テラーノベル
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白い壁は、白であるがゆえに穢れていた。
ひとつの傷も汚れも許されないその無機質さは、 むしろ血や影を想像させる。
ここは、人を人として扱わぬ場所。 研究所───と呼ばれる、名ばかりの箱庭。
冷たい管の中に沈む水。 並ぶ実験記録は、誰かが受けた痛みの数。
kz
その奥、ひとつの小さな部屋。 「kz」と呼ばれる青年が横たわっていた。
彼は「実験体」である。
研究員たちは、彼を人間としてではなく、 人形へ変わりゆく素材として記録している。
心拍、呼吸、声の震えさえも、 「変質の兆候」として書き残されていく。
……鉄扉の外から、低く話す声がした。
───fu、rm、sy。
この研究所に関わる者たちの声だ。
彼らはそれぞれ、異なる立場で この場所に、見えない"糸"で縛られている。
だが、ひとつだけ共通しているのは。
───「ここに、出口はない」ということ。
初投稿 「 呪い人形実験記録 」 開幕 .
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