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ーー午前10時、組織本部

古びた洋館の一室で、今日も彼らにとっての“仕事”をこなす

うり

なおきりさーん、この書類ってどこにハンコ押せばいいんだっけ

なおきり

もーさっき説明したでしょ…

うり

ごめん聞いてなかった…

なおきり

もう一回説明するからちゃんと聞いて下さいねー、左側が処理済みで、右側が…

机を挟み、うりの隣で同じく仕事をこなすなおきりさんは、軽くため息を付いた

たっつん

シヴァさーん、今日午後から会合やからジャケットくらい着てな?

シヴァ

えー…スーツ暑いからあんま俺好きじゃないんだけど…

たっつん

はいはいつべこべ言わんとはよ着ろー

とぼけた口調で答えた俺に、たっつんは呆れたように上着を俺に放り投げる

それと同時に、奥の扉が静かに音を立て開いた音がした

のあ

シヴァさん、パンケーキ焼けましたよー

シヴァ

お、やったー

嬉しい報告にすぐ立ち上がると、身軽な動きで食堂の方へ向かった

なおきり

うりさん、僕達も行きましょう!

うり

はー…やっと休憩できるわ!

食堂へ続く扉を開くと、広い空間が広がっていた

中央には部屋の奥へと長く続いていくテーブルと、それを囲ういくつもの椅子がそれぞれ何組か、

少し離れた端の周辺には、2.3人が囲う程の大きさのテーブルや椅子が並べてある

中央に目を向けると、既に数人が揃っているのがわかった

じゃぱぱさんは何か資料を見つめコーラをコーヒーのごとくすすり、どぬくさんは鋭く輝く刀を手入れしている

ゆあんくんはパソコンをいじりながら、時折「あ、ヤバいこれ抜かれてる」なんてことを時折呟いていた

えと

あ、皆坊っちゃん来たよー

ヒロ

おー我らが坊っちゃんご来場

シヴァ

ちょっと、普段は坊っちゃん呼びやめてって、笑

じゃぱぱ

シヴァさんお疲れー、今日も元気そうで何より!

シヴァ

そっちこそ、昨日寝てなかったんじゃないの?

じゃぱぱ

まぁねー、昨日の仕事、ちょっと面倒臭かったからさ

シヴァ

ほんと無理しないでよー?

シヴァ

俺が倒れんのは構わないけど、皆が倒れるのは一番困るから

冗談半分で言った言葉に、全員がふと手を止める

もふ

それ、逆でしょ“坊っちゃん”

もふ

一番倒れちゃだめな立場なのシヴァさんでしょ、どう考えても

シヴァ

…まぁねー

俺はもふくんの言葉に対して、本当に軽そうに笑った

そんな俺を見て、もふくんは全くもう…とでも言いたげな表情でため息を付く

そんな空気もつかの間、唐突にドスンと勢いよく扉が開いた

るな

シヴァさんちょっと来てください!!

るな

敷地内に不審な飛行パターンのドローンが侵入してます!

シヴァ

うん、パンケーキ食ってからでいい?

るな

えぇ…で、でも監視カメラにも妙な動きがあるって報告があって、、

るな

あ、どぬくさん少し後ろ通ります!

どぬく

はーい、刀磨き中だから気をつけて!

どぬく

あと“坊っちゃん”、呼ばれちゃってるよ?

のあ

そうですよ、危害が来る前に早く行ってください!

シヴァ

もー…折角のまったりタイムなのに…

そんな言葉を零しつつ、俺は小さく息をついて立ち上がった

るなに連れられて、書斎奥のモニタールームに入った

いくつも並べられた画面を睨みつつ、通信機器を調節する

シヴァ

どの辺り?

るな

えーっと…北東方向の境界線ギリギリです

もふ

監視カメラの映像確認したんだけど、多分あれは偵察用

もふ

民間用のとは挙動が違う

もふ

監視カメラもいくつかハッキングで操作されたっぽい

シヴァ

はーん…たっつん、ドローン壊せる距離?

たっつん

『行けるっちゃいけるけど、壊したら相手に“気づかれた”ってバレるで?』

通信機器特有の音に混じり、たっつんの用心深い声が聞こえる

シヴァ

良いよバレたって、こっちが気にしてるって思わせればちょっとは慎重になるでしょ

シヴァ

あ、ヒロ君レーダー抑制装置回せる?

ヒロ

ん、任せて回せるよ

シヴァ

よし、ゆあんくんは追跡ログ取れてる?

ゆあん

こっちから3秒遅れでデータ拾えてるよ、

ゆあん

あーでもこれ…GPS改ざんされてるかも

シヴァ

どぬくさんとえとさん、裏から回っておいて、敵が本気なら回収部隊もいるかもしれないし

えと

『了解ー』

どぬく

『把握!』

シヴァ

じゃぱぱさんはもしもの時のために他の戦力の指揮の準備お願い

じゃぱぱ

『ん、わかった』

ファミリー達の返事は短く、速い

この家では“坊っちゃん”と呼ばれるシヴァだが、その実、誰よりも判断が早く、容赦がなかった

そして、それを全員が知っているからこそ、今でも彼を真ん中に立たせている

たっつん

『…撃ちます』

たっつんが構えた狙撃銃の照準が、モニターに映るドローンの映像とリンクする

数秒の静寂

バン

小さな発砲音が響いた直後、画面の中のドローンが空中で火花を散らし、真っ逆さまに落ちていった

たっつん

『一機確認、多分警告のつもりやろうな』

ゆあん

だろうな、まぁでもあのチームは前にボコボコにしたし、最後の悪足掻きみたいなもんでしょ

シヴァ

…ま、いいじゃん!最近実動系の仕事なくて退屈してる奴もいたし

呑気な笑い声に、他のファミリーもつられるように小さく笑った

この空気が、俺達のいつも通りの日常だった

ーー俺達は、元々ゲーム実況グループだった

名前は『カラフルピーチ』

12人で動画を撮って、わちゃわちゃして、笑い合う、それが全てだった

でもある日、突然全てが終わった

事件か、事故か、俺達が死んだ理由はよく覚えていない

気づいたときには、別の世界に生まれ変わっていた

銃と権力が支配する、この世界に_

身に覚えのない、この世界での、この世界で過ごした俺達の記憶と共に

シヴァ

…さて、パンケーキ食って良い?

のあ

もう冷めちゃってますけどね…笑

平和とは言えないこの世界で、でもこのファミリーとの日常は、唯一前となんら変わらない時間だった

それだけは、きっと間違いじゃない

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