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25 - 24.本当ノ悪?⑴

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2025年06月18日

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第4章 『本当ノ悪?』

⚁ Prince of evil side ~イレギュラー王宮「地下牢」にて~

目覚めた時、僕は1人…いや、嘘。兄2人もいた。 ここはどこだろう?…そう、ここは牢獄。 黒く塗りつぶされたような、真っ暗な牢獄。

僕は自分たちの置かれた状況を思い返していた。 『王子たち』は捕らえられ、 今は王宮地下の牢屋に入れられている。

この牢は、とても暗い。 何も見えない。 何も聞こえない。 闇は…嫌い。このまま、僕の体も精神も、 全てが呑み込まれてしまいそうな錯覚に陥るから。

服は捕えられた時の、王子の服のまま。 このまま『悪ノ王子』として、 裁きの日を待つことになるだろう。 覚悟は、できている……だけど

僕は、この暗闇の中で震えていた。

♠ MEIKO side ~イレギュラー王宮『音の間』にて~

私は今、イレギュラー王宮の音の間にいる。

先日の戦いの際に一度見た景観ではあるが、 こうして落ち着いて見渡してみると、 やはりその豪華さには圧倒されてしまう。

父は親衛隊長だったが、 兵士の家族が特別な事情もなく王宮へ 立ち入ることは禁じられていたので、 私はこれまで王宮の中を見たことはなかった。 革命がなければ、 きっと生涯この景色を見ることはなかっただろう。

時の流れは早いもので…私たち革命軍が 王宮を占拠してから五日がたっていた。 国内の混乱も少しずつではあるが、 落ち着きを見せている。

今日この場にいるのは、 革命の後処理と今後の対策を決めるべく、 主要メンバーによる会議が行われるからだ。

出席者は私、ヨーク、ミナージュ他、 何人かの革命軍代表。 セッカとテトは怪我がまだ癒えていないため、 今回は欠席ということになった。

ボルフェルトに帰国していたキール=フリージスもやって来ていた。今回の革命は彼の助力がなくては成功しなかっただろう。お伴の者と共に近づいてきた彼に、私は会釈した。

使い回しキャラ

やあ、メイコさん。今回は本当におめでとう。

Meiko.

ありがとうございます。キール殿のおかげで、勝利を得ることができました。物資の援助だけでなく、中層階級の市民たちの説得にも動いていただいたみたいで…

使い回しキャラ

いや、この勝利は君たちの決断あってのものだ。僕は、ちょっと手助けしただけさ。それに、乗りかかった船だからね。せっかくだからとことんやってやろうって思ってさ。だいぶお金を使ってしまったけれど…まあ、それは今後、取り戻していくとするよ。

にこりと笑ってから、キールは円卓の、 ちょうど私の向かいに当たる席に座した。

しばらくすると、ボルフェルト国王の姿も見えた。 賽ノ国からの理不尽な侵攻が終わってほっと 一息…と言ったところだろうか。

しかし、この度の戦におけるボルフェルト国の損害は相当なものだという。立て直すのにこれから何年、いや何十年もの歳月を要することだろう。

大体の顔ぶれが集まったところで私は… 今回の会議を進めることになった… 1人の少女に声をかける。

Meiko.

それでは始めましょうか…

上座に座っているのは、 私たちと共に戦った仮面の少女、 クローバー=ヘイトリッド。 そして…

Meiko.

_クリンプト王女

今、素顔で私たちの前にいる彼女は、 _クリンプト国 第3王女、 ミク=クリンプト=ディヴァであった。

彼女が正体を明かした時、 私は薄々ではあるがわかっていたので別段、 驚きはしなかった。だが他の仲間たちにとっては青天の霹靂だったようで、 皆、泡を食った顔をしていた。

これまで乱暴な口をきいていたヨークは突然、 下手な敬語で応対するようになり、 セッカはベッドで治療中にも関わらず、 化粧を始めるような始末だった。

Miku.

…皆さん、今日はよく集まっていただきました。まずは革命軍の皆様方、今回の戦いの勝利、心からお祝い申し上げます。

前口上を述べるミク。自分だって 革命軍の中心メンバーだったくせに、よく言う。

Meiko.

もう仮面は被らなくていのかしら?クローバーちゃん?

私が少しからかうような口調で言うと、 彼女は少し気まずそうな顔をした

Miku.

正体を隠す必要がなくなりましたから。正直、王位継承権を失う覚悟もしていたのですが…お母様から正式に許しが出ました。条件付き、ですが。

Meiko.

