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佐鳥 創

(今俺は、綾斗に抱かれている…)

佐鳥 創

あ、綾斗……

 そう呼んでみても、抱く力がギュッと強まるだけで返事はなかった。

数十秒、その状態が続いた。

夏海 綾斗

ごめん……

佐鳥 創

……

夏海 綾斗

ごめん、ごめん…

佐鳥 創

綾斗…なんで謝るの

綾斗は創から体を離した。

夏海 綾斗

俺のせいだ

夏海 綾斗

俺が喧嘩してたから、創まで……

佐鳥 創

全然大丈夫だよ

夏海 綾斗

……っ

夏海 綾斗

顔は…大丈夫だよな?他は?

佐鳥 創

お腹を1発…

夏海 綾斗

は?

夏海 綾斗

腹?

佐鳥 創

う、うん

夏海 綾斗

生理中なのに……

夏海 綾斗

苦しかったよな

佐鳥 創

……

佐鳥 創

(あーやば、安心して…)

創の瞳から涙がこぼれた。

佐鳥 創

う"ぅ……

夏海 綾斗

!?

夏海 綾斗

え、えっと、アイツら殺すから

夏海 綾斗

泣くな

佐鳥 創

殺しちゃダメだよ

夏海 綾斗

わ、わかった。殺さないから泣くなよ……

夏海 綾斗

……

夏海 綾斗

昨日も見た通り、俺は危険な存在だ

夏海 綾斗

またこんな事が起きるくらいなら、俺退学でもなんでもして__

佐鳥 創

嫌だ!

夏海 綾斗

い、嫌…?

佐鳥 創

綾斗はいなくなるのは、俺が嫌だ

佐鳥 創

俺の隣にいて欲しい

夏海 綾斗

……

佐鳥 創

……

創の顔はボッと赤くなった。

佐鳥 創

(待って!!今のめっちゃ告白みたいだった!!)

佐鳥 創

あ、いや、今のは___

夏海 綾斗

……

夏海 綾斗

わかった

夏海 綾斗

隣にいる

佐鳥 創

……!?

夏海 綾斗

創がいいなら……俺もいたい

佐鳥 創

綾斗__

佐鳥 創

俺もごめんね

佐鳥 創

触らないで、とか言っちゃって

佐鳥 創

せ、生理中だからってのは言い訳だけど……

佐鳥 創

気持ちが爆発してた…みたいな

夏海 綾斗

うん

夏海 綾斗

全然気にしてない

綾斗は優しく微笑んだ。

佐鳥 創

……っ!?

夏海 綾斗

どうした?

佐鳥 創

なな、なんでもない!

創は綾斗から視線を外した。

ドキドキドキドキ……__。

佐鳥 創

(綾斗、笑ってた……)

佐鳥 創

(やば、い。心臓破裂しそう__)

夏海 綾斗

じゃ、帰るぞ

佐鳥 創

う、うん

佐鳥 創

……あれ

夏海 綾斗

ん?

佐鳥 創

鞄がない

夏海 綾斗

……クソ。アイツらか

佐鳥 創

ちょ、ちょっと待って

キョロキョロと辺りを見渡すと、端っこに転がってある鞄を見つけた。

佐鳥 創

よかった!あった…

夏海 綾斗

心配させんな

佐鳥 創

ご、ごめん!

創は一応鞄の中身を確認する。

佐鳥 創

(教科書…携帯…筆箱………財布は?)

何度確認しても財布はない。

佐鳥 創

うそ、財布がない

夏海 綾斗

はあっ!?

佐鳥 創

そんな……

夏海 綾斗

チッ

夏海 綾斗

今からアイツら殺してくる

佐鳥 創

多分今更見つからないよ

佐鳥 創

大した額入ってないし……

佐鳥 創

(幸いにお金以外入ってない)

佐鳥 創

(ICカードも盗られたけど残り金額少なかったし……)

佐鳥 創

うん、もういいや

夏海 綾斗

……でも__

佐鳥 創

ありがとう、でも大丈夫だよ

佐鳥 創

(これ以上負担をかけるわけにはいかないし……)

佐鳥 創

……あ

夏海 綾斗

あ?

佐鳥 創

俺、電車通学で……

佐鳥 創

ICカードも盗られたなら帰る金がない

夏海 綾斗

ちょっと待て

綾斗はポケットに手を突っ込んだ。

夏海 綾斗

……

夏海 綾斗

わり。俺の財布学校だわ

佐鳥 創

そそ、そっか

佐鳥 創

(どうしよ…)

佐鳥 創

(このままじゃ家に帰れない…)

夏海 綾斗

ここから近いけど、来る?

ドキッ……

佐鳥 創

い、家?

夏海 綾斗

そーだろ

夏海 綾斗

早くついてこい

佐鳥 創

わ、わかった

佐鳥 創

(また心臓ドキドキしてるし!)

