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山奥の廃れた神社
屋根は半分崩れ、苔に覆われた石段には枯葉が積もっている
その中央で響は息を荒らげて立っていた
右手には雷を集めた剣…のつもりだったが刃は不安定に揺れ
バチバチと火花を散らしては消える
セラフィス
セラフィスが翼をたたみ、冷たい声で指導する
響
響は再び雷を手に収束させる
指先に熱と圧力が集まり、髪が静電気で逆立つ
ーー次の瞬間、雷光が爆発し地面を抉った
土煙があがり、鴉が驚いて飛び立つ
響
セラフィス
その夜____
月明かりの下、廃神社の周囲は虫の声もなく
異様な静けさに包まれていた
響は眠れず、石段に腰を下ろして夜風を浴びていたーー
が、ふと背筋を撫でる冷たい気配に気づく
響
森の奥、黒い霧がじわじわと広がってくる
やがて霧の中から背の低い人型の影が現れた
獣のような脚、長い腕、牙をむいた口
その瞳は灯もない闇そのものだった
響
響
答えの代わりに影は獣じみた速度で襲いかかってきた
爪が空気を裂く
響は咄嗟に後ろに飛び雷を集めた拳を突き出す
火花が散り、獣の体は一瞬ひるむが すぐに立て直して襲いかかる
響
訓練で習った印を必死に思い出しながら 響は雷を剣の形に収束させる
しかし刃はまたしても不安定
妖怪の爪がかすり、響の方に浅い切り傷を刻む
鉄の匂いーー血の香りが鼻に広がった
響
響は自分の鼓動を聞きながら全身の力を右手に集中させた
青白い稲光が腕を包み、轟音と共に解き放たれる
ーー雷閃
眩い閃光が妖怪を貫き,黒い霧が霧散していった
残ったのは地面に焼き焦げた跡とゆらりと舞いあがる黒い蝶
蝶は夜空へ舞い、遠く、見えぬ場所へと飛んでいく
その先ーー黒い玉座に座る一人の男がそれを手に受けとった
漆黒の翼、冷たい微笑、堕天使ルシフェル
ルシフェル
彼の声は誰にも届かない闇に消えていった____
セラフィス
セラフィスは眉をひそめた
セラフィス
響は肩の痛みを押さえながら静かに頷く
響
東の空が白みはじめる頃響は稽古の構えを再びとった
夜は明けたが,嵐はまだこれからだった
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