薄暗い部屋で、僕は細く笑んだ。
久史
そう言いながら
僕は部屋の隅に座っている〝ソレ〟を抱き寄せた。
久史
久史
優しく〝ソレ〟を撫でる。
〝ソレ〟は長い睫毛を揺らしながら、僕を見つめてきた。
久史
〝動かないソレ〟の唇に、自分の唇を近付ける。
静まり返った部屋に、チュッと甘い音だけが響いた。
久史
僕の告白に応えてくれない、柔らかな〝ソレ〟を愛おしそうに抱き締める。
久史
カチッと部屋の電気を点ける。 僕の腕の中には、好きな子を模して作った人形の姿。 その人形は僕を見つめていた。
久史
次はもっと上手くいく様に練習しよう
本当は、この人形の様にしてしまいたいけど、我慢してるんだ。
久史
久史
〝人形〟に微笑むと、僕はもう1度、〝ソレ〟にキスをした。
そして、部屋中に飾られた好きな子の写真を眺め恍惚に浸る。
あぁ
あぁ
愛おしい僕のッ僕の!!!
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コメント
3件
いやぁ、あの、あのね 動かないソレの時点でソレがなんなのかは分かってたんですけど あまりにも狂気的というか 照明を落とした室内で ベッドサイドライトだけをつけて人形に愛を囁きつつ その向こう側に手を触れたことすらない彼女を透かし見て 恍惚のため息をつきながら語ってる様子が あまりにもありありと浮かんでですね……!!! これは、これは凄い!!!