春海暗
春海暗
春海暗
春海暗
人通りの少ない道。
いきなり降ってきた雨に うんざりしながら歩く
悠佑
雨の音だけが響く
先程まで明るかった空も どんよりとしていた
悠佑
悠佑
歩いていると ぽつんと一つだけ置いてある ベンチがあった
そこに人の影が見えた
悠佑
チラリと腕時計を見る
針は既に"8"を 指そうとしていた
悠佑
︎︎
ベンチに座っていたのは 赤髪の少年だった
すっかり日が落ちている中 傘もささずにじっとしていた
俺を警戒しているのか キッと睨んできた
悠佑
そう言って笑うと 少しだけ顔が緩んだようだった
︎︎
悠佑
︎︎
雨にうたれていたからか 身体が震えている
悠佑
悠佑
︎︎
悠佑
悠佑
りうら
悠佑
りうら
悠佑
りうらは安心したのか 自然と笑っていた
悠佑
りうら
悠佑
りうら
悠佑
悠佑
りうら
悠佑
りうら
りうら
悠佑
りうら
りうら
りうら
悠佑
不安そうなりうらを 優しく撫でる
突然、りうらの目から 滴が落ちた
りうら
りうら
悠佑
悠佑
悠佑
りうら
悠佑
りうら
悠佑
りうら
来た時よりも笑顔になった
安心と同時に 少しだけ寂しい気持ちになる
この笑顔を見るのは 最初で最後だ
悠佑
りうら
悠佑
りうら
だから今のうちに
たくさん話そう
ないこ
悠佑
りうら
悠佑
ないこ
悠佑
ないこ
悠佑
りうらの言った通り 優しくてしっかりしている
悠佑
りうら
悠佑
りうら
悠佑
りうら
あれから数日がたった
悠佑
今日は綺麗に晴れている
俺はあの日から 寂しさが残り続けていた
一目惚れと言うものなのか りうらのことが頭から離れない
悠佑
少しの期待を持って この道を歩いている
一つだけあるベンチ
りうら
そこにりうらが座っていた
悠佑
りうら
りうら
悠佑
期待させるような言葉 俺は拳を固く握った
でも すぐに力が抜けた
チュッ
りうらの唇がそっと触れる
りうら
りうら
顔が真っ赤のりうら
それにつられて 顔が熱くなるのがわかる
りうら
悠佑
りうら
勝手に口から出ていた
でも、後悔はしてない
悠佑
りうら
りうらが俺に抱きつく
りうら
弱々しい声でそっと呟く
顔をうずくめるりうらは 泣いていた
滴が落ちて 俺の心に染みた