怖いもの

くそ、肺が痛い あれからどうなった？ 窓に頭をぶつけて気を失ったけど、他のみんなは？

スマホのライトで彼を捜し、ゆっくりと近付いた。 倒れてるアキヒコからは血が溢れていた

ガラガラと扉が開かれ、二人の男が俺達を連れ出した。

俺とアキヒコをゴミのように地面に叩きつける男達は、そのまま立ち去った。 手足を縛られており、自由に動く事が出来ない中で、視界にみんなが映った

ジュウウ

熱い！　手が燃やされてるのか！？

松明をアキヒコの目玉に突き刺す男は、笑っていた

広がった森へと全員連れて来させられると、真ん中に設置された大きな浴槽。 その上には逆さまに吊るされた謎の布が人の形をしていた

こめかみ部分を蹴られ、そのまま足を乗せられたまま吊るされた紐が切られ、二つの布は浴槽に突っ込んだ

バシャッバシャッ

まだ　姉ちゃんとノノカさんは生きていた でも、全身布で覆われてる為、自ら地上に出る事は出来ない

バシャッバシャッ！

涙が・・・溢れてくる その涙でよくは見えないけど、一人の足が動かなくなり、そのまま浴槽に足が引っ掛かった。

バシャッ！バシャンッ

もう一人はまだ暴れている。 それはまるで「死ぬ訳にはいかない」と云っているかのような

バシャン、バシャン、浴槽から溢れる水飛沫。 俺は「姉ちゃん！」と叫び続けた。

違う、あれが限界を越えた力なんだ その力で、姉ちゃんは俺に伝えてるんだ 俺は涙をこらえ、何も出来ない事で歯を食い縛っていた。

やがてその足は弱くなっていき、ゆっくりと浴槽に沈んでいった

二人の男が浴槽に近付き、布を出してゆっくりと剥がしていく。 最初に力尽きたのはノノカさんだった。 青白くなって、ノノカさんは息をしていないと発覚

最後は姉ちゃんだ。 俺に見せびらかすように、姉ちゃんがハッキリと目に入った。 口から血を流しており、目を閉じていた でも、姉ちゃんの手には何かが握られていた。

昔の・・・家族写真だ ネックレスにして、ずっと持ってた姉ちゃんは、死んでもソレを大事に持っていた

浴槽を退け、焚き火を作った後、ユミリさんとユウキを連行。 姉ちゃんとノノカさんみたく、布で体を巻き付け、逆さまに吊し上げた。 二人は死を怖がり、必死に抵抗している

燃え上がる炎の中、トラブルが起きたのかして、ユウキを吊るしていた紐が勝手に落ち、そのまま火の中へと落ちた。

火の中で熱さに抵抗するユウキは、ゴロゴロと転がる。 その先には驚く物が置かれてあった

そう叫ぶもユウキは火を消す事に必死だった。 そしてそのまま転がった末・・・

ｸﾞｼｬ

尖った枝にユウキは突き刺さった。 激しく震え、ぴくついた後、動かなくなった。 火を消し、軍手をしてユウキが死んだかを確認する男。

俺の隣でグッタリしてるのはアキヒコだ。 目を閉じていて、吐息も聞こえない

男は無言でアキヒコを担ぎ、布にくるまず、逆さまに吊るした そして無言のまま二人の紐を切った まっ逆さまに火の海へと落ちる二人。 ユミリさんはユウキの時と同じで、火に抵抗していた。

アキヒコは無反応だ まさかもう───

いやだ

いやだ

結局俺の殺され方は。 骨を折られ、火で炙られ、水で冷やされ、そのまま森に生き埋めにされた。 俺の隣には、泣いて亡くなったコズエの姿があった。