佐鳥 創

(男友達の家行くだけだろ、俺!)

佐鳥 創

マンション…

佐鳥 創

めっちゃ高級そう……

夏海 綾斗

ま、一人暮らしなもの

佐鳥 創

そ、そうなんだ……

佐鳥 創

(あれ。一人ってことは部屋で俺と綾斗の2人ってこと!?)

ガチャ

夏海 綾斗

いいぞ、入れ

佐鳥 創

わかった…

佐鳥 創

お邪魔します…

2人はリビングに入った。

佐鳥 創

広…ッ!!……え?

辺りを見渡していると、ソファに座っている人とバチッと目が合った。

水橋 帆乃香

え?

佐鳥 創

え?

佐鳥 創

(あれ、なんで帆乃香が……)

佐鳥 創

あ、遊びに来てるのかな

水橋 帆乃香

いや、ここ俺の家__

佐鳥 創

同居!?!?

夏海 綾斗

いや普通に違う

夏海 綾斗

ここ帆乃香ん家だし

佐鳥 創

え"っ

佐鳥 創

(確かに、1度も綾斗は俺の家って言ってなかった気が……)

創の顔はカッと赤くなった。

佐鳥 創

(1人で勘違いして、1人で慌ててた…!?)

佐鳥 創

(うわあ、はずかしい……)

水橋 帆乃香

つーか、急にどうしたわけ!

水橋 帆乃香

インターホン押せっていつも言ってるよな?

夏海 綾斗

押した

水橋 帆乃香

嘘つくな

水橋 帆乃香

しかも今回は創付き__

佐鳥 創

……お邪魔します…?

水橋 帆乃香

はぁ〜

水橋 帆乃香

2人は仲直りしたってことでいいんだよな?

夏海 綾斗

そう

夏海 綾斗

元々喧嘩してねーけど

佐鳥 創

うんうん

水橋 帆乃香

そーいうことにしといてあげる

水橋 帆乃香

結局、なんの用?

綾斗はスっと帆乃香の目の前に手を差し出した。

夏海 綾斗

水橋 帆乃香

乞食か

佐鳥 創

ちょ、綾斗言い方!

夏海 綾斗

は?

夏海 綾斗

他になんの言い方あんだよ

水橋 帆乃香

言葉のレパートリー少なすぎ

佐鳥 創

お、俺が説明するね!

佐鳥 創

__…と、いうわけです

水橋 帆乃香

ま、マジ?

水橋 帆乃香

創。怪我とかしてないの?

佐鳥 創

うん。大丈夫だよ

水橋 帆乃香

ホントかよ…

夏海 綾斗

だから金を渡せ

水橋 帆乃香

つか、なんで俺

夏海 綾斗

金持ちだし

佐鳥 創

そうなの!?

水橋 帆乃香

家がちょっと裕福だってだけだ!

水橋 帆乃香

俺は見ての通り一人暮らしだし…

佐鳥 創

(いいな、俺もお金があれば__)

佐鳥 創

でも、やっぱり人に借りるってあんまり良くないし……

佐鳥 創

今日は何処かに泊まろうかな

夏海 綾斗

そのための金は?

佐鳥 創

……

佐鳥 創

ヒッチハイク……

水橋 帆乃香

なーんか、嫌な未来しか見えない

水橋 帆乃香

全然出すよ、俺

水橋 帆乃香

明日返してもらえればいいし__

佐鳥 創

い、いや!本当に大丈夫!

夏海 綾斗

はぁ〜

夏海 綾斗

じゃあ、今日ここで泊まれば良くね?

佐鳥 創

えっ

水橋 帆乃香

はっ!?

夏海 綾斗

俺もよく泊まるし

夏海 綾斗

いいだろ?

水橋 帆乃香

俺はいいけど…

水橋 帆乃香

創は?

佐鳥 創

……で、でも__

夏海 綾斗

家の主がいいっつってんだから良いんだよ

佐鳥 創

は、はい……

夏海 綾斗

俺も泊まろ

水橋 帆乃香

お前も!?

夏海 綾斗

あ?

水橋 帆乃香

お好きにどーぞ

佐鳥 創

ごめんね、帆乃香……

水橋 帆乃香

全然大丈夫

水橋 帆乃香

また外に出ても不良に絡まれるかもだし

佐鳥 創

ありがとう……!

佐鳥 創

(2人とお泊まり…)

佐鳥 創

(ってことは、)

佐鳥 創

(綾斗と…1晩ひとつ屋根の下__)

カッと創の顔に熱が出る。

佐鳥 創

(何考えてんだ俺__!!)

生理男子と不良男子

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コメント

6

ユーザー

綾斗くんに惚れちゃったわ、

ユーザー

いや、もう、神作品…フォロー失礼します…😭

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