木葉 楓
上着…借りてしまった
木葉 楓
返さなきゃ
木葉 楓
…お礼もしなきゃ
木葉 楓
「無事でよかった」か…
木葉 楓
次の日、その服をすぐクリーニングに出した
木葉 楓
でも、返すにしてもあんな偶然会えるなんて思えないし…
木葉 楓
行きつけ?…知るわけないわ
木葉 楓
…行くしかないのかな
木葉 楓
助けてくれたあと、少しムカつく!って思ったのに、あんな優しく「無事でよかった」なんて…
木葉 楓
…むかつく、
森永 蓮
いらっしゃいませ、…あ!
木葉 楓
ど、どーも…
森永 蓮
なんだ!
意外とあっさり来るんじゃんw
意外とあっさり来るんじゃんw
木葉 楓
ち、ちがっ!
森永 蓮
じゃあ、なんで?w
木葉 楓
…わ、私はただ、服を返しに来ただけでっ
森永 蓮
え、なに
あぁ、この前の?
あぁ、この前の?
森永 蓮
わざわざ返しに来てくれたの?
森永 蓮
…ありがとう、助かるよ
木葉 楓
…ッ!!
森永 蓮
しかもこんな綺麗にクリーニングまでしてくれたんだ、
森永 蓮
意外と女子力あるじゃん
木葉 楓
…え
森永 蓮
ま、とりあえず座れよ
森永 蓮
少しぐらい時間あるんだろ?
来たならちょっと話そうぜ
来たならちょっと話そうぜ
木葉 楓
…
木葉 楓
いつか言われた毒をかき消すかのような「ありがとう」
木葉 楓
ふと見せたその笑顔は、とても優しくて綺麗で、一瞬にして目を奪われた。
木葉 楓
私は結局断れなくて、少し話をしてお酒も数杯飲んでその日は帰ったけど、
木葉 楓
不思議な気持ちだった
木葉 楓
蓮は…
森永 蓮
今日の代金は俺の奢り、クリーニング代高かっただろうし、お礼も兼ねてるから気にしないで?
森永 蓮
それでも気になるようなら…また来てよ。
森永 蓮
君と話すと、なんか楽しくてさ笑
森永 蓮
俺に休憩時間与える気持ちで…ね?
木葉 楓
と言って、私を店の外まで見送ったあと、指名が入ったようで、店へと戻っていった。
木葉 楓
こうやって客をつかんでいくのだろうか…
木葉 楓
女子力あるじゃんなんて、初めて言われたな…
木葉 楓
また、会いたいと思ってしまった…
東條 麗子
ねぇ、蓮
東條 麗子
…あの子、新しい子?
森永 蓮
あぁ、この前新規で
森永 蓮
今日が2回目だったかな
東條 麗子
…へぇ、すっごい芋っぽい
森永 蓮
ははっ笑、そうなんですよね笑
東條 麗子
でも、ああいう子も大事にするからあなたはここで人気を得ているのよね。
東條 麗子
顧客数で言えば誰よりも多いんじゃない?
森永 蓮
俺にとって来てくれるみんなが大事なお嬢様ですから…
森永 蓮
でも…
東條 麗子
でも?
森永 蓮
…麗子さんはその中でも
森永 蓮
…特別ですよ
東條 麗子
ふふっ…ありがとう
東條 麗子
でも、そんなこと大声で言っちゃだめよ?
東條 麗子
いくら大事にしてても、その一言でみんな離れていくわ
東條 麗子
みんなあなたを愛して足を運んでいるのだから
森永 蓮
えぇ、そうですね…
森永 蓮
気をつけます
東條 麗子
蓮…今日は、お願いしちゃおうかしら
森永 蓮
…わかりました。
少し待っててもらうことになりますけど、よろしいですか?
少し待っててもらうことになりますけど、よろしいですか?
東條 麗子
えぇ、大丈夫よ
東條 麗子
待ってるわ
東條 麗子
あなたがまだ新人だった頃が懐かしいわね…
東條 麗子
あんなにあどけなくて、でもあの頃から優しくて、惹かれる鋭い目をしていたわ
森永 蓮
ここまで登り詰められたのも、麗子さんのおかげですよ
東條 麗子
ふふっ、こんなに口も上手になっちゃって
女の子が増えるのも仕方ないわねぇ
女の子が増えるのも仕方ないわねぇ
森永 蓮
そんな、俺は本当のことしか言ってないですよ。
森永 蓮
俺はどんなに気分が乗らなくてもこの人の手だけはほどかない。
森永 蓮
新人の時からずっと俺を指名してくれる古株で、この人は俺の売上の3割を盛っている。
森永 蓮
顧客数だけでも俺はどのメンバーよりも上だけど、この人の財力だけは誰も勝てない
森永 蓮
ただ上に乗り上がることだけを考えてたあの頃、俺はこの人に買われた
森永 蓮
どんなに酔っていても、どんなに帰りたくても、この人の誘いだけは絶対で
森永 蓮
飲めと言われたら飲み、くちづけろと言われれば、その真っ赤に染った唇になんどもくちづけて来た。
森永 蓮
この人が住む高層マンションは、寝室がとても綺麗な夜景のガラス窓で、間接照明で照らされたこの人の肌は、何よりも白く美しい。
森永 蓮
今日も手馴れた手つきで服を脱がし、この人は俺をベッドへ誘う。
森永 蓮
俺はそれを…断ったことは無い。