桜
あいつってさ、どんなやつ?

楡井
あっ、鹿沼さんですよね

楡井
ちょっと待ってください

桜
違ぇよ、そっちじゃねぇ

楡井
えっ、蘇枋さんですか?

楡井
もちろん、中学の頃から強くて有名でしたよ

桜
強えのは見りゃわかる、もっと他は?

楡井
えっ見てわかるんすか?

桜
いいんだよそんなのは!

楡井
それがですね...

楡井
有名ってだけで...誰に勝ったとか具体的な話があまりないんですよね

桜
はぁ?なんだそりゃ

湊
そうだな...あっ、蘇枋君は師匠がいるらしいよ

楡井
そうなんですか!!

桜
...変なやつだな

柊
確かに名前はよく聞いたことがあるが...

柊
詳しいことは知らんな

柊
中学も違ぇし

梅宮
俺も蘇枋の事はあんま知らなかったけど...

梅宮
会ってわかった

梅宮
あいつは優しい奴だ

鹿沼
お前らのせいで有馬が...

蘇枋
なんだ、仲間のために怒れるんだ

蘇枋
あの時とは随分違うね

鹿沼
ボクは...

鹿沼
有馬とずっと一緒にやってきたんだ

鹿沼
兄弟がやられて怒らないわけないだろ!

蘇枋
アハハッ

蘇枋
自分が被害者になった時だけわめくなんて...

蘇枋
我慢を知らない子供のようだね

桜
(優しい...ね)

蘇枋
辛かったでちゅねぇ、ボクちゃん

桜
(あれが優しい奴のする顔か?)

鹿沼
くっ...うおおおっ!!

蘇枋
癇癪を起こして“可愛い”で済むのはせいぜい小学生までだよ

蘇枋
さぁ、俺と一緒に大人の階段登ろうか

楡井
い...今何が起きたんすか?

鹿沼
(一瞬で後ろを取られた?)

鹿沼
(あの動き...何かかじってるな)

鹿沼
(なら...)

鹿沼
(かわせないほど強く打てばいい!)

鹿沼
がはっ!

湊
どういう動きしてるんだろ...見えない

楡井
ですよね...

蘇枋
フフフッ、派手に転んだね

鹿沼
あっ...

鹿沼
くっ、こんの...

鹿沼が蘇枋のズボンを掴むが、蘇枋が足をクルクル動かしまた地面に投げ出される。
鹿沼
うわぁっ!

蘇枋
君に質問

蘇枋
大人になるために必要なもの、なんだと思う?

鹿沼
...は?

鹿沼
訳わかんないこと言ってんな!

獅子頭連のメンバー
馬鹿野郎!!

楡井
ひっ!

獅子頭連のメンバー
真面目にやれ!!

獅子頭連のメンバー
何遊ばれてんだ!

獅子頭連のメンバー
ふざけんな鹿沼!!

獅子頭連のメンバー
てめぇ舐めてんのか!

湊
凄い言われてるね...

鹿沼
(好き勝手言って...ボクがふざけてるって?)

鹿沼
(押しても引いても掴んでも一瞬でいなされる!)

鹿沼
(だったらお前ら、やってみろよこいつと!)

梅宮
ハハハハッ、ただの優しいやつじゃなかったな!

桜
優しさの欠片もねぇだろ

桜
クソ性格悪ぃじゃねぇか

桜
格下の相手を生かさず殺さず見世物にしてる

桜
永遠に差をたたきつけられ続けんだぜ

鹿沼は何度もまた突っ込む。
そしていなされるの繰り返しだった。
桜
オレが相手なら死にたくなるね

楡井
な...なるほど

桜
俺ならあぁはならねぇけどな

楡井
確かにえぐい...

柊
まぁ、あいつも獅子頭連の連中を見て思うところがあったんだろう

柊
ここまで感情的になるのは意外だったが

梅宮
そこはほら、あれじゃね?

梅宮
近くにいるやつに引っ張られた...みたいな

湊
...桜君

桜
?

湊
次、俺行っていい?

桜
はぁ!?なんでだよ

湊
この戦いが終わって、残るのは頭取と副頭取と柊さんと戦える人ばっかり...

湊
俺はそこまで強いわけじゃないし、今のうちに行っときたいなって

桜
...ふーん

桜
じゃあ譲ってやる

湊
あれ?意外と素直に譲ってくれるんだ

湊
何かあった?

桜
意外とってなんだよ!なんでもねぇし!

湊
そう?

