グクのお母さん
唇を尖らせたまま首を縦に降った僕に、 お母さんがそうしれっと言い放つ。
さっき言ったこと絶対に聞こえてたはずなのに、 そうやってお母さんはいつも上手くかわす。
グクのお母さん
グクのお母さん
JUNGKOOK
グクのお母さん
JUNGKOOK
僕はどこまでもうるさいお母さんに、 少しうんざり。
今の僕は風をこじらせて肺炎になっちゃったんだから、 もうちょっと優しくしてくれたって…。
JUNGKOOK
いろいろ悔しいけど、 お母さんの言う通りだ。
いつだって正論を言ってくるのはお母さんで、 納得できないのがこの僕。
JUNGKOOK
寝よ…。
体もさっきよりつらそうだし。
なんてそう思ってから目をつむって、 何時間が経過しただろうか。
また、 気がつかぬ間に寝てたらしい。
次に目が覚めると、 部屋の中は薄暗くて一瞬戸惑う僕。
置き時計を見てみると、 もう(夜)9時を回っていた。
寝なきゃいけない時間なんだろうけど、 すっかり目が覚めちゃった。
関節が痛いのは、 ずっと寝てたせいだよね…。
そんな時ふと小さなテーブルに目をやると、 そこにはメモとテレホンカードと千円札が3枚置かれていた。
『よく寝てるみたいだから帰るね、 またお見舞い来るから。 もし欲しいものがあったら、そのお金使って』
そっか……
僕が寝てる間に、 2人は帰ったんだ。
1人きりのこの部屋での空間は、 なんだか寂しい。
あ、今度日記帳持ってきてもらわなきゃ…
その日記帳には、 毎日書いてるからもう日課になっちゃってる。
だからなのか、 書かないと落ち着かない。
よし、 テレホンカードもあることだし、 明日家に電話してお母さんにお願いしよう。
そんなことを思いながら、 起き上がってゆっくり伸びをする。
喉が渇いた僕は、 備え付けのテーブルの上に置いてあった、 ペットボトルに手を伸ばした。
だけど中身は空っぽ。
……買いに行こう
そうとっさに思った僕は、 テーブルにおいてあった千円札を片手に持って、 ソローっと病室を出た。
JUNGKOOK
さすが夜の病院だ。
真っ暗ではないが、 薄暗くてい様な雰囲気がただよっていた。
病院というところは、 やっぱり苦手だ。
だって、 幽霊とか出そうで怖いし、 取り憑かれそうなイメージだし…。
と、 怖がりながらもただ広い廊下をまっすぐ進む。
そして廊下のちょうど真ん中あたりまで来たところで、 広々とした面会スペースがあり、 そこに自動販売機が並んでいた。
ここはテーブルとかイスがあってくつろげる場所で、 ここだけ一面ガラスばりで夜景を見下ろせた。
JUNGKOOK
飲み物を買うよりも先に、 そこから見える夜景に次付けになってしまった。
まさか、 病院でこんなに綺麗な夜景が見れるなんて思ってなかったから、 感激する僕。
見晴らしが良くて…
まるで宝石を散りばめたような、 点々とした小さな光が目の前では広がっていた。
__ガタッ。
あまりにも夢中になってみていた僕は、 後ろから聞こえた物音にすごくびっくりした。
ゆ、幽霊じゃないよね…?
オカルトとかそういうの、 結構信じちゃうほうなんだけど…。
JUNGKOOK
目を凝らしてみると、 ぼんやりとした人影が見えた。
薄暗くて顔はあまり見えないけど、 身長からして男の人…かな?
よ、よかった…
幽霊じゃないみたいで、 安心した…
JUNGKOOK
JUNGKOOK
V
V
え…?
JUNGKOOK
正体がわからない人影にビクビクしながらも、 予想外な相手の言葉に変な声を出す。
それからこっちに近づいてきてくるその人から、 目が離せなかった。
この人はいきなり、 何言ってるんだろう…
V
JUNGKOOK
意味がわからない。
そんな僕が目をぱちくりさせていると、 その人は僕の隣に立って、 同じように夜景を見下ろした。
夏だと言うのに長袖を着たその男の人の横顔は、 何だかとても悲しげだった。
とても深い闇を背負ってるような…。
JUNGKOOK
その人はとても華奢な細い体で、 いかにも病弱そうだった。
そんな彼が気になった僕は問いだした。
JUNGKOOK
僕と同じくらいの背で、 ひょろっとしている彼。
爽やかな黒髪と一重でとても綺麗な瞳に、 通った鼻筋。
少し厚そうな唇に、 そこだけでも誰もが惚れそうなその綺麗な輪郭。
薄暗い中でも十分に魅力を感じさせられる整った横顔に、 思わず見とれる。
だけど、 どこか寂しそうで、 悲しそうで…。
何だか訳ありのようにも見えて、 その気配にただならぬものを感じた。
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テテ登場‼︎