条件?

Miku.

…いえ、それは後で話します。まず、イレギュラーの残存兵力ですが…

現状報告から、会議は始まった。 イレギュラーの主な大臣、 役人たちは全て逃げ出したり、 捕えられたり、あるいは殺されたりした。

使い回しキャラ

残っていたオースディン将軍率いるイレギュラー軍も、王宮陥落と共に降伏した。今は捕虜として、ボルフェルトの監獄に収容しておる。

と、ボルフェルト国王が報告する。

使い回しキャラ

彼らも本心では、あまり戦いを望んでいなかったはずです。穏便な処置をお願いいたします。

使い回しキャラ

わかっておるよ、ミナージュ殿。私だって、これ以上の怨恨の連鎖は望んではいない。

ボルフェルト王はそう答えたが、 内心は複雑だろう。賽ノ国の兵によって 多くの民衆(特に若い女性)が虐殺されたのだ。 本来ならば捕虜全員を処刑したい気持ちだろうし、そうしなければ国民が納得しない可能性もある。

だが彼は元々、徹底した平和主義を通していた。 結局、彼はその信念を押し通すことにしたようだ

傭兵団はガスト=ヴェノムの死によって解散した。未だ街で暴れているゴロツキもいるようだが、 彼らもクリンプト兵によって鎮圧されるだろう。 このあたりからの抵抗はもはやないと考えていい。

Miku.

後の問題はやはり…。

Meiko.

ええ…三英雄ね

賽ノ国のカリスマであり最高戦力でもある三英雄、グミとマリアム。その存在の大きさ、 そして強さを、戦いの最中、私は直接体感した。 彼女たちが逃亡兵を集めて挙兵すれば、 厄介なことになるかもしれない。

使い回しキャラ

グミの方だけど…こっちは大丈夫だと思うよ

意外なことに、そう発言したのはキールだった

グミは現在、キールの所に匿われているらしい。 どうしてそういうことになったのかを キールは語らなかったが、彼女の態度を見る限り、反抗の可能性はないだろう、 というのがキールの意見だった。 まぁ、グミは元々賽ノ国を追放されている身だ。 今更関わってくるとは思えない。

Miku.

それから、マリアムの方なのですが…

Meiko.

まだ、行方不明なのよね?

テトが、マリアムには逃げられた、と言っていた。

Miku.

いえ…昨日、庭園の片隅で死体となって発見されました。

Meiko.

…!!

Miku.

今、臨時で王宮の警備はクリンプト国が行っているとお伝えしましたよね?

Meiko.

ええ…

Miku.

その兵の一人が、巡回中に見つけたんです。彼女の亡骸を…

Meiko.

まさか、テトとの戦いの傷が元で…

Miku.

いいえ…彼女の遺体の背中には、多分ナイフか何かで刺されたらしき、刺し傷があったそうです。テトさんはナイフはお使いになりませんでしたよね?

Meiko.

そのはずよ

Miku.

おそらくですが、戦場から逃げ出したところを革命軍の誰かに見つかり、殺されたのだと思います。あの三英雄、マリアムの最期にしてはあっけないですが、ね。

Meiko.

マリアムにとどめを刺した…その大金星をあげた人間は名乗り出たの?

Miku.

いいえ…私の方にも何も…

ならば、革命は私たちの勝利、というわけか… 諸手をあげて喜びたいところだったが、 そうもいかない。まだこの国を今後 どうすればいいのか、何も決まっていないのだ。

Miku.

次に、イレギュラー王国の今後についてですが…

ミクが話を切り出し… 先程の『条件』の内容が明らかになった

Miku.

_賽ノ国『イレギュラー王国』は今後、歌ノ国『クリンプト国』の統治下に入ってもらいます

使い回しキャラ

…! おいふざけんな! そりゃいったいどういうことだ!俺たちは歌ノ国の為に戦ったわけじゃねぇぞ!!

ミクの提案に、 ヨークが声を荒げて立ち上がった。 ミクが宥める声をかけても、 彼には届いていないようだ。 だが、彼の怒りも当然だ。 ミクの…彼女の提案はあまりにも突然すぎる …だが

Meiko.

