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五線譜の上で踊る

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五線譜の上で踊る

10 - 独り占め💜×🩷(リク)

♥

115

2023年10月03日

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※注意※ mob有

いつからだろう

笑う彼を独り占めしたいと 思うようになったのは

俺だけに見せる弱った顔を見て どうしようもない高揚感を得るように なったのは

いつからだろう

恋人

この関係性に満足できなくなったのは

LAN

…ま、い…ま、いるま!

いるま

ん………ぅ?

LAN

ほら!早く起きて!

LAN

今日平日!遅刻しちゃうから

目を開けると光が眩しくて 目元を腕で覆う

少しの間から見えるらんの姿

既に準備万端な様子の彼は 黒色のスーツの桃色のネクタイを 身につけていた

LAN

もー…いるま…

いるま

起きてる…起きてるから…

LAN

やっとかぁぁ…

LAN

おはよっいるま!

にかって笑う表情は きっと誰よりも可愛い

どこか幼い顔としっかりした男性の体

LAN

えっ、っわ。、ん…ぅ

気付いたら俺は彼の腕を引いて 唇を押し付ける

薄く目を開ければ満更でも無さそうに 頬を赤く染めたらんの姿

いるま

……っは、
顔赤くしちゃって可愛い

LAN

……い、るまが、、急にキスしてくるから………

いるま

満更でも無さそうなのに?

LAN

うううるさい!

「俺もう行くから」 って離れてく体を抱き締める

いるま

やだ、、俺から離れんな

LAN

っもー!じゃあ早く準備してよ!

いるま

もっかい、次はらんからキスしてくれたら頑張れる

LAN

はぁ??………っもー!

ちゅっ ってリップ音を鳴らしながら 触れるだけのキスを1回

目をぎゅって瞑って、顔を赤く染める らんが可愛くて仕方がなかった

LAN

ん…ほら!したぞ!

LAN

行くって約束!!

LAN

あと30分で準備できなかったら置いてくからな!

俺の腕からするりと抜け出して 耐えきれなかったように部屋から出てくらん

いるま

あぁもう…

ポツリと呟いた言葉が らんに届く前に扉が勢い良く閉まった

いるま

誰にも渡したくない

いるま

俺だけの……らん

〜LAN side〜

カタカタカタ… そんなキーボードのタイピング音を 聞き始めて何時間が経過しただろうか

辺りはもうすっかり真っ暗で 「お疲れ様で〜す」なんて 部下の声が遠くでした

A

LANさんももうそろそろ上がったらどうですか?

A

ここ最近残業ばっかりしてるじゃないですか…

A

もう少しお体に気を使ってほしいです…。

ことりと温かい缶コーヒーを 俺のデスクに置きながら 後輩である女性が小さく言った

若く、仕事もでき、気遣いもできる彼女 よくできた人ってこういう人を 言うのかもしれないな なんて思ってみたり

LAN

あぁ、Aさんありがとなぁ…

LAN

でもこの仕事は俺がやらなきゃだしなぁ…

LAN

もう少しなんよ

LAN

もう少しキリのいいとこまでできるから、そしたら今日は帰るわ

A

はい、そうしてください…

A

いつか倒れちゃうんじゃないかって

A

本当に心配なんです………

LAN

あははっ、それは大袈裟!

A

大袈裟なんかじゃないです…

A

私も手伝いますから!一緒にキリがいいとこまで終わらせましょ!

LAN

ん、ありがとな

俺のデスクの脇に溜められた たくさんの資料を半分以上取って 自分のデスクへ帰る彼女

本当、よくできた後輩だな

LAN

終わった〜

A

LANさん本当に仕事早すぎますよ…

A

私殆ど役に立てなかった気がします……

LAN

ええそんなことないよ?

LAN

めっちゃ助かった!ほんとに

LAN

あとコーヒーもありがとな

LAN

言いそびれてたから

A

そんなの全然大丈夫ですよ!

A

私が勝手にやったことですし!

LAN

ほんっとーに助かった!

