ザーザー
鳴り止まない雨の音。
ふと思う。
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君も今、泣いてるんだろうか。
たった1人で泣いているんだろうか。
僕は梅雨が好きではない。
ジメジメしていて、気分があがらないじゃないか。
ずっと雨が降っているなんて嫌じゃないか。
それに加えて君が泣いてると思うと もっと気分が下がる。
だって、僕が泣かせたんだから。
雨がさっきより強くなった。
風も強くなって、木が揺れている。
こんな雨の中君が1人で泣いている。
そう思うと、いてもたっても居られなくなり、家を飛び出した。
外に出ると、当たりは少し暗くなりはじめていた。
居場所の目星は大体ついている。
そこを重点的に探し回った。
僕の家の少し遠くにある公園のベンチに君は居た。
ザーザーと雨が降り続ける中
君は、たった1人で泣いていた。
もう当たりが真っ暗になっている中
君は、たった1人で泣いていた。
髪も服もずぶ濡れで寒そうだ。
手には黄緑色のハンカチがしっかりと握られている。
そのハンカチは昔、僕が君にプレゼントした、クリーパーの絵柄が描いてあるものだった。
公園のベンチで、天に救いを求めるように、たった1人で泣いている君を、見ていられなくて話しかけた。
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話しかけても君は泣いているだけで きづいていないようだ。
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なにかに訴えかけるように、
なにかに助けを求めるように、
泣きながら、声にならないような、
無理矢理絞りだしたような声で
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僕の名前を呼ぶ
今にも消えて無くなってしまいそうな
小さな声で僕を呼ぶ。
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そう言って安心させようと頭を撫でようとした。
僕の手は、ゾムの頭に触れることなく宙を舞った。
ゾムが透けてるんじゃない。
僕が透けてるんだ。
その瞬間記憶が蘇る。
ゾムが何人かの集団に殴られているのを見た。
ゾムに逃げ道を与えた。
ゾムを走らせた。
僕はゾムの代わりになった。
強い衝撃。
真っ赤に染まった体。
ぼやけていく視界。
痛みを感じなくなる体。
力が入らなくなる足。
気づいたらここに居た。
ゾムはここに逃げたのだろう。
ここはさっきの場所からは遠い。
もしアイツらが僕で満足しなくても、
ここまでは追いかけてこないだろう。
雨が降り続ける中、
泣いているゾムの周りを
囲むように、
守るように、
紫陽花が、咲いていた。
コメント
4件
ありがとうございます
わぁ!大好きです! 表現とか神ですかね? 天才すぎます!
最後まで見て頂きありがとうございます。ここからは解説です。 最後、ゾムさんの周りに紫陽花が咲いていましたが、この紫陽花はロボロさんのつもりです。死んでもなお、守っているというつもりです。