湊
でもまぁ、ありがとう

湊
...勝ってくる

桜
...

湊の今まで以上に覚悟が決まっている目に、桜は驚いた。
桜
俺もそのつもりだ

湊
頑張ろう

桜
あぁ

桜
...なぁ

楡井
あっ、はい

桜
どうやったら本気のあいつと手合わせできるかね

楡井
えっ?なんで?

鹿沼
ハァ、ハァ...

鹿沼
この!!

獅子頭連のメンバー
それで真面目にやってのか!

獅子頭連のメンバー
(このままじゃ...)

蘇枋
そろそろ答え分かってきたんじゃない?

蘇枋
今君が考えて...

鹿沼
い...ない...

鹿沼
あり...ありえない

鹿沼
ありえない...

鹿沼
ありえない!ありえない!!

鹿沼
そんなの...ありえない!!!

鹿沼
あっ...

蘇枋
今君が考えていること...

蘇枋
当ててあげようか

蘇枋
君があざ笑った人間に君自身があるイメージ

蘇枋
それが質問の答え

蘇枋
大人になるために必要なもの

蘇枋
想像力だよ

鹿沼
ああっ...

蘇枋
さぁ、1度出来たらこっちのものだ

蘇枋
忘れないうちに次に行こう!

蘇枋
その想像力を強固なものにするために必要なものってなんだと思う?

蘇枋
それはね...

蘇枋
想像が現実になること

鹿沼
あ...あ...

鹿沼
ま...待って...!

十亀
やめやめぇ

十亀
もういいわぁ

十亀
眼帯君も悪いけど、下りてくれる?

兎耳山
...あれ、終わったの?

鹿沼
あ...いや...なんで...

十亀
これ以上恥かかせないでよ

十亀
いや...恥にはならないのかぁ

十亀
もう仲間じゃないし

鹿沼
あっ...

鹿沼
...

蘇枋
大人になるということは人の思いに寄り添えるということだ

蘇枋
それには想像力と経験がいる...

蘇枋
よかったね

蘇枋
階段、1段くらいは登れたんじゃない?

獅子頭連のメンバー
嘘だろ...

獅子頭連のメンバー
鹿沼ボロクソじゃねぇか

獅子頭連のメンバー
完全に遊ばれてたな

獅子頭連のメンバー
あいつ誰だか知ってるか?

獅子頭連のメンバー
いや...ってことはあいつも1年

獅子頭連のメンバー
ボウフウリンやっぱやべぇな

梅宮
いや〜蘇枋、お前強いのな!

蘇枋
いえいえ、そんな

楡井
蘇枋さん、あれはカンフーですか!?

楡井
合気道か何かですか?

蘇枋
ん〜よく分からない

楡井
えっ?

蘇枋
俺の師匠も独学らしくてね

蘇枋
ごちゃ混ぜらしい

楡井
さ...さいですか

湊
蘇枋君、すごいかっこよかったよ!!

湊
どうやってやるの!?

蘇枋
そうだなぁ...このタイマンが終わったら一緒にやってみようか

湊
やったー!

柊
それより、お前も感情的になるんだな

柊
意外だった

蘇枋
いやぁ〜、お恥ずかしい

蘇枋
普段はそんなことないんですが、桜君にあてられてしまって

桜
人のせいにすんな

桜
でも、俺とやる時は本気でやれよ

楡井
またそんなこと言って...

楡井
桜さんそればっかりなんだから

蘇枋
え〜、桜君面倒くさそうだし手合わせしたくないなぁ

桜
めんどくせぇってなんだめんどくせぇって!!

楡井
落ち着いて桜さん!

桜
どけ!

梅宮
早速影響し合ってんねー

梅宮
外からの刺激って大事だよな

桜
それにさっき馬鹿っていったの忘れてねぇぞ!

蘇枋
え〜細かいなぁ

桜
てめぇっ!

楡井
ちょっと桜さん落ち着いてください!

梅宮
いいチームになりそうじゃないの

兎耳山
いいな〜、ねぇ、俺も眼帯くんとやりた...

十亀
は〜い次々

十亀
次はどうするぅ?

湊
次は俺が...

水輝
次は俺...

湊
あっ...

水輝
あっ...

十亀
気ぃあってるねぇ

水輝
うぇ...なんで被るんだよ

湊
そっちこそ

兎耳山
も〜、君たち揉めすぎ!早く始めてよ!

水輝
おう

桜
おい

湊
ん?

桜
負けるなよ

桜
ちゃんと勝て

湊
もちろん!
