ねぇ、にぃに。

2人には聞こえない？聞いていない？

返事が返ってこなかった。

周りからクスクスと声が聞こえる。

同じ学校の通学路が一緒な子達だ。

あ、今の全部声に出ていたのか。

その子たちが言ってることがわかる。

聞こえない距離のはずなのに。

「気持ち悪w」「あいつやっぱり独り言やばいなw」

こうやって嫌われていく。

はぁ、無視無視。

僕はイヤホンをしっかりつけて、周りの音を遮断する。

周りから笑う声が聞こえる。

綺麗なお花が僕の机には1輪。

あ、今日はそういう系か。

まだ全然いいな。

暴力より。

僕はそのお花を机の下に置いておいた。

「うわwwwww花瓶が浮いたwwwwww」

楽しくないな。人生。

「はいみんな席ついて。」

先生がうるさい人たちを黙らせる。

「あれ、 なんでｏｍｏｒｉの席に花なんて置いてあるんだ？」

「先生？ｏｍｏｒｉは死んだんですよ？wwwwww」

「はぁ...お前ら.....」

「やりすぎるなよ。」

先生の止める気のない返信は聞き飽きた。

「はい、テスト返すぞ。」

僕は返ってきたテストを眺める。

国語 100点 英語 98点 数学 89点 社会 99点 理科 85点

昔からｍｏｔｏ兄のお陰で文系の点数はよい。 だって歌詞書いてたし、ｍｏｔｏ兄。

昔はよく教えてもらっていたな。

そのテストをぐしゃぐしゃにしてゴミ箱に詰め込む。

時計を見ると午後5時。

僕はにぃちゃんに隠していることがある。

そう、「パパ活」？をしている。

男が？って思うよね。

ここでは女の子を演じているの。

僕、昔から骨格が幼くて。

女の子って言ったら みんな信じてくれるぐらいの顔をしている。

髪の毛も伸ばしているし。

そしてもう1つ、

未成年はこんなことしたらダメだよね。

そう。僕は20歳と嘘をついている。

男としてはまだ中学生に見えるかもしれないが、

身長は155cmあるし、 女の人で成人しているというとギリ信じてくれる。

それにこういう事を頼む人は その子が可愛ければなんでもいいんだ。

お化粧をして、自分を可愛く見せている。

お金のありがたみは私が1番知っている。

1000円を稼ぐのはどれだけ大変か。

もっと可愛い子がいるのに、僕を選んでくれたんだから。

それ相応の対価がないとね。

家に帰ってから、お客さんから貰った茶封筒を開けてみる。

今日のレンタル料5000円にタクシー代10000円。 ごめんなさいお兄さん、歩いて帰りました。

そしてお食事代2500円...

ひゃ〜...

疲労と代金が割に合わない....

学校なんてお金取るくせにめちゃくちゃ疲れる....

..世の中怖い。

もちろんこのお金は借金返済に回します。

にぃちゃん達にバレないように別でね。

時計を見ると10時半。

やべ、にぃちゃん達のご飯作らなきゃ。

家のことは全部僕がやる。

久々にありがとうって言ってくれた。

こんな事で涙出てきちゃうとか、やばいな...僕。

..少しだけ休憩しよ。

少し本を読んでいたらもう1時。

宿題をしなければ。

大事なお金は返済日まではこの缶の中に入れておく。

明日もパパ活。明後日も、その先も。

全てはにぃちゃんのために。

時計を見ると午前3時。

いつもこの生活。

眠たい。

早く寝よ。