数十年後一一春の桜並木 あいとひかるは老夫婦となり、いつものように思い出の桜並木を歩いていた。年齢を重ねても、二人の間には初めて出会った頃と変わらない優しい空気が流れている。 ひかるは少しゆっくりした足取りで歩きながら、ふと立ち止まりあいを見つめる
ひかる
あい、覚えてる?ここで君に初めてキスした日のこと。
あい
もちろん覚えてるよ。あの時のひかるくん、すごく緊張してたよね。
二人は顔を見合わせて笑い合う。 桜が風に舞い散る中、ひかるがそっとあいの手を握る
ひかる
あの時の僕は、君とこんな未来を迎えられるなんて夢にも思わなかった。君と歩んできたすべての日々が、僕にとって宝物だよ。
あい
私も同じ。ひかるくんと一緒にいられたから、どんな日も幸せだった。
ひかる
これを君に渡したくてね。
中には桜の花びらを模したペンダントが入っていた。それは若い頃、ひかるがあいに贈ったペンダントとそっくりのデザインだったが、今回は二人の名前が彫られていた
あい
ひかるくん、こんな素敵なものを...ありがとう。
ひかる
君と一緒に生きてきた証を、何か形に残したかったんだ。桜が咲くたびに、これを見て思い出してほしい。どんな季節も、どんな時も、君を愛していたことを。
あいは涙を浮かべながらも、柔らかく微笑んだ
あい
こんなに素敵な贈り物をもらったら、私のほうが先に空に行くわけにはいかないね。
ひかる
それは困るな。だって君を置いていくつもりはないか
二人は微笑みながら手を繋ぎ、再び桜並木を歩き出す。花びらが風に舞い散る中、二人の影は長く重なっていた
〜さらに未来〜春の公園 その後も、二人は変わらぬ愛を持ちながら時を過ごし、静かに人生の幕を下ろした。しかし、公園の桜並木には、毎年あいとひかるの思い出を感じる若いカップルが訪れる。 ある春の日、ひとりの若い女性が桜並木で彼氏と手を繋ぎながら話していた
👧🏻
ねえ、この桜並木、すごくロマンチックだよね。昔、ここで素敵な夫婦が出会ったって話を聞いたんだ。
👦🏻
そんな話があるの?何か運命を感じるな。
二人が立ち止まったベンチには、「桜の下で君と」と刻まれたプレートがあり、そこにはあいとひかるの名前が並んでいた。 桜の花びらが風に乗って舞う中、遠くから聞こえるような声がする。
ひかる
(あい、君と一緒に過ごした時間は永遠だよ。)
あい
(私も。ずっとひかるくんの隣で咲いているよ。)
その桜の木の下で、二人の愛はこれからも未来へと語り継がれていく