コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ああ、だよな
逃げ出したい。 家からも、学校からも、世界からも。 この痣だらけの心と身体を放り投げ、生まれ変わることも無く広い宇宙の中に沈む。 そんな甘ったれた考えに、酷く酩酊している。 楽な場所を求めるように彷徨っている。 今はただ、生温い。
y a .
不意に、自分とは別の誰かの息遣いが、耳に入った。 背後から足音が募る。 人はこれを愚かと呼ぶだろうか。 しかし自分には、その青い瞳が、哀しい色を纏っているように見えた。
y a .
仄暗い部屋。 一人で住むには広くて、二人で住むには狭い。 そういう場所。
n o .
y a .
男性にしては細身の白い身体と、先刻の、哀しい瞳。
y a .
そう問い掛けると、彼は驚いたように少し体を跳ね上がらせた。
n o .
y a .
いつの間にか連れ込まれていた知らない部屋。 この状況で誘拐じゃないと言えるかどうか、難しい。
n o .
y a .
n o .
綺麗...? この包帯の下には、大きな傷跡がある。 綺麗、というか、格好良いなら、彼の方がもっと... そういえば、包帯替えられている。 また傷が開いちゃったからか...
n o .
y a .
n o .
y a .
n o .
n o .
y a .
n o .
y a .
n o .
y a .
先程から見る彼の態度は誘拐犯とは思えない程弱々しい。 聞いた台詞は殆ど謝罪か自分を卑下する発言だ。
n o .
そう言って彼は目線を逸らしながら机にカレーを置いた。 そういえば、昨日はご飯を食べさせて貰えなかった。 思い出したかのように、腹の虫が鳴き声をあげる。
n o .
n o .
y a .
自信なさげな態度だった割に、本当にお腹を空かせていただけで大袈裟な程焦っている。 ちょっと面白い人だ。 そう思い、ふと笑みを零してしまった。 それに気づいて慌てて口角を元に戻したが、彼は見ていたようだった。
n o .
y a .
n o .
矢張り、彼の口から零れる言葉は同じだった。 俺が否定するよりも前に、彼が彼を否定する。 謝れと言った訳でもないのに、謝罪の言葉が垂れる。 その姿を、自分に重ねてしまっていた。
y a .
n o .
y a .
“なん"であ"んた"は、ッ何ッ"に"も出来な"いの"ッ?!” “母さん辞めて!!” 赤く腫れた頬はまだ痛かった。 母のことを母さんと呼べる兄が羨ましかった。 産まれてきた自分が憎かった。
y a .
視界が曇っていた。 頬を流れる涙のせいだった。 それを見て、彼は口元に笑みを浮かべた。 哀しい瞳は輝いている。
n o .
その日から俺は、彼に、なおきりさんに、恋をした。