テラーノベル
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外はもう夜になっていて真っ暗だった
数少ない街灯に照らされてぼんやりと見える夜道を香川と走った
後ろからは家に入って来た誰かが走る足音だけが聞こえていた
どうして俺はいつも、逃げるだけなんだろう
戦うことだって出来るはずだったんだ
なのに、俺はそれが出来ない
俺は怖がりなんだ、戦うことを拒否してるんだ
逃げればいいと思っているんだ
でも、それでこの戦争が終わるはずがない
逃げたら俺と香川は助かるが、他の都道府県が狙われる
俺は隣を走る香川を横目で見たあと、体全体を後ろへ向けた
香川
香川が驚きながら俺の名前を叫ぶ
ごめん香川、俺は変わらないといけないんだ
恐怖も、逃げたい気持ちも、今は忘れないといけないんだ
三重
香川
香川は俺が思った通りの驚いた表情になる
そんな香川に、俺は優しく声をかける
三重
香川
香川がこんな場面に遭遇するのは2度目のはずだ
香川は愛知にも逃がしてもらったと言っていた
愛知は自分を捨ててでも香川を逃がしたはずだ
三重
三重
香川
香川は俺が何を言ってもダメなことは分かりきっていたのか、すんなり聞いてくれた
それに香川は、俺のことを強くて頼りになると言ってくれた
俺だから安心なのかもしれない
俺は走り去る香川の背中を見送りながら、いつも肌身離さず持っているクナイと手裏剣を取り出した
??
三重
ノリが軽そうな声色、特に変わった方言がないその声は、すぐに誰のものか分かった
後ろから街灯に照らされたそいつは、間違いなく埼玉だった
埼玉
三重
三重
埼玉
相手は何かパイプのようなものを持っていた
武器として使ってくると考えられる
埼玉の運動神経はと言うと、ざっくりだと俺と互角だ
そんなことを考えいるうちに、埼玉が迫って来た
俺はそれを見て身構えた
強さが互角と言うことは、普通にやり合ってても勝てない可能性がある
つまり、埼玉との戦いは体力勝負だ
いくら俺が体力に自信があるとは言え、相手も負けてはいないはずだ
油断していては負ける
埼玉
埼玉
そう言って持っていた鉄パイプを振り下ろしてくる
俺はそれを素早く避け、壁を蹴って上から手裏剣を投げた
案の定当たることはなく、埼玉は身を捻って避けた
三重
埼玉
埼玉はそう言って静かに笑う
聞き慣れたはずのその笑い声は、何故か耳慣れなかった
そして俺は、またクナイを構え、戦闘体制に入った
コメント
5件
二人とも運動神経良くてかっこいいっすわ…✨ 二人とも死なんでくれぇ…
うわぁぁぁぁっぁぁぁぁああ!!! ………どっちもがんばってくれ()