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合宿 三日目の 朝 。 空気は 少し ひんやり していて 、山の 下から 差し込む 朝日が 、ゆっくりと 坂道を 照らし 始めて いた 。

全体の 集合時間 には まだ 少し 早い 。 けれど 、自転車に またがった ふたりの 影が 、すでに 坂道の 入り口に 伸びて いた 。

新開と 荒北 。 並んで 立つ 姿に 、昨日 までの ぎこち なさは 、もう なかった 。

新開隼人

走ろう か 。

荒北靖友

…… あ ァ 。

それだけの 会話 。 でも 、それで 充分 だった 。

タイヤが アスファルトを かすめ 、ふたりは ゆっくりと ペダルを 踏み出す 。最初は 緩やかな 勾配 。早朝の 山は 静かで 、鳥の 声と 、チェーンの 回転音 だけが 耳に 届く 。

新開隼人

…… なあ 。

不意に 、新開が 口を 開いた 。

新開隼人

俺さ 。おめさん と こうして 並んで 走ってる と 、安心 するんだよ な 。

荒北靖友

…… は 、?

新開隼人

なんか 、呼吸 とか 、ペダルの リズム とか 。

新開隼人

勝手に 合ってて 、びっくり する くらい 。

荒北靖友

…… ま 、それは お互い様 っつ ~ か 。俺が 合わせて やってん だ ヨ 。

新開隼人

え ~ 、俺が 合わせてん だけど なぁ 。

荒北靖友

るっせ 。

ふたりの 間に 、笑いが 生まれる 。それは 、昨日 まで とは 違う 笑い だった 。軽くて 、あたたかくて 、何より 、“ ちゃんと 通じ 合った ” という 実感が そこに あった 。

カーブが 増えて くる 。 速度が 自然と 上がって いく 。

新開が 少し 前に 出たかと 思えば 、すぐに 荒北が 横に 並ぶ 。 風が 頬を かすめる 。朝の 光が 木々の 間から こぼれて くる 。

新開隼人

…… なあ 、靖友 。

荒北靖友

ん 。

新開隼人

これからも 、俺の 隣 、走って くれるか 、?

荒北靖友

…… あ 、?

新開隼人

だって 、俺の “ 好き ” って 、そういう こと だからさ 。

荒北靖友

…… バッカ じゃ ね ェ の ……

荒北は 呟いて 、新開を 横目で 睨む 。 でも 、に 睨んだ その目 は 、笑って いた 。

荒北靖友

しょ ~ がね ~ から 、お前の “ 好き ” って やつに 、付き 合って やん ヨ 、!

新開隼人

やったぁ 。 (笑

新開が 嬉しそうに 笑う 。 ふたりの 自転車は 、そのまま 並んで 坂を 下りて いく 。

朝焼けの 中で 、スピードを 上げながら も 、隣から 、距離は 一度も ズレなかった 。

その 速度が 、ふたりに とっての “ 答え ” だった 。

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エピローグ:いつかの午後

下校途中の 坂道 。 制服姿で 、いつものように 並んで 歩く ふたり 。

信号待ちのとき 、新開が ふっと 言う 。

新開隼人

俺 、靖友と 走るの 、やっぱ 好きだ 。

荒北靖友

ン だよ 、急に 。

新開隼人

なんとなく 。あのとき 言った “ 好き ” って 、ずっと 続いてる な ~ って 。

荒北靖友

…… バカ

新開隼人

うん 、バカで いいや 。 (笑

信号が 青に なる 。 ふたりは そのまま 、並んで 歩き 出した 。

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