LAN

てか俺こそごめんな
こんな時間まで手伝わせちゃって

あれから約1時間 何とか区切りのいいとこまで終わらせた 俺達は一緒に会社を出た

女性の方と肩を並べて歩く事は ほぼ無くて、俺よりも小さな歩幅に 何とか合わせながら帰路をたどる

夜も遅い こんな時間に女性一人で帰らすなんて すべきじゃないのかもしれない

せめて最寄り駅までは送っていくべき なのかもしれない

でも……

LAN

もう9時……か

ここ最近はずっと夜遅くまで残業で いるまと顔を合わせて会話する時間が ほとんどなかった

でも今日早く切り上げたから 彼と一緒に夜を過ごしたかった

A

LANさん…この後良ければ飲み行きませんか?

LAN

え…あぁ、今日はちょっと……疲れたし帰ろうかなぁって…

A

そう…ですよね………

A

………あ!

A

じゃあ良ければ私がお夕飯作りましょうか?

A

こう見えて結構料理は得意なんで

LAN

いやいやいいよ悪いし

A

私がしたいんです!

LAN

俺んちちょっと遠いし、

LAN

もう夜も遅いから早く帰ったほうがいいよ

LAN

だから……

「今日はもうお互い帰ろう」 そう言葉を紡ごうとするが遮られる

柔らかい唇の感触 ふんわり甘い香り

今自分が何をしてるのか どういう状況なのか

理解してるはずなのに 何故か脳がそれを強く拒んだ

LAN

………え

A

…好きなんです…、LANさんが

A

だから

いるま

なにしてんの

聞き慣れた声 でもいつもより低くて 明らかに怒ってる声

LAN

い…るま……

いるま

お前誰?

A

あ、えっと私は……

いるま

あーもう誰でもいい興味ねぇ

いるま

でも二度とコイツに近付くな

いるま

わかったか?

A

……っ、ごめん…なさい

後輩からの突然の告白に 大好きな彼の突然の登場に 状況が上手くつかめないまま 話はどんどんと進んでいく

いるま、それ俺の後輩だから 大丈夫だから…って

泣きそうな顔して俯いてる後輩に 手を差し伸べるべきなのに

LAN

い…るま…?

LAN

何でここに……

いるま

たまたま近くを通っただけ

いるま

そしたら……

チッ……

人の話し声や車の音 様々な音が鳴り響くこの空間で

彼の舌打ちだけはよく聞こえて 怒られるって体が少し強張った

不機嫌そうにしながら、 ぶっきらぼうに服の袖で俺の唇を擦る

LAN

いるま…

もう一度彼の名前を呼んでも 彼は目も合わせてくれないまま

俺の手を引き歩き始めた

〜いるま side〜

許せなかった

俺の大切な恋人に手を出したあの女が

許せなかった

親しげに笑いながら歩くLANの姿が

許せなかった

何もかも

あの女も

LANも

俺自身も

全部

全部

全部

その後のことはよく覚えていなかった

気付いたら俺はLANに 沢山の傷を付けていた

ごめん、ごめんって 何度も謝り続けるLANに 目もくれずに何度も何度も己の拳で 傷付けた

あれ俺こんなことしたかったんだっけ

泣かせたかったんだっけ?

力で独占したかったんだっけ?

違う…違ったよな…

俺はただLANと幸せになりたいだけ

なのに…おれは

あぁ、でもこれでいいのか

地下に閉じ込めて、力で諦めさせれば

俺だけを見てくれる

もう二度とLANが汚されることもない

それが俺達にとっての 幸せなのかもしれない

それならそれで、いいんじゃないか?

なぁLAN

お前ならわかってくれるよな?

いるま

おはようLAN

LAN

い、るま……

いるま

今日も可愛いね

LAN

俺、無断で仕事休んでるから…だから

いるま

だから何?

いるま

外に出たい?

いるま

そんなの俺が許すと思ってんの?

LAN

いるま、、

いるま

泣くなよ

いるま

お前はここにいれば良いんだよ

いるま

それが俺らにとっての幸せだろ?

いるま

愛してるよLAN

いるま

お前は?

LAN

俺も…………

LAN

愛してるよ……

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