君は
目の前に広がる
道に
そっと足を踏み出す
地面はまるで氷のように
硬く
冷たい
行き先はわからないけど
君はただ
踏み出す以外のやり方を知らない
たとえそれが
暗い暗い川底に続いていたとしても
陸
陸
陸
陸
菜緒
菜緒
陸
陸
陸
陸
菜緒
陸
菜緒
菜緒
君は
夢のために旅立って
犠牲にしてきたもののために
立ち止まれずにいる
先の見えない道を行くのは
どれだけ怖くて
寒いことだろう
陸
陸
菜緒
菜緒
陸
菜緒
陸
菜緒
やがて
連絡は絶え
尋ねて行った家は空っぽで
元気か、と聞くと
元気と答える
元気のない声と
意味のない会話
なあ
どうすれば良かった?
諦めろと言えば良かった?
無理やり連れ帰れば?
君が夢のために置いて行った
小さな命は
もうすぐ中学の制服を着る
彼は母親が
自分を置いて行ったことを知らない
可哀想で
馬鹿な妹が
凍てついた道の上で
泣いている
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