桃赤
マスクを軽く持ち上げて新鮮な空気を体内に吸い込む
チラッと周りを見ると床に座って肩で息をしていた
息が整った俺は体育館から出て近くの木陰に移動して座った
10分間の休憩は長いのか短いのか
俺は基本は長く感じるのだが、週に1回、金曜日だけはとても短く感じる
土日に入るって言うのもあるだろう
でも大半は、
桃
お前の所為だ
運動神経が学校1良くていろんな部活の助っ人をしている彼は金曜日だけ俺の入っている部活に参加している
座っている俺を持ち上げ、膝の上に乗せた彼の腕がお腹あたりに回ってきた
赤
離れるように伝えるが彼は「ん〜」と言いながらさっきよりも強く抱きしめられた
肩に顔を埋める彼の髪が首筋に当たってくすぐったい
ふと空を見る
暗い色をした雲
もうじき梅雨になると言うのに暑さはもう夏になっている
そろそろ偏頭痛の彼が大変になる
俺も俺で大変になる
彼は偏頭痛で頭が痛くなるとものすごく甘えたで、泣き虫になるのだ
学校ではあまりベタベタして欲しくないのだが頭が痛くなった彼にそう言うとポロポロと涙を零す
彼の涙を止めるには結構時間がかかるため、その時だけは彼の好きなようにさせていたのでもう半分の人達には俺たちが恋人だとバレている
挙句に先生たちにまでバレ始めている
学校ではあまり目立ちたくないのだけれど…
※という彼ですが、トップクラスに入っている超モテ男なんです。バリバリ目立っているのです。(本人は気づいておりません。)
ゆっくりと流れていく雲を眺めているともうバレても良いのではないかとも思い始めた
彼の片方の腕が動いてどうしたのかとその後の動きを待っていると
カプッ…
彼は俺の少し伸びた髪をどかして首筋を噛んだ
赤
だんだん噛む力を強めていく彼
暫くしてようやく唇を離した彼と目が合う
桃
ちゅっとリップ音を立てて耳にキスをする彼を怒りたいのに怒らない自分がいて
はぁ、とため息をついて俺は向かい合わせになるように座り直す
首に腕を回して肩に顎を置き瞳を閉じた
赤
カプッ…と彼の髪にギリ隠れる所に噛み付く
もうこの際どうにでもなればいい
バレようがなんだろうが俺たちの関係が変わる訳じゃない
ただ家でだけだったのが此処でも出来るようになっただけ
流石にえっちは無理だけど
彼に恋人がいると分かれば女が無闇に近づいてくることもないし一石二鳥だ
唇を離して指先で自分に付けられたのと付けたのに触れる
彼よりも綺麗じゃなく、歪で下手だが、しっかりと残された跡をペロっと舐めると彼に肩を掴まれて離される
離されたのも束の間
彼の顔が近づいてきて口を塞がれた
赤
たまにしか見せないその余裕のない顔
口角は上がっていて目を細めて眉を寄せながら頰を少し赤くしている表情
閉ざされている唇に彼の舌がノックをする
軽めに開けてみれば遠慮なく入ってきて俺の口内を犯されて
完全にスイッチが入った俺と彼
さっきはえっちはしたくないなんて言ったのに完全なる矛盾が生まれた
赤
背中に回されていた手が気付けば服の中に入っていた
その時
モブ
パピーっという機械音と共にマネージャーの声が耳に届く
動いていた彼の手が止まる
ゆっくりと唇を離すと名残惜しそうに銀色の糸が垂れた
赤
そう耳打ちをして彼に捕まる前に体育館へ入った
~ end ~
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