ヨーク、まずは話を聞きましょう。反対するのはそれからでも遅くないわ。

彼女には生まれながらの 『統治者』としての考えが、そう思うしかない。

…もしも彼女が「最初からイレギュラーを乗っ取るつもりで味方したの♪」なんて言い出したら、 すぐにひっぱたいてやるつもりだが。

使い回しキャラ

フン…じゃあ聞いてやろうじゃねえか、クリンプトの王女様の有難いお考えをよ!

Miku.

_仮に、この国の舵取りを革命軍が行うのであれば、私は訊きたいのです。貴方たちの中に、政治の経験者はいますか? …いないでしょ…?農民をはじめとする階級で構成された貴方たちだけで、本当に国の立て直しができるのでしょうか。

諭すような、静かな声で問う声。 考えるまでもない、答えは否だ。 それでもヨークは食い下がる。

使い回しキャラ

メイコやミナージュは、結構、頭いいぜ。

Miku.

頭がいいだけでは政治は出来ないんです。専門の勉強をした人間、経験を積んだ者がいないといけません。そうはいっても、今捕えられている大臣たちが新政府に加わるのは貴方たちも嫌でしょう?

Miku.

ボルフェルトも自国の立て直しで手いっぱいだと思います。…そう警戒しないでください。何もイレギュラーを乗っ取ろうなんて考えてはいません。統治下といっても、安定するまで、我が国が補佐するというだけです。もちろん、新政府には貴方たち革命軍も参加していただきます。

何も言い返せなくなったのか、 ヨークが腕を組んで黙り込んだ。 これを了承の合図ととったミクは、 ぐるりと部屋中を見渡し、 他に異論がないか訊ねた。

結局、ミクの案に従うこととなった。 代わりに、ヨークとミナージュが新政権の要職に就くことになった。私も誘われたが、辞退した。

ヨークは不満そうだったが、 私はイレギュラーが変わるならばそれでいい。 自分自身の出世のために戦ったわけじゃない

Miku.

これは私個人の意見になりますが…いずれ賽ノ国が本当の意味で自由を手に入れることができるよう、これからも努力していきたいと思っています。

ミクが残念そうな顔で私を見る。 今この会議に参加する者は、 名目上同等の立場ということになっている。 無理を言って周りの反感を買っても 仕方ないとわかっているのだろう。 それでも、と思ってくれるのは正直嬉しいが、 私は考えを改める気はない。

私は彼女の顔を見て、ふっと笑ってみせる

Miku.

…?なにかおかしな所でもありましたか?

Meiko.

いえ、あなたが敬語を使うのが上手だから…仮面を着けている時はもっとわがままな子だと思ってたのにね

Miku.

…か、からかうのは…よして下さい

にっこりと笑うと、 彼女は頬を赤らめ目をそらした。 未来のクリンプト女王は、 中々からかいがいがある。

私はふと、行方がわからなくなっている 義弟のことを思い出した。 1番下以外の2人は愛想はなかったけれど、 彼らもいじりがいのある、 可愛い弟だった。

Miku.

ええっと、これで最後です。捕らえた王子3人についてですが…メイコさん、貴女は彼らに会いましたか?

Meiko.

いいえ、まだよ。目の包帯が取れたの、昨日だもの。

医者の話だと、私の目は特に後遺症もなく、 幸いにも治るそうだ。 今でももうほとんど視界に影響はない。

Miku.

そうですか…これから会うつもりで?

Meiko.

もちろんよ。彼らに言ってやりたいことが山ほどあるもの。

それを聞いたミクの表情が、 なぜか曇っているような気がした。

Miku.

忘れないでください。貴女はこの革命を起こした人の代表であることを。そして、自分が何をしなければいけないかを。

Meiko.

…?何よ今更

Miku.

それならいいです…では、王子たちの処遇についてですが…

Meiko.

それは、話す必要ないんじゃない?

この革命の意義を考えれば王子達をどうするかなんて分かりきったことだ

Miku.

…では、

Miku.

王子の処刑は二日後、三日後、四日後に1人ずつ、の午後三時、ミラネ広場で行います。―――公開処刑よ

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コメント

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うんだめもうだめ(((泣く、絶対次回泣く()マリアムさんがなんで亡くなってたのか未だに分かってないのよな、、考察とか苦手だからわからん((でもこれどんな感じであの3人は変わったんだ、、??見た目似てるとは言いがたいが、、変装したんかな、?MAZIMEに死にそう、、これ最終回ほんとに怖いんだが、、?『もしも生まれ変われるならば その時はまた 遊んでね』とか最後にでてきたら私涙腺崩壊しますぞ???((

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