彼女が死んでから、1カ月が経った
それなのに、彼女が頭から消える事はなかった
何度も忘れようとした
前を向いて生きていこうと思った
だが、それでも消えなかった
今日は夢を見ていた
晴天の青空が広がり、
爽やかな風が吹く心地いい夢だった
僕はそんな場所で寝っ転がっていた
でもそれは、『自分であって自分じゃなかった』
そこにいたのは、確かに僕だ・・・
でも違う、僕はここにいる
あれはきっと夢の中の僕なんだろう
そう考えた時、視界が暗転した・・・
僕は瞬時に、夢が終わるんだと確信した
でも、夢から覚めたくなかった
ずっと、あの場所に居たかった
それは何故か・・・
僕の彼女が居たからだ
二度と見ることはないと思っていた
あの笑顔を見ることは出来ないと思っていた
でも、久し振りに見れた
それだけで、嬉しくて泣きそうになっていた
でも、その笑顔を向けられているのは
僕ではなかった・・・
その笑顔の先には、いつも夢の中の僕がいた
それはいつまで経っても
変わる事はなかった
和希
和希
和希
和希
和希
和希
沙希
沙希
和希
沙希
和希
和希
和希は、彼女である由紀が死んでから学校に来なくなった
それは、1カ月経った今でも変わらない
沙希
沙希
和希
沙希
沙希
沙希
沙希はその言葉を言い残して
部屋を出て行った・・・
和希
その一言が僕の胸に突き刺さった・・・
和希
和希
和希
和希
和希
今日も僕は、夢を見ていた
そこは、広大な海が広がる砂浜だった・・・
時刻は、夕方だろうか・・・
沈みかけた太陽の光が、海を赤く照らす
美しい情景だった・・・
そして、その美しい情景を背景にし、 立っている人がいた
・・・僕の彼女だった
彼女は笑顔で僕に手を降っている
もちろん、僕にじゃない・・・
・・・由紀の近くにいる僕に、だ・・・
僕は、思い出を見せられている
今までの由紀との思い出を・・・
和希
その光景を見ながら、言葉を漏らす
和希
もう、後悔しても遅い
悔やんでも仕方ない・・・
でも・・・後悔せずにはいられなかった
だって、だって・・・由紀はもう・・・
瞬間、視界が暗転した・・・
あぁ、いつものように夢から覚めるのか・・・
そう思ったが、そうではなかった
和希
和希
一筋の光がそこにはあった
だがその光は、一筋では終わらず
無数の光となっていった・・・
そして、その光はある形を作っていった
それは・・・
僕の彼女である由紀だった・・・
和希
開いた口が塞がらなかった
最愛の人を目の前にして、僕は呆然としてしまっていた・・・
夢の中では、何度も見たことがある
だが、その瞳が僕に向く事はなかった・・・
でも・・・今は違う
彼女の瞳は、僕の方に向けられていた・・・
由紀
和希
由紀
和希
由紀
由紀
由紀
由紀
和希
和希
和希
和希
和希
和希
和希
和希
和希
僕は、駄目な男だ・・・
恋人でありながら、由紀の悩みに気づけなかった・・・
由紀を助けられなかった・・・
和希
由紀
そう一言言って、彼女は・・・
由紀
由紀
由紀
由紀
由紀
由紀
由紀
由紀
和希
これは夢か、幻か・・・
だが、夢なら覚めないでほしい
まだ、由紀と一緒に居たい・・・居たい、けど・・・
和希
和希
和希
和希
和希
和希
和希
和希
和希
和希
和希
由紀
由紀
由紀は、涙ぐみながらも笑顔で、こう言った
由紀
由紀
そう言い残して由紀は、消えていった・・・
和希
和希
そして僕は膝をつき、泣いた
肩を震わせ、嗚咽を漏らし、だらしなく・・・
これが彼女に対して流す最後の涙だ・・・
僕は彼女を思い続ける、
最愛の恋人を、思い続ける・・・
さようなら、僕の大好きな人・・・
そして、幸せに・・・
そこで視界は反転した・・・
沙希
その怒鳴り声で、僕は叩き起こされた
沙希
和希
沙希
そこで僕は気付いた・・・
頰を伝う何かを・・・
それは・・・
和希
和希
沙希
沙希
沙希
そこで和希は、夢での出来事を思い出した
和希
和希
沙希
和希
沙希
沙希
和希
沙希
和希
沙希
沙希
和希
和希
そう、克服は出来ていない・・・
ただ、彼女の悲劇を背負って前へ進んでいくと誓っただけだ
これは、由紀の死を克服した訳じゃないが、
でも、一歩をようやく踏み出した
だから、頑張ろう・・・
そして、僕は手を胸に当てる
由紀は、僕の中で生きている
僕の記憶として生きている・・・
・・・そして由紀は、僕の生きる意味で
・・・僕の、光だ・・・
コメント
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世界観、主人公の見ている世界、夢、素晴らしいです…! ここぞと言う時の言葉が好きです。 参加、ありがとうございます!