！？

ミレ

何されるかわからないからに決まってるじゃん

ミレ

これからは私に直接じゃなくて弁護士の先生を経由して連絡してきてね

ミレ

連絡先はあとで送るから

タカヲ

はぁ！？

タカヲ

お前、それでいいと思ってんのかよ！

タカヲ

おい、返事しろよ！

タカヲ

おい！！！

～後日談～

ミラ

ミレはタカヲとアイカに慰謝料の一括払いを請求し

ミラ

タカヲがアイカの分も合わせて300万円を支払った。

ミラ

しかしその支払いは闇金で借金をしたらしい。

ミラ

借金返済のためにタカヲははじめバイトを掛け持ちし、アイカも高校を中退してバイト生活をしていたが

ミラ

元本完済に至らないため2人で逃亡したが、闇金業者から逃れることはできない。

ミラ

田舎の辺鄙なところに逃亡した2人だったが

ミラ

すぐに見つかってしまい、アイカは風俗店で働かせることになった。

ミラ

タカヲも出張ホストや精子バンク登録のほか、非合法なパチンコの打ち子にまで手を染め

ミラ

警察に逮捕されてしまった。

ミレ

一方、ミレは慰謝料とその後に貯めたお金で美容整形をして

ミレ

顔の火傷痕を治すことに成功。

ミレ

ミラにメイク術を教わり、マッチングアプリを始めたところモテ期が到来。

ミレ

今は素敵なパートナーが見つかり、日々充実している。

ミレ

また、ミラはYouTubeにあげたメイク動画が顔に傷を持った人やコンプレックスを持った人に刺さり

ミレ

人気者になって、好きだったメークアップアーティストとして活動を始めた。

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結城真矢

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