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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

月島

この世界の20%の男性が妊娠可能。

月島

そして僕は一ヶ月前医師から妊娠を告げられた。

月島

黒尾さんとの子供。

月島

僕は嬉しくて、嬉しくて堪らなかった。

月島

そして、僕は黒尾さんに報告するために仙台から新幹線に乗り東京へ向かった。

黒尾

月島。ごめん。

堕ろして。

月島

はっ?

黒尾さんは俯いたままそう静かに言った。

黒尾

嬉しよ。嬉しいけどさ

黒尾

俺たちは未成年で男だ。

黒尾

それで俺は年上だ。

黒尾

責任を取らなきゃいけない。

黒尾

これまでとこの先も

黒尾

ツッキーには申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

黒尾

だけど俺たちは何もできない。

黒尾

ツッキーのためにも、その子の為にも

黒尾

堕ろそう

はっきりそう言われた。

頭の中が真っ白だ。明るく照らされていたはずの未来はもうない。

黒尾さんと、お腹の子と、僕とでニコニコ笑い合える未来はもうない。

黒尾

ツッキー。別れよう。俺たち。

堕ろせと言われたあとにさよならと言われた。僕は混乱して訳が分からなくて、泣いた。

頭を上げた黒尾さんの顔は、今にも泣きそうになっていた。

月島

ごめんなさい。僕の方こそ。

月島

黒尾さんの人生ですもんね。

月島

それでそれは僕の為なんですよね。

黒尾

あっ…

月島

わかりました。

月島

黒尾さん。今までありがとうございました。

月島

とても楽しかったです。

黒尾

ツッ…

何か言おうとした黒尾さんを後に僕は黒尾さんの家を出た。

黒尾さんに堕ろせと言われたが、僕はお腹の子が可哀想で結局堕ろさなかった。

僕たちの勝手なエゴで生まれてしまった子に罪はない。

一生かけて償おう。

そう強く心に決めた。

月島

其後色んな事があった。

月島

家族にお金だけ渡されて、縁を切られて、家を追い出された。

月島

学校は必然と退学

月島

そして住むだけでお金がかかる東京に移住

月島

偏見も差別も厳しいこの世の中で

月島

僕は毎日冷水を浴びせられながらバイトをした。

月島

妊娠初期は酷いつわりを感じながらもレジに向い

月島

お腹が膨らんできた妊娠中期でも品出しを

月島

臨月は寝る間も惜しんで内職を

月島

全ては産まれてくるこの子の為に

そして、17歳の冬

んぎゃあ、んぎゃあ

窓の外が雪一面で覆われる中

元気な産声を上げる黒髪くせ毛のくすんだ琥珀色と澄んだ琥珀色をした瞳を持つ赤子が産まれた。

月島

月島…月島雪

看護師

あら。いい名前ね

月島

ありがとうございます

看護師

それじゃあしばらく新生児室に雪くんいるから

看護師

回復したらおいで

看護師

何かあったら伝えるのよ?

看護師

ちゃんとサポートするから

月島

はい。

月島

雪は病気も怪我もなくすくすくと育っていった。

月島

赤葦さんも子供が出来たということで雪を連れて遊びに行ったり

月島

仕事が大変だけど有給で川や、山、海に遊びに行ったり

月島

辛いことは沢山あるけど僕は産んでよかったと思ってる。

月島

そして、雪が小学2年のとき

月島

雪が僕のアルバムを見つけた

ままー

月島

なに?

この鶏さんみたいな頭の人誰?

ママとすごく仲良さそう

雪が発見したのは僕と黒尾さんが付き合っていたときの写真を集めたノート

月島

この人はね

月島

ママの大切だった人

いまは?

月島

今…

月島

今も大切だよ。

ママらしくない!

月島

いいの。そういうことは。ほら!早く着替えて!学校遅れるよ!

はーい。

黒尾さん。僕と雪を捨てた人。いや。僕が捨てたのかもしれない。あの時黒尾さんはなんて言おうとしていたんだろう。

ママー!光希(木兎と赤葦の子供)が迎えに来てくれてるから行くねー

月島

気をつけてね!

はーい!!

月島

黒尾さんは…今の僕にとってどんな…人なのだろう。

ぴーんぽーん

月島

はーいっ。

黒尾

ツッキー…

ドアを開けると、そこには見慣れたとさか頭、キリッとした目つきに、優しい声

僕が恋い焦がれた人だ。黒尾さんだ。僕の最初で最後の恋人だ。

月島

兎に角あがってください。

黒尾

あっ。、お邪魔します

月島

どうぞ。

月島

どうして住所わかったんですか?

黒尾

木兎に聞いて…

黒尾

急に訪ねてほんとに済まない。

黒尾

だけどずっと謝りたくて。

月島

何をですか?

黒尾

九年前のこと。

黒尾

あの時。俺どうかしてた。

月島

其のことならもういいです。自分で決めて

月島

自分で方はつけました。

黒尾

違うよ。俺。

黒尾

ツッキーのことほんとに好きで愛おしくて、ツッキーには幸せになってほしかったんだ。

黒尾

男で妊娠して、自殺する人は跡を絶たないし、

黒尾

職場でもいじめとか、家族関係とか

黒尾

色々。ツッキーには辛い思いをしてほしく無かった!

黒尾

だから…あんなことを。

黒尾

別れようって言ったのも。ツッキーには

黒尾

俺みたいなやつじゃなくて、女でも男でも構わないから

黒尾

責任持ってツッキーを愛せる人に出逢ってほしかったんだ。

月島

だからっだからなんですか?!

月島

中絶しようがしなかろうが、どっちにしろ僕は辛い思いをしました!

月島

中絶してたら、きっと罪悪感に押しつぶされて僕は僕じゃなくなってました!

月島

育てるって決めて僕は職場でいじめられて

月島

つわりが酷くても誰も声をかけてくれない!

月島

買い物のときだって周りの親子から冷たい目で見られて

月島

辛いお産のときだって僕は一人でした!

月島

僕は幸せになってほしいとか、辛い思いをしてほしくないとか、どうでもいいです!

月島

僕は、僕はただ貴方に傍に居てほしかった!

月島

そして貴方に父親として雪を愛してほしかったんです。

月島

僕のことなんてどうでもいいです。二の次でいいんです。

月島

僕たちの勝手なエゴで生まれてしまった雪を愛してほしかった。

月島

そして、傍に居てほしかった。

黒尾

ツッキー。ほんとに我儘だと思う。

黒尾

阿呆らしいと思う。莫迦だと思う。

黒尾

だけど一つだけ聞かせて

黒尾

今からじゃ遅いかな?

黒尾

今からツッキーと雪の傍に居て二人を愛すのは

黒尾

今からじゃ駄目かな?

月島

だめじゃないです。

月島

全然駄目じゃないです。

月島

でもその代わり今までできなかった分全部取り返すつもりで居てください

月島

僕とあなたは人間です。欲張りです。

月島

我儘です

月島

そんなこと分かってます。

月島

できる限りでいいです。

月島

黒尾さん。何か言うことは?

黒尾

ツッキー。

俺と結婚してくれますか?

月島

はい。不束者ですがお願いします。

パパ

この作品はいかがでしたか?

1,047

コメント

11

ユーザー

感動しちゃうこの後の雪がパパと出会うシーンとかありますか?

ユーザー

泣きました

ユーザー

感動しましたぁ!最高でした、雪ちゃんよ、鶏って言うパワーワードが強すぎる()

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