明
あ、起きた
目が覚めると明の部屋にいた。 明の手の中で気を失ってたらしい。
柚
あの、ごめん…
明
んーん、勝手に部屋に連れ込んで大丈夫だった?
柚
うん、!笑
明
傷、どうしたの?
柚
…転んじゃった笑
柚
すぐ治るよ!笑
明
柚
柚
…
明
辛かったら泣いてもいいんだよ
ずっと僕にあったはずの何かがスパッと切れた。 今までの辛いことが全部溢れ出てくるみたいに泣いて、しばらくら涙が止まらなかった。
明
俺嘘ついた
柚
…え、?泣
明
柚のこと本気なんだ
明
こんなに好きになれたことないってくらい柚が大好き
柚
…ほんと?泣
明
本当だよ
明
だから柚は素の笑顔でずっとずっと笑っててほしい
柚
…小さいときに父さんはどこか遠くにいっちゃったんだ。それから母さんは夜遊びにハマって、帰ってくる度連れてくる男の人は違くて、まぁその時は邪魔って追い出されちゃうけど笑でもね母さん毎日400円おいといてくれるから、これが毎日の生きがい、僕のために置いといてくれるんだ…寂しくないって言い聞かせてきた。
柚
でもやっぱり他の子と比べちゃって…
僕はなんで悪口言われなきゃなんだ、とかトイレの水被らなきゃダメなの?とか、帰っても誰も待っててくれないだとか温かいご飯はいつ食べられるのとか不満ばっかで…笑
僕はなんで悪口言われなきゃなんだ、とかトイレの水被らなきゃダメなの?とか、帰っても誰も待っててくれないだとか温かいご飯はいつ食べられるのとか不満ばっかで…笑
悲しいようななにかを諦めたような顔で話す柚をみて、耐えられなくなって抱き締めた。なんでこの子がこんな表情しないとダメなんだよ。もうこんな表情させたくない俺がいなくなった後だって絶対。
柚
寂しかった
明
…俺が柚にもう寂しい想いさせないから
柚
明がきてから独りを感じることが少なくなって…楽しかった。誰も助けてくれなかった僕に、はじめて手を差し伸べてくれて、優しくてかっこよくて、
柚
僕あきらがいないとダメな身体になっちゃったみたい
明
…
柚
俺も大好き、明のこと
明
…嫌われてると思ってた。あんなこと言って誤魔化して傷つけたから、
柚
明がいないとだめって気づいたんだ
明
俺も柚じゃないとやだ
明
…手当てしよう、傷深いから
柚
ありがとう…
柚
ごめん、迷惑かけて
明
いいの、俺が勝手に連れてきたんだから
明
はい、ご飯
時間が経って落ち着いてきたころに 明は手作りのご飯を出してくれた。
柚
…いいの?
明
うん、いっぱい食べな笑
柚
……おいしい、めっちゃ
明
笑笑よかった!
柚
(温かいご飯食べたの何年ぶりだろう)
明
俺も食べよー
明
いただきま…っゴホゴホッッゴホンンッ
柚
えっ、ちょっと
明の妹が奥の部屋からひょこっと顔をだした
あむ
お兄ちゃ〜ん、といれ
明
あっあむゴホゴホッゴホンゴホごめ…ゴホッ妹のゴホッゴホンゴホ着いてってゴホ
柚
あ…うん、
らん
お兄ちゃん大丈夫…?
明
ごめん…起こしちゃった?ゴホゴホ
らん
むりしちゃだめだよ
明
あぁ…ゴホゴホらんは優しいなゴホゴホゴホッゴホンゴホごめん薬…とってゴホゴホ
らん
はい!
明
ゴクゴクっは〜、落ち着いた
柚
…風邪まだ続いてるの?
明
えあえっと、そうなんだよね笑
長引いちゃってさ笑笑
長引いちゃってさ笑笑
明はなにか誤魔化すように笑った。
柚
(もう何ヶ月も経ってるんだけどな)
あむ
お兄ちゃんお腹空いたー
明
もう食べたろ?笑
らん
わたしもすいたー
明
はぁ、笑しょうがないなー
20分後
あむ
わ〜!おむらいす!
らん
いっただっきま〜す
柚
…明ってさ、いつもひとりで
この子たちみてるの?
この子たちみてるの?
明
うん笑
柚
それって大変じゃない?
嫌にならない?
嫌にならない?
明
ん〜そりゃあ嫌で逃げ出したくなることもあったけどさ、この笑顔みてるとそんなことどうでもよくなるんだ笑
あむ
おいしい〜!
明
おかわりするか?
あむ
うん!
明
…それに、俺がこの子たち世話できるのも守っていけるのもあと少ししかないから
すごく切ない表情でそう言った。 明のこんな表情初めて見た。それに言ってる事の意味もよく分からない。
柚
どういうこと、?
明
はは笑なんでもない笑
明
でも、なんかあったら
妹たちのことお願いな。
妹たちのことお願いな。
柚
なんかあったらって…






